下町自転車散歩 #01
東京下町谷根千エリアで御朱印集め

目次

 1. こんにちは、お江戸下町っ子です
 2. 若い世代にも人気の谷根千エリアで御朱印集め
 3. 下町にもE-BIKEの波が。レンタル自転車でぶらり散歩へ
 4.ランドマークの根津神社で御朱印帳と御朱印をゲット
 5.白山神社で特撮っぽい狛犬に出会う
 6. 老舗のせんべいは四角い?
 7.日本人が愛する侍物語由縁の寺へ
 8.谷根千エリアは町ぶらグルメもぬかりなし

早速ですが、今日のお宝。

1、 こんにちは、お江戸下町っ子です

はじめまして。東京・下町生まれ、下町育ちの下町こんぶと申します。一応、3代続いている江戸っ子です(東京は3代住めば江戸っ子、横浜は3日住めば浜っ子と呼ばれるそうです)。
本コラムでは、東京都内の下町と呼ばれる庶民的な地域をレンタル自転車で巡り、町の魅力をお届けします。駄菓子のように気軽なレポートをお楽しみください。

2、若い世代にも人気の谷根千エリアで御朱印集め

2024年1月某日。

日本晴れの天気に誘われるように、東京の寺社が多く集うエリア「谷根千」で御朱印集めの自転車散歩をしてみることにしました。「谷根千」とは東京の東側に位置する谷中、根津、千駄木の街をまとめた総称。かつては夏目漱石や森鴎外など日本を代表する文豪たちが住んでいた文化的な地域です。

御朱印集めは日本に昔からある収集趣味ですが、若い世代にも人気があり、寺社巡りの楽しみの1つとして定着した感があります。日付つきの、その日その場所でしか入手できない書画を頂けるというのはぜいたくですね。
といいつつ、実はきちんとした御朱印集めは初体験なので下調べ。ふむふむ、受け取り方としては、以下の2種があるそうです。

1.御朱印帳に直接押印して日付を筆書きしていただく形
2.あらかじめ押印済みの紙にその場で日付を筆書きしていただく別紙タイプの形

ということで、まずは御朱印帳も販売している根津神社を目指します。

3、下町にもE-BIKEの波が。レンタル自転車でぶらり散歩へ

電車を乗り継ぎ、根津駅に到着。

地下鉄千代田線根津駅

根津駅から歩いて5分程の不忍通りふれあい館にドコモバイクシェアのポートがありました。ドコモバイクシェアは都内の至る場所で展開されている、都内ではもっとも大手のシェアサイクルサービス。借りたポートと別のポートに返却できるシステムなので、気軽に町をはしごして回ることが出来ます。

不忍通りふれあい館
ポート

まずは借りたい自転車を選び、事前にダウンロードした専用アプリから車両に記載されたバイク番号と、ワンタイムのパスコードを入力してレンタル。

日本の携帯をお持ちでない方へ

ドコモバイクシェアを利用するには、基本的に日本の携帯番号のSMSが必要ですが、以下の方法で自転車を借りることができます。

①ドコモバイクシェアの有人販売所で「1日パス(ECカード付き)」を購入

1日パス(ECカード付き)があれば、日本の携帯がなくてもバイクシェアを利用可能。
編集部で使い方をまとめたページはこちら↓です。
訪日外国人の方がドコモバイクシェアを利用する方法

②地元のレンタサイクル店を利用

目的地の近隣にレンタサイクル店があるか確認しましょう。
WEBで調べてみると、tokyobikeさんというレンタサイクル店がありました。おしゃれなバイクを貸し出しており、ヘルメットも在庫があれば一緒に借りられるそうです。ホームページも英語対応しています。
https://tokyobike.com/tokyobikerentals/

tokyobike Webサイトより

4、ランドマークの根津神社で御朱印帳と御朱印をゲット

少し迷いつつしばらくすると、根津神社の鳥居が見えてきました。
初詣の時期は過ぎていますが、参拝客も多く境内はにぎわっており、訪日外国人の旅行者の方もちらほら見受けられます。

