北海道・洞爺湖一周のショートトリップへ

先日、東京の浜松町で開催された北海道観光情報交換会へお邪魔しました。テーマは、春〜初夏のおすすめ情報とナイトタイムエコノミー(夜の時間の過ごし方)。いまはスノースポーツ客で賑わう当地ですが、雪が溶けたらサイクリングにも絶好のロケーションが数多あります。

とはいえ、広い北海道のサイクリング情報って意外と見つかりませんね。

今回は、自転車で日本一周経験があり、国内の数々の名峰も登頂しているほこからさんの、北海道・洞爺湖サイクリングレポートです。土地が広い北海道でのサイクリングは、道中に町がないこともしばしば。食料補給やトイレなど、事前のリサーチが欠かせません。ひとりサイクリング旅が日常のライダーによる、一足早い春の北海道ライド36kmをお届けします。

北海道・洞爺湖は、支笏洞爺国立公園に位置するカルデラ湖で、外周約36キロの一周コースがサイクリストに人気です。

JR洞爺駅からスタートすれば、湖畔を間近に感じられる道道洞爺虻田線を走り、静かな水辺の風景や田園の広がりに出会えます。途中には温泉街や地元の食事処もあり、休憩や食事を楽しみながら進めるのも魅力のひとつ。

そして何より、湖面の向こうにそびえる羊蹄山の姿は、この周遊コースを象徴する景観といえるでしょう。景色と味覚を合わせて堪能できる、そんな洞爺湖一周サイクリングコースをご紹介します。

Text_Hokokara

洞爺駅よりスタート

スタート地点はJR洞爺駅。函館駅、札幌駅それぞれから特急に乗り2時間弱で到着します。道央と道南の中間地点として観光の拠点とするのも良いでしょう。

洞爺駅から洞爺湖湖畔までは約4kmの上り坂。ウォーミングアップがてらに国道230号をゆっくりと上っていきます。青看板に突き当たると洞爺湖の湖畔です。今回は時計回りに進むのでそのまま国道230号を走ります。

木々の間からちらりと水面がのぞく

やがて視界が開け、洞爺湖の全貌が広がります。静かな湖面にくっきりと浮かぶ中島の稜線、そしてその背後に連なる山々。空の青と雲の白が水面に映り込み、湖ならではの穏やかな風景が目前に現れます。ここから先は、湖を時計回りに走りながら刻々と変化する景色を楽しんでいきます。

すぐに国道230号から分かれ、ひと気のない北海道道578号洞爺虻田(あぶた)線に入る

洞爺虻田線は湖岸に沿って敷かれており、魅力は水面との距離が近く、常に湖を横に感じながら走れること。遮るものの少ない視界からは、中島や周囲の山々が角度を変えながら姿を見せ、サイクリングならではのゆっくりとした景観の変化を楽しむことができます。

湖岸の植生や静かな水面が広がる気持ちの良い道ですが、生活道路として利用する車は一定数通行するため、走行には注意が必要です。湖畔に寄り添うような区間では特に道幅が限られる場面もあるので、景色に目を奪われすぎず安全を心がけたいところです。


とうや・水の駅で休憩

とうや・水の駅という大きな建物が見えてきました。ここには観光案内所や地元で採れた野菜や、加工品などが売られた物販コーナーがあります。

施設内にある「洞爺水の駅食堂TSUDOU」で食事をすることもできますが、オープンは11時から。今回のサイクリングはスタートが早朝でしたので現時刻はまだ9時を回ったばかりです。ここでは水分補給だけにとどめて先へまいりましょう。

とうや・水の駅
https://www.touyanet.com/free/mizunoeki

水の駅を出て再び湖畔を進んでいくと財田(たからだ)地区に入ります。広々とした田んぼが広がっていました。湖岸に沿った景観といえば森や水辺のイメージが強いだけに、湖のすぐそばに稲穂が並んでいる光景には意外性があります。

