フランスを旅するあなたに
輪行&レンタルバイクよ、こんにちは

フランスでサイクリングする場合は現地でどんな手配が必要か、どんな動きになるのかを考えてみよう。マイバイクを持っていくか、現地でレンタルバイクを借りるかという選択肢がある。

目次

1. 愛車を持っていく際の国際線預託テク
2. フランスで本格自転車をレンタルする

1. 愛車を持っていく際の国際線預託テク

フランスの美しい風景の中をサイクリング ©Pressports.com

まずは飛行機に自転車を積んでフランスに乗り込むケース。「バイクポーター」という航空機用輪行箱を取り扱うアクションスポーツに最新事情を教えてもらった。

Q:国際線に預けられるサイズは? 無料? 追加料金?

A:国際線は利用航空会社によって異なる。例えばエールフランスやフィンエアはサイズに関係なく問答無用で有料。日本航空は三辺合計203cm以内なら無料(超えた場合は2万円の追加料金)。英国航空は三辺合計200cm以内なら無料。規定のサイズに収まるバイクポーターPRO199を使えば無料になる。

ANAは三辺合計260cm以内なら無料で、バイクポーターは全モデルが260cm以下のサイズなので無料となる。ルフトハンザ航空はヨーロッパ路線で50〜150ユーロの追加料金。エミレーツ空港は重量30kg以内であれば受託手荷物に含まれる。

全ての航空会社がサイズに関係なく、事前申請が必要となる。バイクポーターはすべてサイズ的には問題はないが、無料と有料の航空会社が混在。どの航空会社で行くかは航空券と自転車預託にかかるコストを合計して考える必要がある。

Q:梱包時の注意点は

A:国際線のエコノミークラスは重量制限があり、一般的に23kgを超過した場合は超過料金が取られる。また電動変速機などに取り付けられたリチウムイオンバッテリーなどは外さなければならない。空気を一瞬で充填するCO2ボンベは預託荷物に入れてはいけないという厳格なルールがある。引火物(チェーンオイルなどのケミカル類)もNGで、SDS(製造者が発行した製品安全シート)があれば持ち込める可能性もある。

海外の場合、とりわけ乗り換えがある場合はリヤディレーラーを外すことを強く推奨。あるいはコの字型をした輪行用リヤディレーラー保護金具を使う方法もある。自転車の養生方法に関してはアクションスポーツが公開する動画がわかりやすい。

タイヤの空気圧は減圧したほうがいいが、全部抜いてしまうとチューブレスタイヤの場合ビートが外れてしまい、面倒なトラブルが発生する。そのため2~3気圧ほど空気が入っているのがベスト。

Q:空港までどうやって持っていく?

A:輪行箱タイプのものは専用キャスターが販売されているので、それを利用すれば混雑しない時間を狙って電車で移動できる。キャスターは空港に到着したら必ず外して箱の中などに収納する。輪行箱を運んでくれる配送業者もある。あるいは車に積んでいき、空港周辺の安価な長期間のパーキングを利用するという手段もある。


2. フランスで本格自転車をレンタルする

続いてフランスで自転車をレンタルするという手段をご紹介。ここで言うレンタル自転車とは、都心部などに移動のためのトランスポーターとして用意されたシェアサイクルではなく、日本ならジャイアントストアやスペシャライズドなどがナショナルサイクルルートの近隣店舗で展開しているスポーツバイクのレンタルだ。予約から貸出・返却まで、スタッフが常駐するレンタル専門店のほうが対面の貸し借りとなるので無難だからである。

シェアサイクルはフランスでもパリや地方の都市ごとに整備されていて、24時間スマホをかざせば無人サイクルポートで貸出・返却が可能。ただしそれぞれの街でスマホにシェアサイクルアプリをインストールし、会員登録し、決済方法を打ち込むのは簡単ではない。なにかの問題が生じたときは、そこに人がいないのだから電話窓口に問い合わせてオペレーターから指示を受ける。日本でもかなり煩わしいのに、フランスでそれをこなすのはかなりのストレスだ。

それならば営業時間は気にしなければならないが、レンタル専門店で貸し借りや支払いを行い、不具合があればその場で指摘して対応してもらうなどで対処するほうがスムーズにことが運ぶはずだ。

レンタル専門店を見つけるのは簡単。「rental bike、町の名前」を検索すれば複数がヒットして表示される。英語対応サイトがほとんどで、万一そうでなくてもブラウザの日本語翻訳機能を使えば理解できる。

実際にやってみると、フランス各地に整備されたサイクリングルートの拠点となる街にはレンタル専門店が必ずあって、しかも車種・グレード・サイズの選択ができる。自分のシューズに対応したペダル、ヘルメットのレンタルなどもオプションでできる。それらを選んでいき、レンタル期間を入力すれば総額が表示され、オンラインで決済できる。あとは予約時間に店舗を訪れればいい。

小さな町のツーリストインフォメーション前に常設の工具セットがあった ©Pressports.com

サドルのセッティングもその場でやってくれる。予約するときにボトルケージがあるのか、借りるか買えるのか、パンク時備品もレンタルできるのかといった細かいところは自動翻訳を駆使してあらかじめショップ側とやりとりするのがおすすめ。ただし、シェアサイクルと違い、借りた店で返却が基本。遠出する場合も同じ街へ戻る行程の場合に有効な手段であることを補足しておく。

Text_Kazuyuki Yamaguchi

Profile

山口和幸/Kazuyuki Yamaguchi
ツール・ド・フランス取材歴30年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ローイング競技などを追い、東京中日スポーツなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、『ツール・ド・フランス』(講談社現代新書)。ともに電書版。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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