Breezing Through Setouchi in Ehime #04
U.S.A.から移住したジェレミーがお届けする 愛媛の最西端へ!
せとかぜ海道をひたすら真っすぐ進む海沿い&魚ライド

今回は、伊予灘・佐田岬せとかぜ海道と呼ばれるルートで、愛媛県の最西端を目指してアップダウンの激しい半島を横断します。多くの人にとって、ここはちょっと挑戦的なルートかもしれません。僕は、8月の炎天下の中、なんとか約80km以上を走り抜くことができたけど、正直、暑い時期におすすめできるルートではないです。サイクリング上級者で、僕のように過酷なことに挑戦するのが好きなタイプだったら、夏の間に走るのもなかなか燃えますよ、というのは冗談で、もっと気候の良い時期ならまた走りたいというのが本音です。暑くて大変だったという点以外は、とても充実したライドでした。

目次

 1. 出発点:しおさい公園
 2. 道の駅ふたみ
 3. お好み焼きランチと楽しい歩道
 4. 有名な下灘駅と近くで発見した面白いものたち
 5. 初日の終点:赤い橋
 6. えびすや旅館での滞在は心に残るおもてなし
 7. 次の日、本当のチャレンジはここから
 8. 警告:急勾配の坂道と暗くて長いトンネル続く
 9. お疲れさま、ここまで来ればあとはずっと下り坂!

1. 出発点:しおさい公園

このサイクリングルートの出発点は、愛媛県の県庁所在地である松山市の少し南に位置する「しおさい公園」。大きな公園なのですぐ見つけられると思います。

これは、道中で見つけてとても役に立った地図。目印になるランドマークがたくさん載っているので現在地がすぐ分かるのと、標高が書いてあるので、これからどんなアップダウンが待ち受けているのかを知ることができて便利でした。

2日間の事前プランでは、1日目に半分以上先までいく予定だったけど、出発が遅れて予定変更。とにかく時間の許す限り進みましたが、初日はかなりゆったりとした約30キロ、翌日はめちゃくちゃ過酷な約50キロという、意図せず最悪の分け方になってしまいました。ルートの終点近くにある旅館を予約していて、チェックインの時間が迫ってきたため、最後は車で旅館まで行き、翌朝、前日に車で走った距離を戻ってライドを再開することになりました。

2. 道の駅ふたみ

最初の約30キロの間で唯一の休憩場所と言えるのが道の駅「ふたみ」です。ライドの序盤に越えなければならない大きな登り坂の手前にあるので、ここの休憩スペースで涼んでその後に備えることをおすすめします。ここには、小さな農産物直売所やフードコートがあり、天ぷらやチーズバーガーなど色々なメニューがそろっていて、2階にはレストランもあったので、ランチスポットとしても良いと思います。

https://maps.app.goo.gl/81S4vw6wpjFv4PL26?g_st=com.google.maps.preview.copy

3. お好み焼きランチと楽しい歩道

僕たち家族は、事前に見つけておいた地元のお好み焼き屋へ行ってみました。松山発祥の「三津浜焼き」と呼ばれるユニークな麺入りのお好み焼きを提供しているお店です。昔ながらのレシピで作られたボリューム満点の特大お好み焼き。すごく美味しかったです。

https://maps.app.goo.gl/UvnUYj1ufmtwPHjU8?g_st=il

コース前半部分は純粋にライドを楽しめるパートです。前半で1つ特筆すべき点は、歩道の広さ。日本の歩道は突然途切れたり、勝手に始まったり、時には道路とは全然違うルートを通ったりするので、普段は歩道を使うことはないけど、このルートの歩道は広くて使いやすいものが多かったです。しかもこの道では車のスピードがかなり速いので、歩道を使うと安心感がありました。

歩道には数メートルごとに地元の海の生き物が描かれたタイルが並んでいました。それぞれひらがなで名前も書いてあるので、時間があれば日本語の勉強に全部チェックして。

4. 有名な下灘駅と近くで発見した面白いものたち

途中、観光客に人気のスポット、下灘駅にちょっと立ち寄りました。ここは小さな海辺の駅なのですが、すごい混雑でした。といっても、誰も電車を待っているわけではなく・・・行列ができていたけど、もうすでに終電後。みんなベンチで写真を撮るために順番待ちをしていたんです。

