ウチナーンチュライダー 長濱良起が案内する
冬でも楽しめる! 沖縄・シーサイドサイクリング

はじめましてみなさん。自転車は好きですか?そりゃ、きっと自転車好きな方がGlobal Rideさんの本コラムにたどり着いているのでしょう。それでは「年末なのに気温25度のとっても海がきれいな沖縄」はお好きですか?

今回は沖縄で生まれ育った芯からのウチナーンチュライターである私・長濱が、1年中楽しめる気軽なシーサイドサイクリングをご案内します!地元民も目からウロコな新鮮な旅を、追体験してみませんか。

目次

本日のコースは沖縄本島中部東海岸
特別な歴史を感じる街並み・沖縄市コザ
沖縄市⇒うるま市 もずくタコスも頂きます
世界文化遺産で悠久の時を感じよう
お待たせしました。海です
青にまみれた海中道路
いざ浜比嘉へ
あなただけの沖縄観光を自転車で

本日のコースは沖縄本島中部東海岸

沖縄本島中部の中心都市・沖縄市のコザ地区を起点に東へと進む約24kmのお気軽コースです。ゆっくり景色を楽しみながら、海中道路を通って浜比嘉島という離島まで行きましょう。「海中道路」って名前、素敵ですよね。

特別な歴史を感じる街並み・沖縄市コザ

スタート地点は沖縄市コザ。ここゲート通りは、米空軍嘉手納飛行場のゲート2 を中心に成立してきた門前街としての性質から、その名が付いています。週末の夜ともなると通り全体がナイトクラブにでもなったかのように、重低音響く賑やかなエリアです。

英語の看板の方が多いです
ライブハウスや「ジェントルマンズクラブ」も。沖縄市は音楽の街でもあります。ロックやヒップホップ、沖縄民謡やエイサーなど、ジャンルを問わずに沖縄県内でも特に盛んです
カッコイイ自転車屋さんもあるので、もし必要なものがあれば揃えることができます

本格的に漕ぎ出す前に腹ごしらえ。天ぷらでも食べましょうかね。沖縄の天ぷらは衣が厚く、どちらかというとスナック的な位置づけです。定番のさかな天ぷらを頂きます。

上間てんぷら店のさかな天ぷら

沖縄市⇒うるま市 もずくタコスも頂きます

しばらくは都市部でのライドが続きます。

沖縄にいるとどこからでも海が見えると思っているそこのあなた!海にはちゃんと近づかないと見られませんよ!というのも、沖縄本島は思った以上に起伏が激しく、自転車を日常使いする人はあまり多くありません。一方でアクティビティとしての人気は近年高まっているような感覚です。毎年秋には「ツール・ド・おきなわ」が開催され、海外からも参加者が集まる人気の大会です。

東に進んで沖縄市からうるま市へ。平成の大合併で誕生した、沖縄県人口3位の市です。そんなうるま市の特産品を中心に取り扱う「うるマルシェ」で、腹ごしらえパート2です。

もずくタコス。特に沖縄本島中部にはタコス屋さんがたくさんあります
マンゴーソーダで沖縄感を注入しました

世界文化遺産で悠久の時を感じよう

沖縄はほんの150年前弱まで、琉球王国でした。1400年代に琉球が統一されるまでは、各有力者が群雄割拠の争いを演じました。そんな、沖縄各地にあったグスク(城)の一つが、この勝連城跡です。

2000年には勝連城跡や首里城跡などを含む「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界文化遺産に登録されています

気分だけでもタイムスリップしてみて、自転車で進んだ距離だけではなく、時間軸でも思いを巡らせるのも楽しいかもしれません。

下りが中心の今回のライドコースの中では、ここまでの道中がほぼ唯一と言ってもいいほど急な坂があるので、サイクリングのメリハリとしても重要ポイントです。

「うるま市はサイクリストを歓迎します!」という嬉しい案内も
水分補給はもちろんさんぴん茶。さんぴん茶は沖縄では、おそらく一番簡単に手に入るお茶です。自動販売機、コンビニ、商店。無い方が珍しいぐらいあります。

お待たせしました。海です

そして、だんだんと見えてきました。海です。

向こうに見える橋は、これから渡る海中道路です。 ネーミングこそ「海中道路」ですが、実際のところは全長約5kmの橋。この橋を渡ると、平安座島、宮城島など4つの離島に行くことができます。地元の定番ドライブコースでもあります。

自転車旅にはドローンも持って行くと楽しいですよ

青にまみれた海中道路

結局、楽しいんですよ。どう考えても楽しいんです。お気に入りの自転車を漕ぎながら、両サイドを見たら海、海、海。そして視線の向こうには赤い橋が青空に映えているじゃありませんか。地元の僕でさえ楽しいと思っているんですから、観光客の方はもっと楽しいはずです。

キジムナー(沖縄の妖怪=マジムン)も三線片手に交通安全を訴えております。一番大切なことです
透明度は本日も異状ありません

海中道路の途中には、道の駅ならぬ「海の駅あやはし館」があります。沖縄のアイスクリーム。ブルーシールのお店もありますので、ちょうど3時のおやつタイム。

フレーバーは筆者の中で一番人気の「沖縄田芋チーズケーキ」。どうか、僕が生きている間は絶対に存続し続けてほしいフレーバーです。

いざ浜比嘉へ

海中道路を渡っておしまい、では終わらないのが今回の旅です。なんと、もう1本橋を渡ります。橋をホッピングします。その名も浜比嘉大橋です。平安座島から浜比嘉島へと続く橋です。

浜比嘉大橋。左側に見えるのは平安座島です。

徐々に日も傾いてきて、先ほどまでの青を基調とした景色にだんだんとオレンジ色も混ざってきました。

一人称視点でもどうぞ
半農半漁の浜比嘉島は、もずくや塩が有名です。

あなただけの沖縄観光を自転車で

沖縄を舞台にしたコラム第一弾、みなさんいかがでしたでしょうか。自転車の魅力の一つに「ゆっくりとその場を楽しめる」ということもあると思います。移動そのものがすなわちレジャーにもなる。沖縄に住む僕も初めてこのエリアでサイクリングしてみたのですが、歴史も自然もグルメも一気に楽しめる素敵な時間になりました。沖縄にはレンタルサイクル店もいくつかありますので、ぜひ沖縄にお越しの際には自転車旅をしてみてください。みんなが訪れる観光地沖縄で、あなただけの経験ができますよ。



Text & Photo_Yoshiki Nagahama

Profile

長濱良起/Yoshiki Nagahama
フリーランス記者、テレビディレクター、放送作家。琉球大学マスコミ学コース卒業後、沖縄県内各企業のスポンサードで鹿児島―東京間の自転車旅を経て、30カ国世界一周を行う。2018年、北朝鮮での撮影をまとめた写真展を開催。2023年には「10kg痩せるまで帰らない台湾自転車旅」を敢行(まさかの妻も同行)。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(東洋企画工房、2010年)。合同会社XY STUDIO代表。1986年、沖縄県浦添市出身。