ホノルルセンチュリーライド2024 ライダーインタビュー企画
ハワイで感じる風、そして…
〜なぜ、ハワイで自転車に? 初出場者編 ②

11月も半ばになり、ようやく秋の気配を感じます。先日、インスタを見ていたら「あれから1ヶ月も経ったけれどまだハワイの余韻が〜」という投稿に出会いました。まったく同感です。写真を見るだけでホノルルの風と空気が蘇ります。
ホノルルセンチュリーライド2024(以下HCR)のインタビュー連載企画の続編をお届けします。今回も、第一回に続き初参加者組の中からパワフルな4組にご登場いただきました。なぜ、ハワイで走ろうと思ったのですか?

目次

1 ビッグスマイルをありがとう/やきはた
2 75回目のバースデイ記念に/ジョージさん、本田さん
3 大学生生活最後に親子ライドを/Hiroさん、Takaさん
4 ハワイには病を乗り越える原動力がある/相澤英敏さん

1 ビッグスマイルをありがとう/やきはた

メディア掲載時のニックネームは?と尋ねると勢いよく「やきはた!」と返され、思わず笑ってしまった。お二人ともライダーだが、HCRには初参加。

編集作業の過程では何名ものフォトグラファーが撮影した膨大な量の写真を見返すことになるのだが、やきはたさんたちほど激写されていたカップルはいない(目立っていた?)。たぶん、写真集ができるくらい笑

思わずカメラを向けてしまうのだろう、このポジティブなムードと最高な笑顔に、写真をセレクト中のこちらも知らずのうちに笑みがこぼれる。

160kmの折り返し地点にて

女性のやきはたさんは自己最高記録が140km。今回は160kmの記録更新に初挑戦、しかもクロスバイクで!日本ではしまなみ海道や山中湖などへ走りに行っているそう。
男性のやきはたさんは日本でのレース経験はあるものの、海外でのライドとハワイは初チャレンジということだった。

至近距離でペースを保つやきはた組
そして、憧れの同時ゴール🫶

初参加にして、スタートの倍くらいのハイテンションで見事に完走!
もう、笑顔マックス!!!

おめでとうございました🎉
来年もまたぜひお会いしましょう🌈

2 友人と75回目のバースデイ記念ライド/ジョージさん本田さん

大会前日のエントリー会場で地元の方以上にハワイアンムードを醸し出していたお二人が、こちらのジョージさん(左)と本田さん(右)。サーモンオレンジカラーの鮮やかないでたちながら、「本番はもっと派手かも」。
おっしゃる通り、大会当日はどこからでもわかるビビッドなレッドと「CLUB BEAR」のビッグロゴジャージーがとっても目立っていた。

「BEAR」は熊本県のクマ。ジョージさんご夫婦が経営するカフェレストラン「café BEAR」の店名でもある。

福岡県から同県の小国町に移住したジョージさんと、地元でMTBの耐久レース「おぐに500」を主催することもあった本田さんが出会ったのは13年ほど前。ジョージさんが福岡で自転車店&ライド関係のアパレルショップを経営していたこともあり、二人は自転車の話題を介して意気投合する。

90kmあたりの地点でマハロ!を向けてくれた

ハワイには娘さんが住んでおり、何回も遊びに来ていたジョージさん。
初出場のきっかけはその娘さんのひとことだった。
「せっかく来るなら、誕生日記念にHCRに出たら?」
今年は、75回目のバースデイ!!!
この地には何回も訪れていたが、大会の出場経験はなかったジョージさんは心を動かされた。

そんなアグレッシブなジョージさんから誕生日兼HCR参加を誘われたら、本田さんはもちろん断る由もなく。二人で初出場を決めたそう。

本田さんのバイクはカラーリングに一目惚れしたCHAPTER2、TOA(トア)の限定カラー、トンガリロ。ニュージーランドの原住民であるマウリ族が用いる伝統的なパターンがフレーム各部にあしらわれている

十数年前に地元で出会い、本田さんの企画力を活かし「南小国エンデューロ」を共に開催するなど自転車を通じて仲良くなったお二人。時を経て今年は遥か遠くの地・ホノルルにて見事にゴールゲートをくぐった。

ジョージさんのお嬢さん、素敵なギフトを差し上げられましたね!
76回目のバースデー記念でもお二人をお待ちしています🌈

3 大学生生活最後に親子ライドを/Hiroさん、Takaさん

HiroさんとTakaさん親子。
お互いを認め合っているような仲の良さが会話からも伝わってきた。

「僕が昔にハワイでライドしたいと言ったことを、父が覚えてくれていて」

HCRへの参加理由を話してくれたTakaさんは大学生。ロードバイクは高校時代からはまった。もともと自転車は好きだったがもっと早く走りたくなり、個人取引をしているサイトから気に入ったデザインを見つけ出し、自力で手に入れたそう。

