下町自転車散歩 03
神田祭 ~日本橋、東京、神田、秋葉原~

東京は神田に生をけいつしか半世紀、下町こんぶと申します。今回は2年に一度開催される神田エリア最大の祭、神田祭をdocomoのシェアバイクで巡りました。江戸時代から続く江戸三大祭の1つであり、日本三大祭に選ばれることもある、日本で最も有名な祭りの1つです。今日の空は五月晴れの自転車日和。お時間あれば少々のお付き合いを。

目次

日本橋で江戸気分をチャージ
明治が薫る東京駅
オタクカルチャーの聖地、秋葉原に寄り道
108の神輿が集う神田


日本橋で江戸気分をチャージ

まずは電車で日本橋の老舗百貨店、日本橋三越へ。江戸時代を代表する商家、三井家の流れをくむこの百貨店では、神田祭の特別展をロビーで開催(現在は終了しています)。江戸時代の神田祭の様子を描いた絵巻物や浮世絵などが無料で展示されていました。

天女像。三越のお客様に対する基本理念「まごころ」を表現するため、まごころ像とも言われる。

ロビーに飾られている天女(まごころ)像は、全長約11m。巨大だが威圧感を感じさせない優美な姿でお客様を出迎えています。このロビーでは週末になるとパイプオルガンによる無料演奏会も開催されており、物価高の昨今、企業のまごころを感じる嬉しいサービスです。

お隣の三井記念美術館では神田祭の時期に合わせるように名刀展が開催。年代物の名刀や甲冑、武者絵の絵巻物をたくさん見ることができました。特に、戦のない江戸時代の刀剣はこまやかな装飾で目を奪われます。海外からの観光客と思われるお客さんも多数。

江戸の気分をチャージして準備万端。近くのドコモバイクシェアをレンタルします。
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明治が薫る東京駅

自転車で立ち寄ったのは東京駅。「日本近代建築の父」と言われる辰野金吾設計の明治時代の名建築は、文明開化の薫りを漂わせています。

東京駅から振り返れば、行幸通りの先に皇居が。ご存じのように明治期に天皇家の居所となった、徳川家の居城跡地です。周囲に巡る5kmほどの堀沿いはランニングの可能な広い歩道で、「皇居ラン」としてランナーにもおなじみの場所。
皇居は日によっては事前予約または当日受付で、敷地の一部を参観することも可能です。
詳しくはこちら


オタクカルチャーの聖地、秋葉原に寄り道

15分ほど走り、秋葉原へ移動。日本のオタクカルチャーの中心地にあるアニメ・おもちゃで有名なバンダイの可動フィギュアショップ「TAMASHII NATIONS STORE」へ。ウルトラマン、ガンダム、ドラゴンボールなど有名なキャラクターの精巧なフィギュアが陳列されています。店内は一部を除き撮影自由。しばし童心にかえり写真を撮りまくりました。旅行者の方はお土産にもいいかもしれません。


108の神輿が集う神田

秋葉原から少し進むとスゴイ人出。それもそのはず、今日は神田エリア108の町会の神輿が乗り入れる最大の見せ場、神輿宮入の日なのです。道路封鎖をした大通りを各町自慢の神輿がねり歩きます。この日だけはどんなファッションも担ぎ手のいなせな法被姿にはかないません。
さすがに身動きが取れないので、一旦近場のポートに自転車を返却。通りの賑わいを楽しみながら、神輿の乗り入れ先である神田明神へと徒歩で向かいます。

ちなみに、神田祭に参加する町会は昔の町名を名乗ることもあり風情があります。私の住んでいた町会は昔の名前で「旭町」と名乗っていました。小学生の時、神輿を担いでいたら沿道から話したことのない同級生に応援されて少し恥ずかしかったことを、ふと思い出します。

神田明神は、武士の先駆けの「兵(つわもの)」として歴史に名を遺す平将門らを祀った神社。神田108町の氏神として今も変わらず地元民に「明神さま」とよばれ親しまれています。
今日の明神さまは「わっせ、わっせ」のかけ声も勇壮に乗り入れる各町会の神輿と、見物客ですごい混雑。見物していても汗の滲む熱気の中、1日神輿を担ぎ通した担ぎ手の皆さんお疲れ様です。

神田明神の出口では、法被を着たワンちゃんが通行人の熱い視線を独占していました。ねじり鉢巻き姿もチャーミングです。

最後に蕎麦でも食べて帰ろうと思った矢先、やり残しを思い出し再びシェアバイクをレンタル。大手町の高層ビルの谷間に設けられた、平将門の首塚を訪れました。
神輿の乗り入れのため本日は神田明神で参拝できないため、こちらでゆっくりお参りというわけです。ナイスアイデアだと自画自賛したのですが、誰でも思いつくことのようでこちらも結構混んでいました。
ここは、戦に敗れた将門の首が飛んで落ちたという由来をもつ場所。昔訪れた時は小ぢんまりしていた印象がありますが、今では建て直され広くきれいになっています。様々な逸話を持つ場所なので、超自然的なエピソードがお好きな方は訪れてみてはいかがでしょうか。

首塚にお参りした後は、1880年創業の神田淡路町の老舗「かんだやぶそば」へ。近くのポートに自転車を返却し、合流した友人と蕎麦前をあてに杯がすすみます。締めに飲めるのがシェアサイクルの良さだなと、舌鼓を打ちつつしみじみした飲兵衛のワタシなのでした。

Text & Illustration_Shitamachi Kombu

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Profile

下町こんぶ
週末ライター。東京神田生まれ三代目の江戸っ子。下町再発見に興味あり。本格的な自転車経験はないが、通勤時の相棒として、電動自転車を日々重宝。方向音痴が悩みの種。私淑するエッセイストは東海林さだお。ライターネームは駄菓子屋の定番「都こんぶ」にあやかる。