Tour de Brisbane 2026
ファンライドとレースが共存するサイクリングカルチャーを浴びて

オーストラリアの東側に広がるクイーンズランド州のブリスベンで開催される「Tour de Brisbane 2026」は単なる市民参加型ライドの枠を軽く超えてくる。都市を丸ごと使い、スピードとカルチャーを同時に走らせる──そんなスケールのイベントだ。

2026年大会は4月12日に開催され、拠点となるCity Botanic Gardensには早朝から多くのサイクリストが集結した。大会関係者によると参加国は19カ国&地域、参加者は約7,000人規模。オーストラリア国内でもトップクラスの動員を誇る都市型グランフォンドである。

このイベントを語るうえで外せないのが、「UCI Gran Fondo World Series」の公式予選を兼ねている点だ。110kmカテゴリーは明確にレースとして設計され、年代別上位25%に入れば世界選手権への出場権を獲得できる。市民イベントの空気感の中に、確かな競技の緊張感が流れている(出典:公式サイト)。

年代、距離別のウェーブスタート。5:45に34歳以下のUCI 110km組が出走したあと、35-39歳、40-44歳…と続き最後はファミリーライド組

大会前日に出会ったのは「京都北部丹後ブルードラゴン」チーム。競技後にお会いしたら、なんとチーム内から3名が世界選手権への出場権を獲得されていた!おめでとうございます!

一方で、間口の広さもこのイベントの魅力だ。コースは110kmに加え、80km、50kmと距離別に設定され、「Big Family Ride」と呼ばれる非競技のファミリーライドも用意されている。80kmや50kmは仲間と走ることを前提とした設計で、e-bikeやタンデムも許可される。速さを競う人も、景色を楽しむ人も、同じ街を同じ日に走る──このレイヤーの重なりが実に心地いい。

ゆったりスタートした50kmコースとファミリーライドの参加者ライダーたち

編集チームからもライダーSが初出場で50kmライドに参加し、完走。
*2025年のAyakaさんのライド記はこちらから

大会へのレンタルバイクが間に合わず、地元サイクリングメディアPedal Brisbaneの編集長に紹介してもらったレンタルバイクショップ
で滑り込みレンタルしたロードバイクで完走。地元の友人のありがたさよ!

そして、ライド以上に印象的なのが前日から始まるフェスティバルだ。会場となるCity Botanic Gardensでは「Brisbane Cycling Festival」が展開され、受付機能とエキスポが一体化した空間が広がる。バイクブランドやアパレル、ローカルショップに加え、フードトラックも並び、朝から夕方まで人の流れが途切れない。いわゆる“受付会場”ではなく、完全にカルチャーイベントとして成立しているのが特徴だ。

大会エントリーに来たパパと大きなシャボン玉で遊ぶこどもたち
BMXチャレンジもあり
ライド後に仲間とBarゾーンで一杯

海外からのブース参加は珍しく、日本からはGlobal Ride編集部と愛媛県が参加。「しまなみ海道を走りました、最高でした!」と声をかけてくれた地元ライダーにもお会いする。なんと、しまなみジャージを着て当日のイベントをライド!

出展ブース数の明確な公式発表はないものの、複数ブランドの出展が確認されており、体感としては中規模以上のサイクルショーに近い密度がある。来場者はゼッケンを受け取るだけでは終わらない。新しいギアに触れ、仲間と再会し、まだ走っていないのにすでに“イベントに参加している”感覚になる。

当日は年代別ウェーブでスタートが切られ、ブリスベンの主要幹線道路やストーリーブリッジが封鎖される。都市のど真ん中を自転車で駆け抜ける非日常感は、やはり格別だ。ゴール後も会場には人が残り、年代別UCI表彰式で友人に祝福するなど、芝生の上でそれぞれのライドを共有する時間が続く。

UCIの表彰式。年代、性別ごとに行われ、最長年齢クラスは75-79歳。本大会のレジェンドなのか、大勢の観客から祝福の声が上がるライダーもいた。

「Tour de Brisbane」は、競技、観光、コミュニティという3つの要素を束ねたイベントだ。UCI予選という明確な軸を持ちながら、ファミリーライドやフェスティバルで裾野を広げる。その結果として、都市全体がサイクリングに開かれている。

初めて訪れる日本のサイクリストにとって、このイベントはきっとひとつの発見になるはずだ。走ることそのものだけでなく、その周囲にある空気ごと楽しむ──そんなライドのあり方を、ブリスベンは自然に提示している。

Tour de Brisbane