ホノルルセンチュリーライド2024 ライダーインタビュー企画
ハワイで感じる風、そして…
〜なぜ、ハワイで自転車に? 初出場者編 ①

ホノルルセンチュリーライド(以下HCR)は、ハワイで最大の自転車イベント。

ところが、単なる自転車好きだけが集まるイベントと思っていたら大間違い。空港へ降り立った瞬間に「ハワイ、来たー!ただいま!」と思わせてくれる雰囲気とあの心地よい風を大好きな人たちが、海と空と島の自然をひっくるめ最大限に味わうために辿り着く特別な場でもあります。とはいえ、25〜100mileもの距離を自力でペダルを漕がねばならないのがライドイベントの定め。ハワイにいるだけでも最高なのに…なぜ自転車で?彼らのライドの先には一体何が見えているのでしょうか。

十人十色のハワイの魅力を、個々の参加ライダーたちの声から見つけ出した連載企画をお届けします。まずは、初参加者組の声から。

目次

1 結婚して二人で分かち合うもの/田中裕さん、田中智沙子さん
2 レースではなくファンライド/野田正さん
3 ご縁がつなげた初参加/渡辺照与さん、マックブライド・ジェイソンさん、松永皓史さん

1 結婚して二人で分かち合うもの/田中裕さん、田中智沙子さん

田中裕さんと智紗子さんは、この夏に結婚したばかりの新婚夫婦。

7月にプロポーズをして結婚が決まったときは、まだ新婚旅行をどこするか、そもそも新婚旅行へ行けるのかもわからなかった。そんな中、ライド好きの裕さんが、各地のトライアスロンの大会に参加している先輩から、「世界で一番オススメのイベント」としてHCRの話を聞き、参加を思い立った。

「あれだけたくさんのイベントに参加している先輩のおすすめだったので間違いないと思いました。結婚して最初に二人で分かち合える経験がHCRだったら最高なんじゃないかと」

そう話す裕さんは、初めてロングライドに挑戦する智紗子さんを終始気遣って、風よけになるポジションをとったり後ろから励ましの声をかけたり、心温まるライドを楽しまれていた様子。

「朝のダイヤモンドヘッドからの景色が本当に綺麗すぎて最高でした。走る前まではちょっと不安もあったけど、走ってよかったです!」

初参加で疲れているはずの智紗子さんが、50mileの折り返し地点で満面の笑みを浮かべながら熱く語る。隣の裕さんも満足気。

午後3時頃、快晴の空の下、二人仲良く手をつないでゴールイン。新たな人生のはじまりを最高の笑顔で迎えることができたようで、ゴールエリアのカピオラニ公園のなかでひときわキラキラとした二人が印象的だった。

2 レースではなくファンライドだった/野田正さん

折り返し地点を過ぎても余裕の笑みで走る続ける姿を見た。
野田正さんは、元プロ競輪選手。

十数年前に競技生活を引退してから、このHCRが初のイベント出場だという。
きっかけは、友人でありライダー仲間の松本直彦さんから誘われて。

もともと、競輪を始めるつもりはなかった。
大学を卒業するタイミングに趣味のオートバイで日本を一周しようと思っていた矢先、競輪選手にスカウトされた。
学生ながら、この世界の賞金額が会社員の給料と桁が違うことは知っていた。
入ったら辛い日々が待ち受けているが、勝てば常人には行けない世界が見える。
迷った挙句、「試しにやってみるか」と心を決めた。

野田さんはスカウトマンの見立て通りだった。競技用自転車に乗り始め、わずか3ヶ月で入学試験をパスする。同期生の中でも群を抜く実力を持ち、プロになってからはS級にランクづけされるほどの実力を携え、30年以上に渡る競技生活を終えた。

大会前のゼッケン受け取り会場に来場するライダーの中でも、ひときわの存在感を放っていた野田さん。
多くは語らないが、半端のない肝の座り方のようなものが滲み出ていた。
初出場で本大会に期待することは?と伺うと「全体が楽しければいいかな」とひと言。
そしてポツリと「きついなと思ったらやめられるファンライドは良い」。

そう、この大会はファンライド。

現役時代は一日200kmを超える走り込みをはじめとした厳しい練習と実力主義の世界を駆け抜けてきた野田さんの言葉に、この大会が持つ心地の良いリラックス感を再認識させられる。ここにはそれぞれの目標があり、幾通りもの楽しみ方がある。

競技生活の引退後はしばらく自転車から遠ざかっていたものの、友人であり大学時代からの腐れ縁という松田さんの誘いをきっかけに、再び自転車に乗り始めた。週2回ほど70~80km走り、B級グルメランチを食べるライドトリップをしている。
「全部あいつに付き合ってやっている(笑)」

大会本番では、ホノルルの心地よい風に吹かれながら旧友と共にゴールゲートをくぐった。
野田さんにとって、初めてのファンライドはいかがでしたか?

