「自転車で世界はもっと楽しくなる。」
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時折、素晴らしい映画の邦訳に出合う。例えば『An Officer and A Gentleman』(将校と紳士)は『愛と青春の旅立ち』。若さと愛が溢れている。観たいじゃないですか。『THE BODY』(死体)は『スタンド・バイ・ミー』。「死体の時のリバー・フェニックスは大スターの片鱗があったよね」なんて言わなくてよかった。挿入歌であるベン・E・キングの名曲から取った良いタイトル。 しみじみ、良いタイトルだなあと思うのが『明日に向かって撃て!』(1969年)だ。原題は『Butch Cassidy and the Sundance Kid』。ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドは、19世紀末のアメリカで活動した二人の無法者。映画公開当時のアメリカ人なら、誰もが知る無法者だった。日本で言うと、石川五右衛門(いしかわごえもん)と服部半蔵のような感じだろうか(違うかもしれない)。それにしても、なんと素晴らしい言語表現だろう。明日はなかなか撃たない。 映画の舞台は西部開拓時代が終わりを告げる頃。強盗団のボスであるブッチ(ポール・ニューマン)と、早撃ちの名手サンダンス(ロバート・レッドフォード)は列車強盗に成功する。当時珍しかった自転車をブッチが買い、恋人のエッタ(キャサリン・ロス)を自転車に乗せてデートをするシーンが実に印象的だ。バート・バカラックの『雨にぬれても』が流れる映画史に残る名シーン。映画を観ていなくても、この曲を耳にしたことのある人は多いはず。なお、自転車メーカーは謎のようで、19世紀末にアメリカで販売されていたランブラー社製に似せて作った映画小道具ではないかという考えが有力 […]
今月から連載コラムを始めることになりました。どうぞよろしくお願いします。 「自転車で音楽がもっと楽しくなるような」エッセイを、毎月お届けできればと思っていますが、初回は自己紹介も兼ねて。 1984年2月のある日、まもなく高校2年生を終えようとしていた頃、何気なく流していた当時全盛のMTVを観るともなく聴いていて、イントロのギターのリフからとてもキャッチーな、軽快でグルーヴィーなアコースティック・ナンバーに耳が止まりました。 イギリスらしい田園風景の中を、ちょっとコミカルで微笑ましい仕草を混じえながら、ロードレイサーで走るMV。その曲を一発で気に入ってしまった僕が、すぐに12インチ・シングルを買いに、渋谷のレコードショップまで自転車を走らせたのは、言うまでもありません。それ以来、自転車通学だった僕は、登校時にくちずさむのもいつも、この曲になりました。 そんな僕の青春の1ページを彩ることになった曲の名は、The Style Councilの「My Ever Changing Moods」。The Style Councilは、1970年代後半から80年代前半にかけてモッズ/パンク・シーンで人気を極めたバンドThe Jamを絶頂期に解散したPaul Wellerが、キーボード奏者のMick Talbotと結成して、ジャズやソウルやボサノヴァの影響も受けた洗練されたポップ・ミュージック(Sophisti-Pop)を奏でたユニットですが、これはその初期、5作目のシングル。翌月に出て、僕はもちろん発売日に買いました彼らのファースト・アルバム『Cafe Bleu』には、しっとりしたピアノ伴奏 […]
このロードは茨城県に位置する、日本で二番目に大きい湖・霞ヶ浦の西側にある土浦を起点にした美しい景色と整備された道を巡る全長125kmのサイクリングコース。 自転車は持参するか(東京駅から上野東京ライン・常磐線で1時間16分)、便利な場所に立地しバイクやギアの幅広いラインナップがあるル・サイクでレンタルを。 駅構内には、シャワー、ロッカー、更衣室、駐車場が完備された「りんりん広場」があり、自転車にも優しい。 このライドでは、90kmのショートバージョンを(頂上でのんびりする代わりに、橋を渡って湖を横切る)。 