ホノルルセンチュリーライド2025
5組のライダーが描くトリップノート
#03 2泊4日/仲間と紡ぐ、優しく美しいライド体験。

シリーズでお届けするホノルルセンチュリーライド2025参加ライダーさんによるホノルルライドトリップノート。
第三回は、日本のサイクリングメディア『LOVE CYCLIST(ラブサイ)』編集長のTatsさん。
スタイルとギアを軸に、国内外のブランドレビューやライドカルチャーを発信するメディアを運営しながら、仲間と毎週ライドを楽しむコミュニティの中心的存在でもあります。
今回は、フォトグラファーとしても活動する視点から、仲間とともに走り抜けた100マイルの記録をレポート。
ハワイの風、現地の空気、そして仲間との時間がどんな瞬間を生み出したのか――LOVE CYCLISTならではの視点でお届けします。

行程
1日目 移動 夜:羽田発
2日目 移動 午前:ホノルル着 
受付 午後:ゼッケン受取
観光 夕方:ワイキキ観光
3日目 本番 ホノルルセンチュリーライド2025参加
4日目 観光 午前:ワイキキ観光
移動 午後:ホノルル発
移動 夜:羽田着

ホノルルセンチュリーライドは、日本人参加者の割合が最大規模の海外サイクリングイベントだから、いつか走ってみたいなと思っていた。今回は縁があって、LOVE CYCLISTメンバーから3人で参加。
スケジュールの都合上、最短で行ける2泊4日の行程となったが、ホテルからゼッケン受取場所や会場は近いので、着いてさえしまえばワイキキを散策する時間は取れた。余裕があるなら3泊5日であれば丸1日はホノルル観光も堪能できるので、多めの日程確保をおすすめしたい。
東京とホノルルの時差は-19時間。それほど時差は感じにくいので、この工程でも体調面では問題なかった。

チームLOVE CYCLIST

今回は3人チームで参加。気候は東京の真夏と比べると穏やかで、湿度が低いのでライドには最適。朝は少し冷えるが、半袖ジャージとビブショーツだけで十分だった。
装備は最低限で、パンク修理キットと補給食さえあればOK。あとはエイドや道中のコンビニ等で食料は調達できる。

Tats:ラブサイ編集長。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。海外は台湾以来7年ぶり。
Anna:福島県出身。走ることが大好きで、休みのたびにさまざまな山に遠征。ジャンル問わず洋楽メインのフェスが好物。海外はベトナム以来2日ぶり。彼女は日本人参加者からよく声を掛けられた。
Saad(サード):バングラデシュ出身。日本滞在歴5年。楽しくなると飛ばしてすぐ集団からいなくなる。カレーづくりが得意。海外は米国以来2週間ぶり。

9/27(土)

羽田から約8時間のフライトでホノルルに到着。みなテンション高め。

今回泊まったホテルは「アウトリガー・ワイキキ・パラダイス・ホテル」。イベント会場から自転車で10分未満の距離なので、朝出発したらすぐに会場に着ける。

ジャージとバイクにゼッケンを取り付けてすぐに出発できる状態にしておく。初めてのホノルルセンチュリーライドにわくわくしながら眠りにつく。

9/28(日)

0-40km

起床時刻は4:30。開会セレモニーが行われる5:30に間に合うように出発する。

スタート地点のワイキキビーチ沿いにあるカピオラニ公園へ。
走力に合わせてA/B/Cグループに分かれてスタートするが、先頭のAグループはほとんど日本人。開会の挨拶も日本語と英語の2か国語で、現地で日本人参加者が歓迎されていることを感じる。

6時頃、カウントダウンとともにスタートが切られたと思ったら先頭グループが思ったよりも速い。いくつものトレインを形成しながらスピードに乗って街中をかけていく。異国の街を駆ける体験にみなテンションが上がっているのを感じる。

市街地をハイスピードで抜けた先に、けっこうキツめな坂。温まった脚のまま、トップ集団はサクサク登っていく。

その先にあるのが、今回新設されたハナウマ湾を望むルート。ここの景色は素晴らしく、本コースで一番の見どころだった。ここは強度を上げて駆け抜けるよりも、少し脚を緩めてじっくり景色を楽しみたい。

最初のエイドでは、揚げドーナツやフルーツなどが振る舞われる。朝日とダイヤモンドヘッドを見ながらしばらく朝ごはんの時間。
エイド内にいくつか設置されていたスプリンクラーが突然動き出して、停めていた参加者の自転車が次々と水浸しになっていったのがハワイらしかった。

40-80km

再び上り坂の先にあるマカプウ岬。海の向こう側にある陸地までコースは続いている…!