3 ご縁がつなげた初参加/渡辺照与さん、マックブライド・ジェイソンさん、松永皓史さん

大会当日、興奮が渦巻くスタートゲート前で和やかなムードを讃えた3人組と出会った。
大分県中津市でライダー向けのゲストハウス「SUEHIROYA」経営している渡辺照与さんと建築家のマックブライド・ジェイソンさんご夫婦。そして同県の耶馬溪(Yabakei)でサイクリングガイドを務める松永皓史さん。

「ディスカバー九州 ―CYCLING ISLAND KYUSHU-」を掲げ、サイクルツーリズムに力を入れる九州の中でも、大分は別府温泉や阿蘇までの山並みハイウェイ、国東半島など風光明媚なロードが魅力的。ライダーにとって魅力十分な土地で暮らすみなさんは、何を感じにこの大会に参加されたのだろうか?

「カイルアに住んでいたので、そこには行ってみたい。それにバーガーキングが食べたいです」

そう話すのはホノルルに在住経験のあるマックブライド・ジェイソンさん。アメリカのバーガーキングは格別、と言う。確かに、どのお店で食べても赤身の肉肉しさは本場感がある。和牛とは全く異なり、恋しくなる味だろう。

パートナーの渡辺照与さんは「ハワイの景色とムード、そして大会の一体感」を感じたいと話す。夫婦でそれぞれの楽しみがある。

HCRを知ったきっかけは、照与さんの前職の同僚から。ホノルル在住でスポーツ関係の仕事をしている彼が、「サイクリストに特化した宿を手がけるならば、本場のサイクリングイベントを見ても良いのでは」とHCRを教えてくれた。ホノルルはジェイソンさんがかつて住んでいた地という縁もある。ロードバイクに乗り始めたのは最近のため、25〜100mileまで走行距離を選択できるメニューも魅力だった。「とにかく最高の大会だから」という推しもあり、ゲストハウスの仕事でパートナーシップを組んでいるサイクリスト・松永さんも誘い、3人でエントリーした。

そんな松永さんは普段からサイクリングガイドをされているだけあり、スピードが違った。3人でスタートしたものの、二人を引き離して先へ進む。各自のペースで走れるファンライドならではの光景。大会出場もさることながら、「地元の人との交流」を楽しみにしていた松永さんは、エイドステーションも満喫されたことだろう。

照与さんとジェイソンさんご夫婦は50mile=80km、松永さんは100mile=160kmを完走した。

グループで参加し、共にゴールする喜びもあれば、それぞれのライドを満喫する楽しさもある。ご縁で繋がった初のホノルルセンチュリーライド出場。ハワイの風を感じたみなさんは、地元・大分で新しいライドの風を吹かせているに違いない。

Photo_HONOLULU CENTURY RIDE / HM-A

<続く>

次回は、初出場者編②をお届けします。どうぞお楽しみに!



🚲ホノルルセンチュリーライド2024 ライダーインタビュー
● 初出場者編①
● 初出場者編②
● 中級者編
● 上級者編

EVENT
ホノルルセンチュリーライド2024 ライダーインタビュー企画
ハワイで感じる風、そして…
〜なぜ、ハワイで自転車に? 上級者編~

「ホノルルセンチュリーライド2024」参加ライダーインタビューの最終回は、上級者のライド記で締めくくります。常連ライダーの皆さんは5回、10回と参加を重ねるこの大会に、何を感じ、どのような部分に惹きつけられているのでしょうか。「地球上で最高のライドイベント」とも言われるホノルルセンチュリーライド(以下、HCR)に幾たびと参加するその魅力や楽しみ方を伺いました。「あなたはなぜ、何度もハワイで自転車に?」 目次 1 新入社員が初ライドした理由/Keisukeさん2 2025年へ持ち越したゴール/Kenjiさん、Keikoさん3 ひとりでも、一人じゃないドラマがある/だんきち さん 1 新入社員が初ライドした理由/Keisukeさん 「ホノルルセンチュリーライドを社員旅行にしようと思って、スタッフ全員に声をかけたんです、そうしたら手を挙げたのが彼だけで笑」 九州地方で病院を経営されているKeisukeさんは、大のホノルルセンチュリーライドファン。昨年も100mile=160kmを完走されていた。 「一度走ったらわかる、こんなに気持ち良いライドができる場所は他にないですよ。社員旅行に誘ったらみんな行きたい!と言うかと思ったけれど、そんなことなかったんですよね〜」それはがっかりですね…でも、今どき、なんて太っ腹な! 残念そうな表情で話すKeisukeさんは常連さんだけあって、HCRをよく見ている。インタビュー中もホノルルやイベントについての話が尽きず、このままポキ丼でも食べに行こうかと思ったくらいだ。「日本国内でイベントに出ようとすると飛行機を使うでしょ、本番前後で必ず1〜2泊はするし、 […]