休憩したり、タイヤのパンプアップができる場所はたくさんある(ポンプ、ラック、工具のいずれかを提供する300のサポートステーションがあり)。 サイクリストとクルマの共用道路なので、途中、クルマが通ることも想定しておこう。 レンコン畑や田んぼ、釣り人を目にしつつ湖畔を走り、もちろんお腹を満たす場所も。今日はかすみキッチンに立ち寄ります。 かすみキッチンはスタート地点から約19km、土浦駅近くにある。地元の商店が提供する食材を使ったヘルシーな食事を提供している。おすすめはスイートポテト(寒い時期にはスイートポテトのブリュレも)。また、クラフトビールからスイーツまで、地元の商品も豊富に取り揃えている。 もうひとつのおすすめは、おいしい料理とコーヒーで一息つきたいときに立ち寄りたい「美浦村週末カフェ」。倉庫を改装したカフェには広い座席があり、正面には自転車ラックがある。 もし宿泊したいなら、自転車と一緒に泊まれる快適な宿泊施設の星野リゾート・BEB5土浦がある。メンテナンスのための道具 […]
90年代初頭の中国は、今の中国の風景とまるで違った。朝夕には「中国名物」と言われた自転車ラッシュアワーを見ることができた。当時は多くの人々が通勤に自転車を利用していた。数千の人々が同じ道を走る様子は圧巻だった。しかも、ほぼ同じ車種で色も同じだったため、ある種の調和があった。『鳳凰』と『永久』という上海のブランドが人気だったように思う。生活を支える交通手段だったので、タフで重厚感のある自転車だった。 当時の香港映画にもよく自転車が登場した。きっと、人々にとって馴染みの深い乗り物だったのだろう。ジャッキー・チェンの最高傑作の一つ『プロジェクトA』(1983年)にも印象的な自転車シーンが登場する。 『プロジェクトA』の舞台はイギリス統治下の香港。海賊退治を命じられた警察(ジャッキーは水上警察に所属)が海賊の財宝を狙う盗賊(サモ・ハン・キンポー)と共に海賊討伐作戦の乗り出すという、無敵の「ザ・エンタメ」映画だ。 敵対する陸上警察に拘束されてしまうジャッキーだったが、自転車を盗んで逃走する。ここからカーチェイスならぬ自転車チェイスがはじまる。追う警察も自転車だ。旧市街の狭い路地を自転車で駆け抜けるジャッキー。路地にある竹やハシゴを武器にしたり、自転車自体で攻撃したりして、警察を翻弄して逃げ切る。 時間にしてわずか3分ほどのシーンなのだが、何度も繰り返してみたくなる中毒性のある映像になっている。今見直しても、チャップリンやキートンを彷彿とさせるコメディ要素に加え、綿密に計算され尽くしたタイミングやパルクールの妙技に惚れ惚れする。 当時、相当数のアジア圏の子どもたちが怪我をしたことだろう。カ […]
自転車の盗難。誰しも、この最悪の事態を避けたいだろう。パーツやボディの素材を厳選し、1グラム単位で重量を削減するのに、盗難対策のチェーンロックが500グラムもするなんて本末転倒もいいところだ。許すまじ自転車泥棒。この世からいなくなって欲しい。 『自転車泥棒』(1948年)という古い映画がある。監督はヴィットリオ・デ・シーカ(ウクライナのひまわり畑で撮影した『ひまわり』が有名)。本作は戦後のイタリアの労働者を描いた切ない映画だ。 舞台は第二次世界大戦後のローマ。戦後の不況は深刻で主人公のアントニオは2年も仕事に就けていない。このままでは家族が餓えてしまう。職業安定所の紹介でポスター貼りの仕事を見つけるが、ひとつの条件があった。自転車が必要だという。彼の自転車は質に入れており、家族の協力でなんとか取り戻すことができた。自転車に仕事道具を積み込み、意気揚々と仕事に向かうアントニオ。これで生活は少しずつ良くなるはずだ。希望が見えてきたのも束の間、初日に自転車を盗まれてしまう(なにやってんだよ)。自転車を失うということは、仕事を失ってしまうということだ。息子と共に町中を探すが自転車は出てこない。 マンマ・ミーア! 途方に暮れるアントニオ。 失意のどん底、鍵のない自転車を見つけるアントニオ。 自転車さえあれば仕事ができるぞアントニオ。 悪魔の誘惑に勝てず、アントニオは罪を犯してしまう。誰が彼の罪を責められよう。が、自転車の持ち主はアントニオの都合なんて知るわけもない。哀れアントニオは息子の前でボッコボコにされてしまうのだ。 不思議なことに、映画を観ると罪を犯した男を切なく思い、応援している […]
