輪行プロフェッショナルがお届けする
輪行ガイド(国内編 #01)
こんにちは、温玉ねぎとろです。
今回は国内で自転車旅行やイベント参加する際には避けては通れない国内輪行について、国内外を自転車で旅した経験を基に簡単にご紹介したいと思います。自転車は飛行機や電車、フェリーなど様々な乗り物と組み合わせて移動することができる自由度の高い乗り物です。上手く交通機関と組み合わせることで、ちょっと遠いと感じていた地方のイベントにも足を運んでみましょう!
*2024年8月現時点での調べ
目次
1. 輪行の歴史と文化
2. 国内輪行のルールと状況
2-1 JR
2-2 新幹線
2-3 私鉄各社
2-4 サイクルトレイン
2-5 フェリー・渡船
現在の日本国内では自転車と共に移動する「輪行」が可能です。在来線、新幹線、一部バス、飛行機、フェリーなど多くの交通機関では自転車の両輪を外して「輪行袋」という専用のケースにいれることで交通機関に自転車を持ち込むことができます。ちなみに、海外では電車やバスにはそのまま持ち込めることが多く、輪行袋を珍しがられることも少なくありません。
1 輪行の歴史と文化
そもそも「輪行」は競輪選手が競技場まで移動するための手段として登場しました。その後、日本サイクリング協会と国鉄との交渉によって1970年代に自転車を分解して袋にいれることを前提として、一般のサイクリストの乗車も許可されました。これが現在の輪行文化の発端になります。
海外では輪行袋を使用する文化はなく、路線や国にもよりますが基本的には自転車を解体せずに持ち込むことができる場合が多いです。日本では先人たちの活動の積み重ねが輪行という形となり、私たちが交通機関と自転車を組み合わせて移動することができる文化の礎となっています。
2 国内輪行のルールと状況
次に公共交通機関ごとの一般的なルールと経験を含めた実際の輪行状況について解説します。
以下の表は目安としてお使いください。
この後、詳しく解説します。
2-1 JR
<専用の輪行袋の使用規定>
・3辺の合計250cm以内
・1辺を2m以内
・重さ30kg以内
・自転車の一部が袋からはみ出さないようにする
・両輪を外す
・混雑時は使用できない可能性がある
・他の乗客に危害を与えない
基本的にはJR各社・新幹線及び私鉄各社で規定に大きな違いはありません。上記の規定を守っていれば概ね国内での鉄道での輪行は問題なしです。
<JR(在来線)での輪行>
まずJR各社の自転車持ち込みに触れているQA等について以下にまとめます。
・JR北海道「よくあるご質問」
・JR東日本「自転車等の大きな荷物を持って、列車に乗ることはできますか。」
・JR東海「きっぷのルール」
・JR西日本「きっぷのルール」
・JR四国「列車内への自転車の持ち込みについて」
・JR九州「きっぷのルール」
地方の路線の場合はドアが開かれる車両が限られている場合も多いです。事前に降りる駅ではどの扉が開かれるかをチェックしておくことで、自転車を持って車両内を移動する手間が省けます。
JRは国内で最も輪行される機会が多い鉄道会社だと思います。JRでの輪行をしっかりとマスターして、他の私鉄や地下鉄でも輪行にも幅を広げていきましょう。
2-2 新幹線
<専用の輪行袋の使用規定>
基本的にはJR各社で自転車への持ち込みついてのルールと同じです。
<新幹線での輪行>
国内での長距離移動を行う際には新幹線での輪行が便利です。
北海道・東北・北陸新幹線などの新幹線では自転車を持ち込む際は邪魔にならないように最も後方の座席後部のスペースを活用しましょう。
一方で、東海道・山陽・九州新幹線の場合は「特大荷物スペース」のルールの存在が自転車の扱いをわかりにくくしています。
結論としては東海道・山陽・九州新幹線において輪行をする場合は特大荷物スペースを予約してもしなくてもどちらでも問題有りません。
3辺合計が160cmを超える荷物の場合は予約が必要となりますが、スポーツ用品はその限りではありません。