ベンチに座った写真の代わりに、偶然見つけた穴場のフォトジェニックなスポットを紹介します。メインコースからは見えないので、もしこの道を走っていなかったら完全に見逃していたと思います。たぶんこれは第二次世界大戦の戦闘機パイロットと異星人との交流か何かを表現している気がするけど、違うかな。

日本で小さな自由の女神像のレプリカを見たのはこれで何回目かなってくらいたくさんあるなと思います。もしかしたらアメリカより多いかもしれない。

5. 初日の終点:赤い橋

最初の30キロの終点は、小さな港町、長浜。時間切れになってしまったので、赤い橋の近くの駐輪場に自転車を停めて、この日のライドは終了に。そこから車に乗って宿泊予定の「えびすや旅館」へ向かいました。

6. えびすや旅館での滞在は心に残るおもてなし

当初の到着予定時刻より1時間以上遅れてしまったにもかかわらず、宿のスタッフはとても親切に出迎えてくれました。

部屋に案内された後は、大きな家族風呂でリフレッシュ。そして、夕食は美味しい海鮮料理を楽しみました。宿泊には、夕食と朝食も含まれていました。

メインはこの地方の郷土料理「活しゃぶ」。生でも食べられる新鮮な地元の魚を、刺身として食べたり鍋でしゃぶしゃぶしたり。薬味やタレもいろいろ選べたので、海鮮ばかりの料理も飽きることなく楽しめました。

7. 次の日、本当のチャレンジはここから

翌日、自転車を停めた場所に車で戻り、ライドを再スタート。そして、期せずして今までで一番過酷なサイクリングに挑戦することに。しかも今まで経験した中で一番暑いライドという意味でもすごく大変なチャレンジになりました。

神社へ行くと必ずあるような小さな鳥居が海辺の大きな岩の上に!反対側には小さな神社があるみたいでした。興味深いなと思ったので写真に収めました。

8. 警告:急勾配の坂道と暗くて長いトンネル続く

登り坂の少し手前にトトロとサツキがいたので記念撮影。これから過酷な坂を登らなければならない僕を応援してくれているようでした。
ここから先は正直、簡単で安全とは言い難いルートです。でも、心構えと覚悟がちゃんとあれば、挑戦して良かったと思える達成感があると思います。

今日の出発地点である長浜橋から最初の道の駅までの間で、このルートの標高の大部分を上り切ります。全体の約3分の1の距離で、過酷な25キロほどの区間があります。そして、この区間を走っている間は暑さをしのげる建物などが一切ありません。ところどころに自販機はあるので、冷たい飲み物を買って日陰で一息つくことはできます。坂道をほぼ登り切ったら、ついに待ちに待った冷房のよく効いた道の駅に到着。

このルートで特に大変な部分は、路肩がない狭いトンネルをたくさん通らなければならないこと。しかも大型トラックが頻繁に通るので、暗いトンネル内で大型車に追い越されるときはちょっと居心地悪くてヒヤヒヤしました。
この区間を走る時は、昼間でもバックライトを点灯しておくことを強くおすすめします。トンネルは外の道に比べてかなり涼しいので、それだけは良かったけど、狭いトンネルを自転車で走るのはあまり楽しいものではないですね。

9. お疲れさま、ここまで来ればあとはずっと下り坂!

真夏の暑さのせいもあり、長い登り坂を登っている時は、本当に登り切れるのか、ちょっと自信がなくなりそうになるくらい辛かったです。道の駅「伊方きらら館」に到着できた時は、ここに辿り着けた自分に心からお疲れ様と言ってあげたい気分になりました。皆さんも成し遂げたらここでしっかりと休憩を取ってくださいね。一番過酷なパートはもうほぼ終わりと言える地点なので、ここまで行けたなら残りも無事に走れると思います。

「伊方きらら館」の1階には、魚にエサをあげられる大きな水槽と小さなショップがあり、2階にはバーチャル水族館、3階にはラウンジも。広くないけど色々と充実していて楽しい立ち寄りスポットです。

2つ目の道の駅は、結構近くにあります。ここには、カフェやアートの展示、土産物を販売しているショップもありました。コンビニみたいな売店はないですが、自動販売機はありました。

ここを乗り越えたら、あとはもう一つ大きな登りがあるだけで、そこからはほぼすべて下り坂です!