荒川は期待を裏切ることなく、あなたがしばらく夢中になれるサイクリング環境を提供してくれる。 この川は埼玉から東京まで全長173kmを流れる。 経験豊富なライダーなら、新木場から川越、そしてその先まで川を走ることも可能だ。 今回のライドでは清澄白河からスタートし、Allpress Espresso Tokyo Roastery & Caféでコーヒーを飲み、王子まで走り(40km)、Rocco’s(ピザとタコスの店!)に寄ってから再び新木場まで戻ってくる予定だ。 ここは清澄白河にある地元の人気店。バリスタが丁寧に淹れるフラットホワイトやロングブラックが楽しめるニュージーランド発のスペシャルティーコーヒーロースター。ライドのスタートや締めくくりには最適。 オールプレスから川へ向かう。途中には、サイクリングロードがいくつかあるが、幹線道路から分離されているわけではない。川に着いたら左折し、王子方面へ向かう。 荒川は、ランナー、野球チーム、サッカー、フリスビーをする人、散歩する犬、そして本格的なサイクリストからカジュアルなライダーまで、様々な人のホームタウンだ。荒川を走る醍醐味は、東京のような密集した都会ではなかなか味わえない、途切れることのない区間だ。途切れることのない勢いのある瞬間に出会うと、サイクリング魂は安らぎ、ロードと一体化することができる。 東京のすべてのサイクリング・エリアに当てはまることだが、左側を走り、周囲に気を配ることを忘れずに。(特に野球場の近くでは、子供たちが横断しているかもしれない)。 王子に到着し、左折して港北橋で川を降りる。駅の反対側にはラッコズニ […]
こんにちは。北海道北見市出身のライダー・ノリコです。今回は初夏の美味含めたオホーツクの魅力たっぷりなライドコースをご紹介します。 北見市は北海道の東部に位置する人口11万人の中核都市です。農業、林業、漁業、温泉を併せ持つ「住めば都」間違いなしの地域。道民以外の方には流氷、カーリングが有名かもしれません。 北海道とはいえ盆地であるため、夏は30度を超え、冬はマイナス25度になる日もありますが、カラッと晴れる日が多い地域です。サイクリングにもピッタリ! 本日は初夏の緑に囲まれながら約50キロ先の常呂(ところ)町まで。今が旬で名物の「生のホタテ」を買いに走りたいと思います。 いつもは9時頃に出発し、12時頃に常呂着で昼食をとるコースですが、今日のゴールはホタテを買うことなので、お店の開店時間に合わせ朝はちょっと遅めの10時スタート。出発は、「オホーツクサイクルステーション」から。この時点ですでに2台が借りられており、北海道外の方が観光で利用されているとのことでした。 サイクルステーションは、JR北見駅の北見バスターミナル隣にあります。オホーツク地方の主要空港「女満別空港」からは空港連絡バスで50分弱の場所。意外と近いかもしれません。 サイクルステーション併設のお土産売り場で一番人気はチョコチップミントジェラート。薄荷(ハッカ)を扱う第一人者の意気込みを感じます。薄荷の味にクセがなく美味しいです! 1939年当時、北見の薄荷生産は世界薄荷市場の約70%を占めるまでに成長していたそうです。その名残もあり、現在でも精油方法などを紹介している「北見ハッカ記念館」があります。ということで、サイ […]
毎年、新潟県で開催されている『TOUR DE TSUMARI/ツールド妻有』(以下、『ツールド妻有』) は最大で走行距離120kmを走るコース。タイムトライアルではないため、風景や地元の人たちのもてなしを楽しむことができる。特筆すべき点は、このイベントが移動すること自体をテーマとしたアート作品という点だ。発起人は建築家・サイクリストの伊藤嘉朗(いとうよしあき)さん。前回に引き続き、伊藤さんに話を聞いた。 *前編はこちら 展覧会とレースの融合 展覧会というと、美術館での展示を想像する人が多いかもしれない。3年に一度開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は世界最大級の国際芸術祭であり、なんと200の集落に作品を点在させている。