海外でもロードバイクに乗ってみたい。
Honolulu Century Ride 2023 参戦記
#1 輪行、それはいつも悩ましい(前編)

ひょんなことから、ホノルルのセンチュリーライドに参加することになった。よろこびも束の間、ロードバイク乗りにとって常に悩みのたねである、あの問題に直面することになる。そう輪行だ。

ロードバイクに乗り始めておよそ20年。国内での輪行は、ひととおり経験してきた。
輪行はとても気を使う。在来線に乗るときには、ラッシュアワーは避けるし、新幹線は車両の一番後ろの荷物スペースが広い席を予約するし、飛行機に乗るときには、通常より30分以上前に空港でのチェックインに臨む。

こわれやすくて、デカいロードバイクを、人様のご迷惑にならないように運ぶには、常に念入りな計画が必要だ。

今回、私の輪行エリアが、ついに海外へと広がることとなった。

完全に未知のゾーンだ。国内でのフライトに比べ、より不確定要素が多い。

まず決めなければならないのは、輪行のパッキングの手段である。これまで国内のフライトの際には、ペラペラのビニールの輪行袋を使ってきた。しかし海外では、ややラフな荷物の扱いを受けることもあると聞く。そうであればペラペラビニールではかなり心もとない。ハワイに着いたら、ディレイラーがひんまがっていたなんてことになったら、しゃれにならない。でもひょっとして往復JALで行くんだし、意外に大丈夫なんじゃないか。

専用の段ボールやプラケースも売っていたりする。あれなら一定の安全は保証される。一度使ったことがあるが、パッキングするのに、あのプチプチの梱包材を使ったりして固定していくので安心感はある。ただ梱包には少し手間がかかる。また、ただの四角い箱なので、電車など公共交通機関での移動はかなり難しくなる。帯に短し、オビワンケノービ。フォースの力で運べればたらいいのに、と意味のないことに思いを巡らせたりして、ぜんぜん決断できない。ビニールの輪行袋か、それとも段ボールのケースか、グルグルと考えが巡る。

どうするのか決めあぐねていた渡航1ヶ月ほど前、今回のセンチュリーライドに現地でご一緒させていただくロケクルーのプロデューサー渡辺さんとの打ち合わせがあった。
今回のぼくのチャレンジをロケして番組を作るのだという。渡辺さんはもう10年以上もセンチュリーライドの映像をずっと撮ってきた生き字引きのような人だ。

思いきって聞いてみた。

河瀬:
みなさん、輪行ってどのようにされているんですか?

渡辺:
参加者の多くの人は、ハードケースとかで運んでいますね。
あとは段ボールとかプラのケースの人も多いですね。

河瀬:
ビニール袋の輪行袋の人っていますか?

渡辺:
ほとんどいないですね。やっぱり不安ですよ。ビニールの輪行袋を使って、
ホノルルに着いたら、ディレイラーとか曲がっちゃっていた人もいたなぁ。

そうか。やっぱり安全を考えるとビニール袋は危険なのか。

改めて考えてみた。おそらく今後も輪行はするだろう。であるならば、気軽にパッキングができて、何度も使えるもののほうがいいのではないか。なので今回は、ハードケースを買うと決めた。

ネットで物色すると、いろいろある。どうせなら以前から欲しいと思っていたアレを買おうと決めた。シーコン エアロコンフォート3.0(以下、シーコン)、いつかこいつと旅をしたいと思っていた。ハードケースではなく、セミハードケースではあるが、かなりの堅牢さだと聞く。値ははるが、ホノルルに行くのだ。安全に運搬できなければ、せっかくのホノルルも走れない。

で、アマゾンでポチった

しばらくしたらダンボールが届いた。でかい。

開けてみる。見るとかなりしっかりとしている。
さっそく固定してみる。
ケースの下部にスチールの台座があり、やはりめっちゃ堅牢そうだ。

ケースにプリントされたイラストをみながら、さぐりさぐり固定してみる。
黒いトレックのフレームはしっかりと固定され、微動だにしない。

両サイドの内側には、ホイールを入れるケースが着いており、サンドイッチするようにフレームを包み込む。クッションが効いていて、かなり安心感がある。

しかもダウンチューブとフロントフォークの間に、すぽっとおさまるように、ギアを入れるバックまでついている。ちょうどヘルメットとシューズがぴったり入るサイズだ。スーツケースに入れるにはヘルメットはかなりかさ張るので、これはかなりありがたい。

いいかんじじゃん。めっちゃ安心感に満ち溢れる光景じゃん。ケース下部には、小さな車輪が付いていて実にスムースに動く。シーコン、いけてるじゃん。

しかし、しばらくシーコンを見て悦にいっていると、その大きさゆえに、別の不安が襲ってきた。

これさ、どうやって空港まで運ぶのだろう。我が家の車はスモールサイズなので、とてもじゃないがシーコンは乗せられない。普段は電車を乗り継いで空港に行くにも、うちは駅から遠いので(歩いて15分)、シーコンをごろごろして歩くにはちょっとロングディスタンスだ。バスに乗せるものこのサイズだと無理だろう。タクシーにだって乗らないかもしれない。

さあ、どうする?

