ツール・ド・ブリスベン2025ハイライト
〜家族連れからセミプロまで楽しめるサイクリングフェス【後編】〜

ブリスベン在住のサイクリストAyakaによる、「ツール・ド・ブリスベン2025」の参加レポート後編をお届けします。昨年は80km、今年は50kmのファンライドをパートナーのYoshiと共に駆け抜けたAyaka。市民が日常的に使用する生活道路やバスレーンを封鎖した、オーストラリアの中でも大規模なライドイベントを、地元サイクリストの目線から切り取ります。

前編はこちらから

目次

6 雨上がりのブリスベンを駆け抜ける
7 50kmコースのハイライト
8 80kmコースの醍醐味
9 多様な参加者とそれぞれの楽しみ方
10 フィニッシュ後は和やかな祝祭ムード
11 日本からの参加について
12 2024年、2025年大会を通して感じた魅力

6  雨上がりのブリスベンを駆け抜ける

亜熱帯気候で晴天率が高く「サンシャイン・ステート」の名でも知られるクイーンズランド州ですが、季節の変わり目は雨が続くことも。
その影響もあってか、大会前日の午後は強い雨風に見舞われました。

当日の天候が心配でしたが、幸いにも夜中に雨はあがり、スタート時には空に晴れ間が広がっていました。
とはいえ日の出前の路面はまだ濡れており、スタート直後は前を走るライダーの水飛沫が顔にあたるほど。
斜度15%の下り坂では転倒防止のためバイクから降りてそろそろと進む場面もありました。

それでも、日が昇るにつれて路面も徐々に乾き、スリップの心配も減り、快適な走りを楽しむことができました。
木々を激しく揺らした前日の雨風が嘘のような好天候は、まさにこの大会のために用意されていたと思うくらいの完璧なライド日和でした。

7  50kmコースのハイライト

2025年大会で私たちは50kmのファンライドに参加しました。

80kmコースとの違いは、ブリスベン中央から西側に伸びる高速道路「インナーシティバイパス」の往復約30kmがないことで、それ以外のパートは80kmとほぼ同じです。

ブリスベンのシンボル的な橋「ストーリーブリッジ」や、CBD(セントラル・ビジネス・ディストリクト)、ブリスベン川沿いの「リバーサイドドライブ」、そして北東エリアのブリスベン空港に向かう高速道路など、市内のハイライトを十分に堪能できるコース設定となっています。

8  80kmコースの醍醐味

2024年大会では80kmコースに参加したのですが、こちらは中級者向けということもあり、参加者層も厚く、周りを見渡すとほとんどの方がロードバイクに乗っていました。

グループライドに慣れている方が多かったようで、走るペースが近い人同士で自然と集団が形成され、スタートからゴールまで、大きな集団があちこちで見られました。

ファンライドでありながらも集団走行のスピード感や一体感を得られるのは80kmコースならではの醍醐味とも言えるでしょう。

9  多様な参加者とそれぞれの楽しみ方

今回の50kmコースで特に印象的だったのは、他の部門と比べて参加者の年齢層と自転車のバリエーションが非常に幅広いことでした。

下はティーンエイジャーから、上は70代と思われるシニアライダーまで。車種はロードバイクに限らず、マウンテンバイク、クロスバイク、Eバイクに乗っている方も頻繁に見かけました。

ロードバイク以外のバイクに乗っている方も多いせいか、80kmコースのような大きな集団はあまり見られず、それぞれが一緒に参加した友人や家族、近くを走るライダーとのんびりとおしゃべりをしながらマイペースに走っている様子でした。

ペダルを淡々と踏み続けるというよりは、大会の祝祭ムードや、このイベントのためだけに完全封鎖された非日常の空間を楽しむ、そんなアットホームで和やかな雰囲気が50kmコースにはありました。

10  フィニッシュ後は和やかな祝祭ムード

今年はCBDとサイクル・エキスポ会場のあるサウスバンク・パークランズをつなぐヴィクトリア・ブリッジでフィニッシュ。

清々しい気持ちで橋を渡りきり、芝生が広がるフィニッシュエリアに辿り着くと、そこにはリラックスしたお祭りムードが広がっていました。
地元のレストランやカフェの屋台からはいい香りが漂ってきて、思い思いに買ったものを片手に、皆さん各所でくつろいでいます。

この和やかな雰囲気は、参加した私たちだけでなく、ゴールで待っていてくれた家族や友人たちも一緒に楽しめるように作られているのがまた素敵なところ。

秋晴れの空のもと、ゆったりと流れるブリスベン川沿いの芝生エリアで、走った人も応援に来た人も、皆が笑顔でそれぞれの時間を過ごせる、そんなおおらかなブリスベンらしい空間がそこにはありました。

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11  日本からの参加について

2025年大会後にリニューアルしたため、見納めとなったデザインのサイン

ツール・ド・ブリスベンは、海外からの参加者も歓迎しています。
ブリスベンは一年を通じ比較的温暖な気候で、快適にサイクリングを楽しむことができます。

・航空券、宿泊
 関西や東京方面から各種ブリスベンへの直行便も運航しており、比較的アクセスしやすい都市です。宿泊施設もラグジュアリーホテルからシティホテル、キッチン付きのレジデンスタイプなど様々なタイプがありますので、予算や好みに合わせて選ぶことができます。

・自転車の輸送
事前に航空会社へ確認や申請を行い、日本から愛車を持参することも可能です。
また、ブリスベン市内でレンタルを利用すれば身軽に旅できます。

・ビザ
日本国籍の方が観光目的でオーストラリアに入国する場合、ETAS(電子渡航認証システム)の取得が必要です。事前にオンラインで申請を行いましょう。

12  2024年、2025年大会を通して感じた魅力

ツール・ド・ブリスベンは、美しいブリスベンの街並みや自然を満喫しながら、サイクリング文化の根付いたオーストラリアならではの大会を楽しめる絶好の機会です。
年々ライド前後のイベントも拡充し、 自転車都市としてのブリスベンの確立を目指す、そんなブリスベン市・クイーンズランド州の熱意と意図が伝わってきます。

レベルに合わせた部門やコースが用意されているため、ビギナーからベテランまで、誰もが思い出に残る体験をすることができます。
2026年の開催に向けて、ぜひ皆さんも参加を検討してみてはいかがでしょうか。


Text_Ayaka


◆最新情報や詳細については、ツール・ド・ブリスベン公式サイトをご確認ください。
https://tourdebrisbane.org/

◆2024レポート
BRISBANE CYCLING FESTIVAL 2024
ローカルサイクリストAYAKAの現地レポート【前・後編】
前編
後編

◆関連ページ
ブリスベン・サイクリングフェスティバル公式サイト
https://www.brisbanecyclingfestival.com/

Profile

Ayaka(編集者・ライター)
オーストラリア/クイーンズランド州ブリスベン 在住。
2011年に自転車旅に魅了されてから雑誌『Cycle Sports』に世界各地からの自転車旅レポートを寄稿。2017年オーストラリア留学中には「G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより」を『Cycle Sports.jp』で連載。帰国後は英教材編集者、自転車NPOの通訳・MCとして活動。2022年ブリスベンへ移住。日々オーストラリアの自転車の魅力を発信中。

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