洞爺湖北方にある財田地区は幻の米とも謳われる「財田米」の産地として有名です。先ほど休憩に利用したとうや・水の駅はそんな財田米の数少ない直売所でもあります。


壮瞥町で味わうエゾ鹿ラーメン

壮瞥町(そうべつちょう)に入りました。そろそろお昼時ということで昼食にしようと思います。

日帰り温泉「来夢人の家」内に併設されているお食事処「味処 旅と人」にてエゾ鹿ラーメンを頂きました。北海道といえばエゾ鹿。エゾ鹿の骨からとったスープに、チャーシューはエゾ鹿の高級部位“ロース”を使った自家製ローストと、エゾ鹿づくしの一杯。

鹿肉といえば少々の獣臭さがつきものですがこのラーメンは言われなければ鹿でスープをとったとは気づかないほどの臭みのなさ。特に鹿肉のローストはこれまで食べてきた中で最も柔らかく美味しかったです。変わり種としてではなくシンプルに絶品の一杯としてお勧めしたいラーメンでした。


蝦夷富士「羊蹄山」を眺める

昼食を終えて再びペダルを漕ぎます。洞爺湖サイクリングもすでに全行程の3/4が終了しています。もう少しで一周完了というところですがいったん湖畔を離れて高台に移ります。

坂を上がってやってきたのは「壮瞥公園」。

園内の高台に立つと、洞爺湖の向こうに堂々とそびえる羊蹄山を望むことができます。壮瞥公園から望む羊蹄山は、まさに湖畔一周のハイライトといえる景観。各地の美しい独立峰は「○○富士」と呼ばれることがありますが、この山は「蝦夷富士」として古くから親しまれ、北海道を代表する名峰とされています。洞爺湖を周回するコースの中でも、羊蹄山を正面に捉えられる場所は限られており、この壮瞥公園は絶好のビューポイントです。


足湯「洞龍の湯」につかる

壮瞥公園を出たら洞爺湖岸で標識を前に撮影
洞爺湖町に再び戻る
湖畔サイクリングに戻って洞爺湖町に入ったら洞龍の湯という足湯を発見。30kmあまりペダルをこいでくれた脚をここで休めさせてもらいます

甘味処「オカダヤ」でおやつタイム

足湯を堪能した後は甘味処「オカダヤ」にておやつタイム。こちらの名物は白いおしるこです。温かいものと冷たいものがあり、本日は冷たいおしるこを頂きます。中央におはぎアイスが浮かんだこの「洞爺湖しるこ」はまさに洞爺湖どおりのユニークな見た目。洞爺湖サイクリングを締めるにふさわしいスイーツです。

くどくないあんこの甘さに、冷たいおしるこが火照った体に染み入ります。さっぱりと清涼感のある一杯、ごちそうさまでした。

周遊サイクリングのスタート地点に戻る
洞爺湖を一周し、再びスタート地点の洞爺駅に戻る。これにて洞爺湖一周サイクリングは終了

洞爺湖一周約36キロの道のりには、湖畔に広がる田園や温泉街の賑わい、そして地域の食文化に出会う楽しみがありました。なかでも、湖面越しに端正な姿を映す羊蹄山は、このコースの最大の見どころといえます。蝦夷富士の名にふさわしい山容を背景に走る時間は、サイクリングの記憶をより鮮やかなものにしてくれるでしょう。自然と人の営みが調和する洞爺湖を、皆さんも自転車で巡ってみてはいかがでしょうか。


Profile

Hokokara
宮崎県出身。山と神社をテーマに全国を巡る旅を続けるブロガー。過去には自転車で日本一周を達成し、現在は「ひのもと行脚」にて登山や歴史、風景にまつわる記事を発信している。今後は海外にも取材のフィールドを広げ、日本と世界の魅力を発信していく予定。
ブログ「ひのもと行脚」 https://fawtblog.com/