美術館での展示を合理的とすると、この観せ方は真逆に位置し、とても非効率的な展示スタイルだ。人々はマップを片手にアート作品を探して回る。とても1日で観回れる規模ではない。作品鑑賞時間より作品のある場所に行く時間の方が長いはずだ。だからこそ、アート愛好家だけではなく幅広い層の知的好奇心を刺激するのだろう。里山を歩き、湧き水を飲み、名産の蕎麦を食べ、地域の人たちに道を尋ねる。自分で楽しさを見つける展覧会なのだ。 当初、伊藤嘉朗さんは、ツール・ド・フランスのような何日もかけて行うレースを構想していた。2年後に予定されていた「越後妻有アートトリエンナーレ」でレースを「アート作品」として開催しようと考えたのだ。しかし、大規模なレースを開催するとなると交通規制や行政などとの様々な調整が必要になる。伊藤さんは2年の時間をかけてコースやイベントの構成を考えた。 […]
読者の皆様、こんにちは。今回からスタートした「INFOGRAPHIC GUIDE」は、ファンライドやロードレース、自転車にまつわるあれこれをビジュアルでわかりやすく紐解いてしまおうというコーナーです。 第一回は、「ホノルルセンチュリーライド2023」。観光はもちろんファンライドでも世界最高のレースのひとつ。開催は2023年9月24日(日)!初回参加者が多く、絶景ポイントが多数(というかほぼずっと絶景)の本大会をfun感たっぷりのイラストでご覧ください。 *INFOGRAPHIC_視覚的にわかりやすいイラストやグラフなどを用いて情報を伝える手段 今年で40回目の記念すべき大会となる「ホノルルセンチュリーライド2023」。大会出場初心者や本格派ライダー、そのご家族など経験を問わず楽しめると各国大会の中でも期待が高いイベントです。その理由の一つは圧倒的に気持ちの良い景色と気候、そして陽気なムード。だってハワイですから…! 朝焼けが眩しいロード❶や、オーシャンビューを堪能できるマカプウ岬❸、太古の地球を思わせる山並みが壮観なクアロア牧場❺など、ロード中の見どころは盛りだくさん。疲れも吹っ飛ぶ絶景の数々です。 コースは4種類。25マイル(40km)、50マイル(80km)、75マイル(120km)、100マイル(160km)があり、当日の体調によって選べます。特に初心者にとってはありがたいですね!タイムを競うレースではないので、そこも初心者にとって魅力的な大会です。 飲料補給や休憩、修理場も兼ねるエイドステーションは計6ヶ所(うち2ヶ所は復路のみ)。ハワイといえば!のスパムサンドやフルー […]
暖かくなり、桜の花も終わると、自転車で東京を楽しむには最高の季節です。 多摩川は、短時間のカジュアルなライドを楽しみたい人にも、本格的なライドを楽しみたい人にも最適です。川に沿って走ると、(堤防から)川辺の通り過ぎる景色を眺めることができます。 二子玉川を出発し、中河原を往復する約45kmのライドが続きます。 川沿いには休憩できる場所がたくさんあり、のんびりとした時間を過ごすことができます。本格的なライドを楽しみたい方は、羽田空港を出発し、奥多摩まで行き(81.9km)、羽田に戻る(165km)ことも可能です。 共用走行路は、ランナー、ウォーカー、サイクリストが走行します。左側通行で、周囲に気を配りながら走りましょう。 府中の近くで補給するなら、ドーナツとコーヒーが楽しめるハグジードーナツへ。 住宅街の中にひっそりと佇むHugsy Doughnutは、細い路地を入ったところにあります。甘いものからしょっぱいものまで、日替わりでたくさんの面白いメニューがあります。 川沿いには便利なコースマップがたくさんあるので、ぜひ参考にしてみてください。 稲城市の矢野口交差点にある調布の近くには、サイクリングを楽しむためのコーヒーを提供する「クロスコーヒー」があります。 ラックの正面にたくさんの駐車場があり、視界に入りやすいです。また、Champion Systems(カスタムサイクリングブランド)のサイクリングウェアやグッズをチェックしたり、ライドに必要なジェルやスナックを仕入れたりすることができます。 時間帯により、おいしいモーニングセットやランチセットを利用することができます。 ランチセ […]