その後は急激にバイクへのめり込んだ。気持ちよく走れる場所を探して「自転車」×「景色が良い場所」で検索していたところ、ハワイのライドスポットがたくさん出てきたという。さっそく父親のHiroさんをハワイライドへ誘ってみたが、当時は自転車乗りでもなかったHiroさんにはさほど響かず、その後、時代はコロナ禍へと突入してしまった。
そして、それから数年経った2023年の年末。

「そういえばそんなこと言ってたな、と」
父は息子のかつての願いをふと思い出した。

実は、父親のHiroさんはTakaさんに影響を受け、ロードバイクの世界にだいぶのめり込んでいた。
親も子の背中を追うことがある。

早速、「ハワイ」「自転車」で検索してみたところ、ヒットしたのがHCRだった。
見つけた時は「これだ!」と感じたそう。
海外を個人で走るのは敷居が高いが、イベントであれば仲間も大勢いる。
ハワイは新婚旅行で来た思い出の地でもあった。
間もなく大学生活を終え、これから忙しくなりそうな息子と一緒にライドするのは最後かもしれないと思い、すぐに奥様も誘って家族旅行も兼ねてのHCR参加を決めた。

前方で走るTakaさんを援護ライドするHiroさん(左)

当日、二人が走ったコースは80km。普段から息子よりも走り込んでいるライダーのHiroさんにとっては余裕の距離だが、Takaさんのペースに配慮した。
ヘルメットにバイク用インカムをつけ、雑談や感想を共有しながら走っていた二人。
ゴール後の「距離が離れても息子と一緒に走っているようだった」というHiroさんの言葉から、嬉しさが滲み出ていた。

一方、本番前にインタビューさせてもらった息子さんからは「いつも一緒に走る予定でスタートするのに父が勝手に遠くまで行っている(笑)」とのこと。
親子で気持ちを繋ぎながら走った、ホノルルセンチュリーライドの初参加はいかがでしたか?

お二人のライド中、奥様は総監督&フォトグラファーとして応援側へ。晴れやかなお二人の笑顔が眩しいですね!ナイスショットをありがとうございました

4 ハワイには病を乗り越える原動力がある/相澤英敏さん

「実はがんになっちゃってね。こないだの春まで抗がん剤治療をしていたんですよ。
でも、この大会だけは一度出たくって」
ショッキングなお話を優しい笑顔で語ってくれた相澤英敏さんは、ホノルルトライアスロンとホノルルマラソンに毎年のように出場し、開催月の5月と12月はハワイで過ごすというのがルーティン。
「とにかくこの空気がいいじゃない? 気持ちよくて、健康的で、何をやっていても清々しいでしょ」

朝陽を浴びてダイヤモンドヘッドを駆け抜ける

そんな相澤さんをHCRに導いたのは、日本とハワイで常連にしている自転車屋さんだった。
「日本で通っている自転車屋さんに、そんなにハワイが好きならあの自転車イベント(HCR)だけは出た方がいいって言われて、ホノルルに来てレンタルサイクルするときも、スタッフさんにロードバイクに乗るならHCRに出るべきだって(笑)。とにかくみんなに勧められるのでいつか必ず出ようと思っていました」

相澤さんががんを罹患したのは2022年のこと。暇さえあれば運動していると自負するほど健康的な生活を送っていたとき、足の裏のしこりに気がついた。ただでさえコロナ禍で我慢を強いられていたのに、ようやく明けそうだというときに病に襲われ「なぜなんだ?」と落ち込んだという。

最初の難関、「Heartbreak Hill/心臓破りの坂」と呼ばれる1kmもの坂を降りずに走る相澤さん(右)

「もちろん集中的な治療をしているときは動けませんよ。でも、入院中もできることがあればとにかく体を動かしていました。ベッドでできること、病室でできること、院内でできることって増やしていって」
まるでトップアスリートが復帰を目指して積み重ねるような努力を、「ハワイが好きだから」というモチベーションで維持し続けた相澤さんは、見事に今年の春に覚解し、HCRに参加した。

出走前も出走後も目を輝かせて話してくれた

「かつて走ったことのない距離だから不安と楽しみが半々。うーん、でも楽しみのが大きいかな!」
出走前はそんなふうに話していた相澤さんだったが、見事に完走。ゴールゲートを越えるとメディアのインタビューに対応し、飄々とフィニッシュエリアを闊歩。こちらの顔を見つけると笑顔で歩み寄ってきてくれた。

「いやー、気持ちよかったね。160kmだから不安だったんだけど大丈夫だった。何度も通ったことがある道だけれど、自転車で走って島との一体感を感じるのは最高!今日はゆっくりするよ」

トライアスロンとマラソンで幾度も体験してきたハワイ。それでも、人生の新たな局面を迎えて全身で受けた風は、相澤さんにとってやっぱり特別だったのではないだろうか。

Photo_HONOLULU CENTURY RIDE / HM-A

<続く>

🚲ホノルルセンチュリーライド2024 ライダーインタビュー
● 初出場者編①
● 初出場者編②