根津神社入口

奥の拝殿では数十名の方が参拝の列を作っていました。受験祈願を御祭神の一柱である菅原道真公(日本では学問の神様として崇められる平安時代の学者)にお祈りするのかもしれません。受験生ガンバ👍と思いつつ、その横にある授与所でお目当ての御朱印帳と御朱印のセットを頂きました。

大鳥居
拝殿
御朱印帳。根津神社の社紋「万字巴(まんじともえ)」がデザインされたものを選びました
御朱印。別紙タイプ

また、4か国語対応のおみくじも用意されていましたので、1枚引いてみました。

結果は小吉
境内にある、乙女稲荷の千本鳥居。写真スポットです

境内のつつじ苑が公開される4月は、特におススメの季節です。

5、白山神社で特撮っぽい狛犬に出会う

根津神社を出て、白山にある白山神社に向かいます。

整備されたきれいな道
「青年の散歩道」というボランティア団体の皆様が道を清掃されているそうです。良い名前です。ベテランすぎる青年の私もありがたく利用させていただきます
東京大学では大学入学共通テストが行われていました

白山神社の入口を発見。
こちらは町中にあるこぢんまりとした神社でした。
根津神社と並び、東京十社に選ばれているそうです。

ようやく発見した白山神社の入口

短い階段を上り、かわいらしいご拝殿でご参拝します。

東京十社
御神徳(神が人間に与える恵みや幸運)の立て看板

立て看板を読むと、航海安全を御守くださる御神徳があるとのことで近年は旅行者にも人気だそうです。

参拝の列を挟むように、左右一対の狛犬が見守っていました。
可愛らしさも感じるデフォルメ具合ですが、金箔に塗られた目は特撮ヒーローの発光する目のようです。

参拝後に、お隣の授与所で御朱印を頂きます。

白山神社の御朱印。こちらは別紙タイプ

6月にはあじさいの名所としても有名な白山神社を出て、最後に谷中の観音寺へ向かいます。

6、老舗のせんべいは四角い?

白山神社から観音寺までは車通りが少なく、快適。

車が少なめで平坦な走りやすい道。
明治の文豪たちも通ったという南天堂書房
老舗せんべい屋「菊見煎餅総本店」

小腹が空いてきたところに老舗の風格を漂わせているおせんべい屋さんを発見。
店員さんに伺ったところ、創業は明治8年(西暦1875年)とのこと。
せっかくなので、創業当時からあるおせんべいをいただくことにしました。

7、日本人が愛する侍物語由縁の寺へ

さて、寄り道をしつつ観音寺に到着。

観音寺を紹介するには、まず「忠臣蔵」に登場する赤穂四十七士との関係について触れないわけにはまいりません。

歌川広重筆 「忠臣蔵」

実在した47人の侍、「赤穂浪士」をモデルとした物語は「忠臣蔵」と呼ばれ、古くから歌舞伎などの創作物で日本人に親しまれました。

この観音寺の6代目住職は四十七士の二人と実の兄弟だったとのこと。その縁もあり、吉良打倒を図る赤穂浪士達の会合がこの寺内でしばしば開かれていたそうです。
そのため、事件後に四十七士の慰霊塔が立てられ、今日に至っても義士の魂を弔う人や、歴史好きなどが多く訪れています。

赤穂浪士供養塔

お参り後に、寺務所に伺います。
ベーシックなものと、スワロフスキーとのコラボ御朱印という珍しいものを2つお願いしました。

通常の御朱印(300円)
スワロフスキーの御朱印(1000円)。漢字とサンスクリット語で書かれています。通常の2倍のサイズ。良くみると観音寺の「観」の字がそれぞれ違っており面白い

8、谷根千エリアは町ぶらグルメもぬかりなし

お寺を出ると、お隣にいい感じのお蕎麦屋さんがありました。

暖簾をくぐり着席すると、七福神うどんという縁起の良さそうなメニューが目にとまったので注文。
メニューについて人の好さそうなおかみさんに尋ねたところ、七福神は谷根千エリアの見どころだそうで、例年1月1日~10日まで御開帳されるということでした。