交通量は多いものの、バイクレーンが設置されている箇所が多くて走りやすい。

ふたつめのエイドステーションを経由して、ハイペースのまま進んでいく(まだ前半で余力はある)。海沿い、ジャングルエリア、高級住宅街エリアなど、短い距離の中にさまざまなエリアが顔を出してまったく飽きない。

ハワイ諸島は火山性の島だから山の地形も珍しいかたち。初めて見る山並みに異国感を覚える。

コース後半の目玉がカメハメハ・ハイウェイ。海のすぐそばを自転車で走ることができる。海の色がものすごく印象的で、思わずため息が出る。今更だが「本当にハワイに来たんだ」と感じるほど心躍る色彩。

80kmの折り返し地点。ここまでかなり踏んできたので、長めの休息を取ってイベントの空気を楽しむ。

80-120km

ここから折り返し。復路は地元の雰囲気を楽しむためにちょっとペースを落とそうとしていたところ、早速コーヒーワゴンに遭遇(めちゃめちゃコーヒーが飲みたいタイミングだった…!)。

“An unhurried rhythm”という言葉がぴったりのゆるやかな空間が最高。ここだけではなくハワイ全体がそんな雰囲気。

ひとつのコーヒーワゴンのまわりに、さまざまなストーリーが交錯している。居心地が良くて、30分以上滞在していた。

復路は基本的には往路と同じルートを戻るが、ところどころ違う道へと案内される。行きと見る景色も違うため、終始新鮮な気分が続く(だんだん疲労感が溜まっていくので無理はしない)

コース上には目立つ案内板が立っているので迷うことはない

120-160km

120km地点でさすがに疲れが表情に出てきた。エイドだけだと特に塩気のある補給が足りないため、途中コンビニでハンバーガーを追加投入。ところどころこうしたインフラがあるので、ハンガーノックになる心配はない。

エイドステーションの看板が見えるとホッとする。

スタート地点の公園が見えて帰ってきたー!と思った。

無事にゴール!スタッフの方々が歓迎してくれる。

100マイル走ったー!サドルの上でわちゃわちゃしていたら、100マイルは思ったよりも一瞬だった。コース上の交通量は全体的に多いけれど、自転車レーンの整備や二段階左折しなくてOKなど、車との共存社会ができているのがすごくいい。
反省点は前半に飛ばしすぎたこと…だけれど、楽しくなって踏むのもアリだよね。

ホテルに戻ってさっぱりしたら、夜のワイキキに繰り出す。最後の夜だから、ハワイにしかないお店に入ったり、お酒を飲んだり、思い残しがないようにした。

9/29(月)

翌朝は午前中フリーだったので、少しだけワイキキビーチを楽しむ。旅の終わりを感じていたけれど、日中の開放的なワイキキビーチにみんなハッピーな気持ちになった。

ホノルルでしか得られない、優しく美しいライド体験。

初めて走ったハワイの100マイルは、気候も人も驚くほど穏やかで、終始安心して楽しめた。
運営は丁寧で、エイドや案内も充実しており、どこまでも「走ることを楽しんでほしい」という気持ちが感じられる。
それでいて、島の時間はゆっくりと流れ、どの瞬間も写真に残したくなるほど美しかった。

ホノルルセンチュリーライドは、走ることを純粋に楽しませてくれる優しさ溢れるイベントだと感じる。
また来年もチームでこの島に戻って来られたらいいな。

Profile

Tats Shimizu
フォト&ビデオグラファー、自転車メディア『LOVE CYCLIST』編集長。スポーツバイク歴12年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。国内外の自転車にかかわるブランドの撮影を多数手掛け、幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。