オーストラリア大陸、ケアンズへ100kmを走りに行く
〜自転車で楽しむクイーンズランド州の旅【後編】〜

*本ページはジェットスター航空のプロモーションを含みます

2025年9月14 日、「Port Douglas Grand Fond」が無事に閉幕しました。豊かな種類の植生を囲う太平洋沿岸沿いのハイウェイ以外にも、子供の背丈ほどもあるアリ塚が連なる道、人々の暮らしが見えるゆったりした農地など、オーストラリアを感じる魅力ポイントが満載なコースでした。残念ながらライドイベントは今年で終了ですが、ランイベントは来年もパワーアップして続くそうです。

イベント翌日、100kmライドを完走した編集チームとブリスベンから参加された建築家のAyanoさん、Youheiさんご夫妻はポートダグラス周辺のライド旅へ。
こちらの後編ではAyanoさんによるポートダグラス周辺の観光サイクリングをお届けします。街ライドからザ・オーストラリア!な景観まで、盛りだくさんのアフターライドとなりました。

Text_Mayumi Kamura / Global Ride

1、自転車で楽しむポートダグラス

フォー・マイル・ビーチに沿って南北約6kmに細長いポートダグラスの町。観光するなら自転車がベストです。初夏でも日中は暑くなりますし、早く閉まるお店も多いので、早起きして午前中に町をまわるのがよいでしょう。まずは日の出前にビーチへ。

どこまでも続くビーチを散歩する人々。潮が引くと砂浜が固くなり、ビーチを自転車で走れるそう

日の出を見届けた後はカフェを求めて町を散策。オーストラリアのカフェはだいたい6時には開いているので、早朝ライド後のサイクリストや犬の散歩帰りの人をよく見かけます。いろんなこだわり、スタイルのカフェがあってコーヒー好きにはたまりません。ポートダグラス出身の友人に勧められたのはオリジン・エスプレッソ。小規模な自家焙煎のエスプレッソバーです。

早朝からこのにぎわい。オーストラリアで初めて見かけたエスプレッソ・パウチのポスター。バイクライドによさそう

軽食にはオーストラリアのソウルフード、ミートパイを。ポートダグラス発のモッカズパイは1969年から続く老舗のパイショップ。全国的なパイコンテストで数多くの賞を受賞している有名店です。

珍しいクロコダイルパイ(←おすすめ)とシーフードパイをオーダー。カンガルーパイもあります

ポートダグラスのカルチャーを感じたいならブック・ラウンジ・ポートダグラスへ。迷路のような店内には、ちょっと座って本が読めるコーナーがたくさん。店主のおじさんもとてもチャーミングで、多くの人に愛されていることがわかる素敵な本屋さんです。

オーストラリアで非常に有名な童話「スナグルポットとカドルパイ」の初版本があったり

町の南端にはコアラやカンガルーと触れ合えるワイルドライフ・ハビタットもあります。

ポートダグラス・ロード沿いの遊歩道が気持ちいい。それにしてもポートダグラスのヤシの葉は地面に届きそうなくらい、とにかく大きい

現在はリゾートホテルが多いポートダグラスですが、かつてはゴールドラッシュで栄えた町。一時はケアンズよりも重要な港だったそう。その後はサトウキビ栽培に転じ、隣町モスマンで製粉された原料糖を出荷する拠点港に。しかしながら1911年のサイクロンにより壊滅的な被害を受け、現在のようなリゾートになったのは1980年代以降のこと。そうした歴史を伝える旧跡が町の各所に点在しています。

こうした看板をみかけたら、それは旧跡。自転車で巡ってみよう。オーシャンビューを望める木造の教会があったり

セントラル・ホテルもその一つ。オーストラリアの町には必ずパブホテル(ホテルとして利用できるところもある)があり、パブ飯も重要なカルチャーの一つ。

ファーノースクイーンズランドに来たなら定番のグレートノーザンのラガービアーを。夏には水のように爽やかなビールがいい

1日の締めくくりに海辺の遊歩道をゆるゆる走るのもお勧めです。

海を様々な角度から楽しめる町。ちょっとしたウォーキングトレイルも整備されており、フォー・マイル・ビーチを見渡すビュースポットがある

2、ちょっと足を延ばすならモスマン渓谷へ

ポートダグラスの隣町、モスマンまでは自転車で1時間ほど。試しに自転車で行ってみましたが、キャプテンクック・ハイウェイを通らざるを得ないので、あまりお勧めできません… モスマンの町からモスマン渓谷へは遊歩道が整備されているので、車でモスマンまで行き、そこから自転車に乗り換える方がよさそうです。