というわけで、輪行の悩みは、後編へと続くのであった。

Text & Photo_Daisaku Kawase

🚴‍♂️Honolulu Century Ride 2023 参戦記🚴‍♂️

#01 輪行、それはいつも悩ましい(前編)
#02 輪行、それはいつも悩ましい(後編)
#03 ハワイは、ものすごくハワイだった
#04 初めてハワイでのライド 試走編

#05 ライド!ホノルル・センチュリー・ライド!

Profile

河瀬大作/Daisaku Kawase
フリープロデューサー、(株)Days 代表
愛知県生まれ。ロードバイク歴16年、絶景ライド好き。仕事の合間を縫い、自転車担いで全国へ出かける。愛車はトレック。NHKでプロデューサーとして「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」「おやすみ日本 眠いいね」「あさイチ」などを手がけたのち2022年に独立。番組制作の傍ら、行政や企業のプロジェクトのプロデュースを行う。

FEATURE EVENT
ハワイ、この世で最もライドすべき場所

今回、僕は確信した。ホノルルセンリュリーライド(以下、HCR)は、地球上で最も最高のライドだ。 ハワイを走るのは去年に続き、今年で2度目となる。Global Ride(以下GR)のコミュニケーションディレクターとしてどう関わるべきか、ずっと考えあぐねていた。去年は、160キロを完走しようと夢中で走った。そもそも海外でロードバイクに乗るのは初めてだったし、すべてにワクワクした。 しかし今年は2度目。あの感動は味わえないだろうと思っていた。だからあえてライダー目線ではなく、GR編集チームの車に乗ってフォトグラファーとしてHCRの様子やライド中に見える絶景などを写真で切り取ることに専念しようと思っていた。 ところが本番当日。気がつけば、どしゃ降りの雨のなかペダルをこぎながら、身体中の全細胞がザワザワするほどの喜びを味わっている自分がいた。 いや、すごすぎるよ。ハワイ。2度目にして、これほどまでの感動を味わえるとは思ってもみなかった。 火山が生み出した雄大な景色、ハワイ特有の気候、心優しき人々、そのすべてが、他では得難いライド体験を生み出す。 そのワクワクはスタート前から始まる。本番当日の朝5時すぎ。カピオラニ公園に、世界各地からライダーたちが集まってくる。その顔にはこれから始まるライドへの期待がみなぎっている。ワイキキ特有の乾いた風がさあーっと吹く。なんという幸せな光景なのか。今回は走らないと決めていた自分も、ワクワクしてきて、身体がむずむずする。 昇る朝日が、海を、山を、ライダーたちを黄金色に染め上げていく。そんな中、ペダルを漕ぐ音、タイヤがアスファルトを滑る音だけが響く。日の出と […]

#Hawaii #Ride
FEATURE EVENT
HONOLULU CENTURY RIDE 2025
PHOTO ALBUM 🌈 【後編】

毎年9月の第4日曜日に開催されるホノルルセンチュリーライド。ライダーの参加理由はさまざまだ。 「ハワイで走ったら最高かも、と仲間で盛り上がって」「楽しそうに自転車を漕ぐパートナーを見て自分も出場したくなった」「健康のバロメーターとして参加している。あと何回出られるかなと思いながら」 ハナウマベイの新コースが開設され、始終晴天に恵まれた今年。出場された皆様はどのようなライドでしたでしょうか?フォトアルバム前編に続き、後編でもナイスビュー連続のホノルルセンチュリーライド2025全景お届けします。 Text_Global Ride Editorial TeamPhoto_HONOLULU CENTURY RIDE / HM-A*HONOLULU CENTURY RIDE 2025 PHOTO ALBUM 🌈 【前編】はこちらから 11_Kailua 2つ目のカイルアエイドステーションを過ぎた40km地点からは椰子の木が続く住宅街へ。和やかな南国ムードが心地よい。 12_Kāneʻohe からKualoa_Kaaawa へ そして平等院があるカネオヘエリアの住宅街へ入る。少し入り組んだ道は『ジュラシック・パーク』のロケ地としても有名なクアロアへ続く。古代ハワイでは「聖地」とされ、王族だけが立ち入ることを許されたという地へ。 13_Swanzy Beach Park ピクニックやキャンプに人気の穏やかなローカルビーチ沿いにある4つ目のエイドステーション。80kmを完走し、帰りをチャーターバスに乗る場合はここがゴール。160km=100mileはここが折り返しとなる。 14_Ka […]

#Kāneʻohe