上野駅から45分で旅情満喫。
霞ヶ浦1周110kmと、ライダーに優しい街土浦
こんにちは、温玉ねぎとろです。コロナ禍前にスペインのカミーノを自転車で巡礼した際に、スペイン人ハイカーから「熊野古道は行ったのかい?是非行くべきだよ!」といわれたことをふと思い出しました。海外のハイカーの間ではスペインの「カミーノ巡礼」「四国八十八カ所巡礼」「熊野古道」はとても人気があります。私は過去に前者2ヶ所については自転車で旅をしたのですが、熊野古道・紀伊半島は走ったことがありませんでした。地元の大阪から近いようで遠い、過酷な自然を育む紀伊山地。今回は古代の参詣道「小辺路」「中辺路」「大辺路」をベースとして、それに沿うように自転車でも走行可能な林道を辿り熊野三山を巡るルートをライドしました。
注)サイクリストとハイカーが共存し、持続的な観光を目指しているため、熊野古道は自転車通行ができません。本レポートでは熊野古道に沿った林道を走行しています。
目次
1. 夏ライドは高地に限る、標高500mの出発点
2. スカイラインの絶景VS過酷な小辺路
自転車で高野山へ行くには、南海電鉄の極楽橋駅で下車するのが便利。大阪の難波から1時間40分ほどで到着します。
今回は友人と二人で走りました。オフロードを走る際は動物や遭難の危険もあるため、なるべく仲間と一緒の走行を心がけます。8月の中旬ということもあり、暑さを警戒していましたが、極楽橋駅(標高535m)まで来ると涼しい風を感じます。
極楽橋駅からは旧高野街道に併走するオンロードを走行。旧高野街道などの石畳の道は自転車が禁止されている場合もあり注意が必要です。オンロードとはいっても4kmほどの距離で一気に300m以上上昇するハードな道ですが、木々の間をかき分けていくような道を通るため、直射日光を浴びることなく涼しさを感じるルートとなっています。
高野山に着いてからはまずコンビニで食事と補給を 。ルートにもよりますが、今回の予定ではこれ以降、コンビニもなければ食事ができるお店もほぼないので、しっかりと買い物を済ませます。紀伊山地を旅する際は飲み物も含めた食料戦略をしっかりと練ってください。自販機もなかなか見つからないので注意が必要です。また、お店の営業時間も短い場合が多いので事前のリサーチが重要となってきます。
高野山を出発してからは国道371号を通り龍神スカイラインを上っていきます。標高800m付近の高野山からさらに400mほど登り、紀伊半島を一望できる尾根沿いの絶景を堪能。
標高が高く、8月の中旬ながら気温は最高でも28℃程度。尾根沿いで開けた道が多く涼しい風が通るため、夏場の登りでも暑さに苦しむことはありませんでした。
龍神スカイラインは熊野古道の小辺路と併走・交差します。そのため、山の中の入り組んだ国道にも関わらず歩行者や ハイカーにも出会うことも多いです。ここでは フランスから来たハイカーと出会いました 。
今回の私たちの旅のコンセプトはオフロードで熊野三山を目指すこと。熊野古道は自転車で走れないので、他のルートを探して 設定していきます。
紀伊山地ではたくさんの林道・オフロードが点在しているため、オフローダーは道選びに困ることはないと思います。ただ、私有林が多いため通る際には注意が必要です。通行禁止の道もありますので気をつけましょう。 一方でこれは紀伊山地に限った話ではありませんが、オフロードは年々舗装化が進んでいるため、いつまでも同じ景色を見られるというわけではありません。チャンスを逃さずに!
奈良県の野迫川村の林道を通ります。
林道を目指して龍神スカイラインから一歩外に出ると急勾配・急カーブの坂道だらけです。急峻な山に暮らしてきた人々の苦労を「道」から体感することができます。
道中には携帯の電波も通じなければ近くに民家や建物もありません。それほどに紀伊山地は過酷で、山深い地形を形成しています。
そのため紀伊山地のオフロードを走行する際には、事前にしっかりと下調べを済ませ、スマホなどの電子機器だけではなく、紙の地図などを読み解く準備と能力も必要となってきます。
時折現れる湧き水で顔や体を冷やして一休み。熊鈴と砂利道を走る走行音だけが辺りに響き渡る贅沢な時間を堪能しました。世界に自分たちしかいないような感覚。都会の喧騒もオフロードは忘れさせてくれます。
再び山の尾根まで戻ります。傾く夕日を背にしながら、遠くまで続く紀伊山地を静かに眺めます。1200年前に高野山を開いた空海や自転車がない時代の人々が見た景色と同じ景色を見ていると思うと歴史のロマンを感じます。
<続く>
🚲本日のコース
次回
グラベルマニアが古代の旅路に乗る #02
〜熊野三山詣、極上のマグロ、サイクルトレイン〜
🚲温玉ねぎとろの記事
輪行プロフェッショナルがお届けする輪行ガイドシリーズ
● 海外編
● 国内編01
● 国内編02
グラベルマニアが古代の旅路に乗る
● 紀伊山地、熊野古道、オフロード
● 熊野三山詣、極上のマグロ、サイクルトレイン
Text_Negitoro Ontama
Profile
温玉ねぎとろ
大阪府堺市出身。会社員・ライター・ブログ「自転車旅行研究会」管理人。幼少期から自転車に旅の荷物を載せたキャンプツーリングを行っており、国内のほとんどの都道府県を走破。また、大学在学中は自転車サークルに所属しており、ソロで10カ国以上を自転車で来訪。輪行経験豊富。2023年には厳冬期北海道を自転車で縦走するなど、エクストリームなキャンプツーリングを行う。近年はロングライドにも力を入れており、2023年にはブルベでSRを取得。2024年のGWには1900kmのブルベも完走している。今後はPBPやLELの完走を目指しつつ、海外キャンプツーリングも積極的に行っていく予定。
投稿日:2024.10.30