サトウキビ畑を走るモスマン渓谷への道

モスマン渓谷はオーストラリアの世界自然遺産であるデインツリー熱帯雨林に触れることができる最南端の場所。カルチュラルセンターが設置されており、遊歩道も整備されているので、どなたでも気軽に楽しむことができます。地元の先住民コミュニティによるガイドも充実しているそうです。

モスマン川の清流。泳ぐ人々の姿も

かつてはサトウキビを通じて関係が深かったポートダグラスとモスマン。一時は二つの町をつなぐ産業用の鉄道が観光鉄道として活用されていましたが、2021年に廃止。さらに、2023年には長い歴史を持つモスマンの製糖所が閉鎖し、町は大きな転換期を迎えているといいます。地元メディアによると鉄道の廃線跡地をトレイルに転換するよう求める声が高まっているという話も。これが実現すると素晴らしい自転車観光ルートになるので今後に注目です。

閉鎖した製糖所。ツアーなども行われていたそう。線路はポートダグラスまで続いている。旧観光鉄道の車両はポートダグラスでカフェとして活用されている

3、絶対見逃せないデインツリー国立公園

ポートダグラスまで来たら、世界最古の熱帯雨林を見逃すわけにはいきません。デインツリーは北に行けば行くほど素晴らしいよと教えられ、普通車で行ける最北端ケープトリビュレーションへ(そこから先は4WDのみアクセス可)。ポートダグラスからデインツリーへは車ごとフェリーに乗って川を渡る必要があります。そこから約10㎞は急峻な山道が続きますが、デインツリー・ディスカバリーセンターからケープトリビュレーションまで約25㎞は平坦な道で素晴らしいライドが楽しめます。

ポートダグラスの観光案内所デインツリーショップでもらえるこのマップがお勧め

各所にウォーキングトラックがありますが、私たちは1時間ほどで周回できるドゥブジ・ボードウォークを選択。熱帯雨林、マングローブ、ビーチを一度に見ることができます。

圧巻のマングローブとオーストラリアン・ファン・パーム(クイーンズランド・ファン・パームとも呼ばれる)
人はいないけど、クロコダイルはいるビーチには気をつけよう

休憩するならデインツリー・アイスクリーム・カンパニーへ。友人からベスト・トロピカル・アイスクリームが食べられると教えてもらいました。自家栽培のフルーツを使用したユニークなフレーバーが魅力です。

4色(ココナッツ・マンゴー・ブラックサポテ・ワトルシード)を一度に楽しめるシグネチャーカップがお勧め。デインツリーで栽培されているお茶も販売されている

4、車と自転車のコンビネーションがちょうどいい

世界遺産への玄関口となっているケアンズ市ポートダグラス。その魅力を最大限楽しむなら、車と自転車のコンビネーションが最適。ケアンズ、パームコーブ、ポートダグラスなら比較的安価に自転車を借りられます。Eバイクのレンタル台数も多く、ヘルメットも貸してくれるのでぜひ少し足を伸ばして自転車旅を選択されてみてはいかがでしょうか?

Text_Ayano Omura

🚲

ケアンズライド&観光を満喫したら、レンタカーやホテルのシャトルバスでケアンズ国際空港まで。帰りも直行便でスムーズなので、ストレスなく帰路につけます。カウンターや機内には日本語話者クルーが配置、搭乗されており現地からでも安心。ノーストレスで約7時間、時差1時間の快適なフライトで日本へ。

ちなみに…、ケアンズから日本までの帰路途中には、天候次第で窓からグレートバリアリーフが望めます。人生初の珊瑚礁を上から眺める体験に、帰りの機中までテンションが上がりました。ザ・南半球!なきれいな海の広がりはさらに思い出を加えてくれる旅となるでしょう。

到着後は成田空港第3ターミナル前から都内へのリムジンバス運行、鉄道駅がある第2ターミナルまではシャトルバス運行でトランク運搬も楽です。リムジンバスは最終出発時刻が早いのであらかじめ時刻チェックをお忘れなく。

Profile

Ayano Toki
ブリスベンを拠点とする建築設計事務所Parafeeld共同主宰。オーストラリアに移住後、ツーリングバイクに乗り始める。自転車を介して都市と自然の関係やその歴史を学ぶことに関心があり、時折クリーク・ライドやレールトレイル・ライド、バイクパッキングに出かけている。