#Rider
EVENT
〜2024年のホノルルセンチュリーライドはどうする?~
編集Mの、初心者は振り返る
#初めて参加する方への手引き

こんにちは、編集担当のMayumiです。日本列島が南方から梅雨入りしました。すでに蒸し暑さを感じる季節、ホノルルセンチュリーライド(以下、HCR)でのカラッとしたハワイ晴れ?が懐かしいです。さて、今年のHCRのエントリーが始まっています! 円安への不安が増す一方ですが、正直なところ、あの体験ができるなら為替のレートには目を瞑りたい…(という理想)。人生の体験に価値を求める方はぜひ! 早速ですが、今回はハワイでライドイベントを楽しんでみたい、初参加のあなたへ向けた簡単なガイドです。申し込み〜当日〜終了後の流れを掴むためにどうぞお役立てください。*掲載サイトはすべて日本語対応です 目次 1,大会とホノルルを知る2,エントリーの種類を選ぶ3,大会エントリーサイトへメンバー登録する4,エントリーする5,往復航空券付きのツアーを申し込む(ご希望の方)6,大会までの過ごし方7,ホノルルへ到着後にすべきこと8.大会当日 その前に! *ホノルルまでの交通・宿泊はページ内でご紹介するツアー会社に依頼されるか、ご自身でご手配ください。いずれにしても大会エントリーはご自身で行なっていただく必要があります。 *ハワイ州への入国はアメリカ合衆国と同じ手続きのため「ESTA」の申請が必要です。過去2年以内に入国経験がない方は「ESTA」をお早めにお申し込みください。  1、大会とホノルルを知る まずはホノルルでライドするイメージをコース情報や写真で見てみましょう。コース上にはサーフスポットで有名な海岸や映画『ジュラシック・パーク』の撮影が行われた原生林など、見どころもたくさんあります。 🚲HCRについての […]

#Hawaii #HCR
EVENT
ハワイ、この世で最もライドすべき場所

今回、僕は確信した。ホノルルセンリュリーライド(以下、HCR)は、地球上で最も最高のライドだ。 ハワイを走るのは去年に続き、今年で2度目となる。Global Ride(以下GR)のコミュニケーションディレクターとしてどう関わるべきか、ずっと考えあぐねていた。去年は、160キロを完走しようと夢中で走った。そもそも海外でロードバイクに乗るのは初めてだったし、すべてにワクワクした。 しかし今年は2度目。あの感動は味わえないだろうと思っていた。だからあえてライダー目線ではなく、GR編集チームの車に乗ってフォトグラファーとしてHCRの様子やライド中に見える絶景などを写真で切り取ることに専念しようと思っていた。 ところが本番当日。気がつけば、どしゃ降りの雨のなかペダルをこぎながら、身体中の全細胞がザワザワするほどの喜びを味わっている自分がいた。 いや、すごすぎるよ。ハワイ。2度目にして、これほどまでの感動を味わえるとは思ってもみなかった。 火山が生み出した雄大な景色、ハワイ特有の気候、心優しき人々、そのすべてが、他では得難いライド体験を生み出す。 そのワクワクはスタート前から始まる。本番当日の朝5時すぎ。カピオラニ公園に、世界各地からライダーたちが集まってくる。その顔にはこれから始まるライドへの期待がみなぎっている。ワイキキ特有の乾いた風がさあーっと吹く。なんという幸せな光景なのか。今回は走らないと決めていた自分も、ワクワクしてきて、身体がむずむずする。 昇る朝日が、海を、山を、ライダーたちを黄金色に染め上げていく。そんな中、ペダルを漕ぐ音、タイヤがアスファルトを滑る音だけが響く。日の出と […]

#Hawaii #Ride