「よろしければ来年是非どうぞ」といただいた七福神の紹介マップ

さて、あたたかい七福神うどんが運ばれてきました。
具のそれぞれが七福神に見立ててある、遊び心のあるおうどんです。

エビは恵比寿様、袋茸は大黒様、筍は福禄寿、海苔は寿老人、紅白蒲鉾は紅一点の弁財天、ウズラの卵は布袋、鶏肉は毘沙門天だそうです。

まずはおつゆを一口。あっさり目の黒くて温かいおつゆが、冷えた体に染み込みます。うどんは柔らかく、お腹にも負担なくするすると入ります。派手さはないけれども、毎日食べても飽きないような懐かしさを感じる味です。

お会計の際、おかみさんに旅行客の方は多いですかと尋ねたところ、谷根千にはヨーロッパ系の旅行客が多い印象があるそうです。なお、寺社なども含め現金対応オンリーの店が多いようなので、谷根千を訪れる時は現金を多めに持っておいた方が良いかもしれません。

その後は行きがけに気になっていた甘味処「秋田屋」さんをのぞき、みたらし団子を購入。

家に帰っていただいたみたらし団子

本日いただいたおせんべい、うどん、お団子も昔から変わらない味の良さを感じました。
谷根千エリアは町ぶらグルメもぬかりなし、ですね。

自転車をポートで返却して本日の探検は終了。下町の魅力を再認識できた約3時間の谷根千自転車旅行でした。今回は御朱印集めがメインでしたが、この谷根千エリアには寺社や美術館、グルメなどまだまだ魅力あるスポットがあります。また、近隣エリアには日本最初の総合公園で、多数の美術館・博物館と動物園を有する上野公園や、観光スポットとして説明不要の浅草、日本一の電気街である秋葉原などもあり、谷根千エリアを起点にロングライドをしても面白いでしょう。

ぜひまた祭りの季節に谷根千エリアを訪れたいと思った冬の一日でした。

マップ:谷根千エリア御朱印巡り

Profile

下町こんぶ
週末ライター。東京神田生まれ三代目の江戸っ子。下町再発見に興味あり。本格的な自転車経験はないが、通勤時の相棒として、電動自転車を日々重宝している。方向音痴が悩みの種。私淑するエッセイストは東海林さだお。ライターネームは駄菓子屋の定番「都こんぶ」にあやかる。

TRIP&TRAVEL CULTURE
下町自転車散歩 #02
江戸・下町のレジェンド 北斎の名残をさがして(その1)

1856年。フランスの若き版画家ブラックモンは知人のコレクションの陶磁器を見せてもらう。陶磁器は当時海外との国交を禁じていた日本から輸入されたもので、おそらく西欧では希少なものであっただろう。しかし彼の目を惹きつけて離さなかったのは器ではなく、その包装紙だった。それは、葛飾北斎の『北斎漫画』の1ページ。絵に感銘を受けたブラックモンは、その後苦労して入手した『北斎漫画』をパリの画家仲間たちに広め、やがて北斎はフランスからヨーロッパで広く知られるようになる。 …という話は残念ながら創作といわれていますが、北斎が当時のヨーロッパ、とりわけクロード・モネやフィンセント・ファン・ゴッホといった若き印象派の画家たちに強い衝撃を与えたことは広く知られています。 海外では「The Great Wave」と呼ばれる富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」など、だれもが一度は目にしたことのある北斎の絵。日本が初めて芸術デザインを取り入れた現行のパスポートには富嶽三十六景から16~24作品が掲載され、神奈川沖浪裏は2024年秋からの1000円札の新札の図案となるなど、今や日本を代表する画家である葛飾北斎。そして何より本コラム「下町自転車散歩」的には、彼は生涯町絵師として地元を愛したお江戸下町っ子の大先輩でもあります。 本日は下町っ子の不肖の後輩が、北斎が生まれ暮らした墨田区を中心に、その人生の足跡を自転車で訪ねていきたいと思います。 目次  1. やがて葛飾北斎となる者、川の町に誕生(1歳~) 2. ティーンエイジャー(10歳~) 1、 やがて葛飾北斎となる者、川の町に誕生(1歳~) 誕生江戸と下総の国をつな […]

#Tokyo #Hokusai