ちなみに実際に特大荷物スペースに自転車をおいた場合、比較的幅を取らない縦型の輪行でも2席分ほどスペースを取ってしまいます。そのため、特大荷物スペースを予約していても自転車を置けないというケースもあり、その際は話し合いで解決をしなければならないケースがあります。また、隣の方がリクライニングを使用しようとして無理に座席を下げた場合、自転車に負荷がかかるケースがあるため、個人的には特大荷物スペースを使用した場合のほうが周りに気を使いながら利用している気がします。
このようなケースがあるため、JR東海の車掌さんに相談をしたところ、出入り口付近の広いスペースであれば自転車を置いても良いとお話を聞くことができました。一方で、自転車を置く際には所有者を確認するため、必ず車掌にひと声かける必要があると教えていただきました。自転車を置くスペースに困った際は車掌さんに相談をしてみましょう。
2-3 私鉄各社
<専用の輪行袋の使用規定>
基本的にはJR各社で自転車への持ち込みついてのルールと同じです。
<私鉄各社 地下鉄での輪行>
私鉄各社及び地下鉄においてもJRと同じ規定の場合が多いです。JR各社の基準をベースとして私鉄各社も制定している場合が多いので、JRの規定をしっかりと遵守しましょう。
注意点があるとすれば私鉄や地下鉄の路線の場合は時間帯や経路により混雑する場合です。なるべく避けた方が良いでしょう。おすすめは通勤時間帯を避けた朝方と昼過ぎです。終電時は混雑する場合もあるので、遅くなりすぎないように注意をしましょう。
2-4 サイクルトレイン
JR・私鉄を問わず、国内の特定の路線で、外国と同じように自転車を解体して輪行袋に入れずそのまま持ち込むことができるサービスがあります(=サイクルトレイン)。
最近では観光資源としてサイクルトレインを走らせる自治体も増えましたが、多くは利用できる季節や曜日、時間帯に制限がある場合がほとんどです。事前に利用する曜日や時間帯についてしっかりと調べたうえで利用をしましょう。
また利用する際は以下の点に注意をしましょう。
・動かないようにハンドルやフレームを柱などに固定をする
・先頭車両に乗車する
・車内や他の乗客への接触に注意をする
また、実際にサイクルトレインを利用する場合には自転車を車内に固定する紐や、ブレーキレバーを固定するための紐の二本を準備しておくと役に立ちます。
2-5 フェリー・渡船
<専用の輪行袋の使用規定>
・追加料金を払えばそのままの乗船も可能(車両甲板)
・輪行袋に収納すれば手荷物としても持ち込み可能
多くのフェリーでは輪行袋に収納をしなくても追加料金を支払い、車両甲板に預けることで、そのまま乗船することも可能です(台数制限がある場合があるため、事前の予約推奨)。また、輪行袋に収納する場合は、手荷物としても持ち込む事が可能である場合もあるため、選択肢が広がります。
<渡船での輪行について>
旅客船やフェリー、渡船などの場合は追加料金を支払うことで、自転車を車両甲板に預ける形で、そのまま乗船することも可能です。また、場合によっては輪行袋に収納をすることで、手荷物として持ち込むことができる場合もあります。
利用する船会社の規定を確認して、自分にあった利用方法を選択しましょう。
注意点として、車両甲板に預ける場合は自転車の預かり台数に限りがある場合があるので事前に予約をしておくのがよいでしょう
次回
「輪行プロフェッショナルがお届けする輪行ガイド(国内編 #02)」
主にバスを利用して輪行する際の注意点と宿泊施設についてお届けします。
🚲輪行プロフェッショナルがお届けする輪行ガイドシリーズ
● 海外編
● 国内編01
● 国内編02
Text_Negitoro Ontama
Profile
温玉ねぎとろ
大阪府堺市出身。会社員・ライター・ブログ「自転車旅行研究会」管理人。幼少期から自転車に旅の荷物を載せたキャンプツーリングを行っており、国内のほとんどの都道府県を走破。また、大学在学中は自転車サークルに所属しており、ソロで10カ国以上を自転車で来訪。輪行経験豊富。2023年には厳冬期北海道を自転車で縦走するなど、エクストリームなキャンプツーリングを行う。近年はロングライドにも力を入れており、2023年にはブルベでSRを取得。2024年のGWには1900kmのブルベも完走している。今後はPBPやLELの完走を目指しつつ、海外キャンプツーリングも積極的に行っていく予定。