このルートの道沿いには、たくさん小さなお地蔵さんがいたのですが、中でもこれが僕の一番のお気に入り。この連載を読んでくれている人なら理由はわかるよね。残念ながら、このライドでビールが登場するのはここだけです。次のライドではビールスポットに立ち寄れたらいいなと思っています。

豪華な建物の展望台で、ちょっと一息。

そして、ついにこの挑戦的な約80キロの佐田岬半島を走り終えて、終点の三崎港に到着しました。もし物足りなければ(僕は十分疲れたけど)、半島の最西端までさらに15キロほどの山道を走ることもできます。行き止まりの佐田岬駐車場に到着したら、そこから自転車を降りて片道30分ほどのハイキングで灯台まで歩くことも可能。まだ歩ける余力があったら、挑戦してみて!

道路の終点、佐田岬灯台の駐車場からの眺め。

🚲今回のコース


🚲Breezing Through Setouchi in Ehime Series
#01 愛媛・潮風と山を堪能できる11のサイクリングロード
#02 愛媛に行くなら、まずは「しまなみ海道」から
#03 お城に、温泉に、クラフトビール! しまなみ海道から続く愛媛カルチャーを走る
#04 アメリカ人のジェレミーがライド!愛媛の最西端へ!せとかぜ海道をひたすら真っすぐ進む海沿い&魚ライド
#05 自然豊かな田舎を走り抜ける川沿いのライド


Text_ Jeremy Kircher
アメリカ合衆国ペンシルベニア州出身。約10年間、ハワイ州ホノルルに住んでいた時期もあります。2017年から日本に移住し、現在は香川県高松市でクラフトビールの醸造士として働いています。サイクリングはお気に入りのエクササイズなので、数多くの四国の魅力的なサイクリングルートを紹介したいです。

FEATURE TRIP&TRAVEL
Breezing Through Setouchi in Ehime
#01 愛媛・潮風と山を堪能できる11のサイクリングロード

サイクリングパラダイスとして知られる愛媛県、行かれたことはありますか。瀬戸内海を望む温和な気候と自然豊かな風土に恵まれ、CNNの「世界7大サイクリングロード」の一つに選ばれた「しまなみ海道」をはじめ、県内には海と山を走り抜けるたくさんのサイクリングロードがあります。 四国の瀬戸内海側、北西部に位置し、四国4県で一番人口が多い愛媛県。瀬戸内海の海風を感じる穏やかな気候によってミネラルたっぷりの土壌で育つ「みかん」の生産地として有名で、海と山に囲まれた自然が広がります。また、宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』のモデルにもなった道後温泉や松山城など歴史を感じる場所も多く残されています。そんな愛媛の魅力的なサイクリングロードを連載でお届けするこの企画。1回目の今回は、県内の11のサイクリングロードを一挙にご紹介します。 目次  1. 別子・翠波はな輪道 2. 石鎚山岳輪道 3. 今治・西条ゆうゆう輪道 4. 今治・道後はまかぜ海道 5. 伊予灘・佐田岬せとかぜ海道 6. 内子・中伊予さとやま輪道 7. 奥伊予・肱川清流街道 8. 宇和海しおさいオレンジ輪道 9. 宇和島・四万十だんだん街道 10. 愛南さんさん輪道 11. しまなみ海道サイクリングロード 1. 別子・翠波はな輪道 スタート地点:マイントピア別子(愛媛県新居浜市立川町707-3)県の東側にある「別子・翠波はな輪道」は、全長87.7kmで、標高1,500~1,700mの山々を囲むように走るコースです。日本三大銅山のひとつである別子銅山跡を利用した道の駅「マイントピア別子」からスタートして、まずは大永山を登ります。 360 […]

#Map #Japan
FEATURE TRIP&TRAVEL
Breezing Through Setouchi in Ehime
#03 アメリカ人のジェレミーがライド!
お城に、温泉に、クラフトビール!
しまなみ海道から続く愛媛カルチャーを走る

本格的なサイクリストや自転車好きにとって、愛媛県と言えばしまなみ海道を思い浮かべると思いますが、それだけがライドコースではありません。今回は、県内で最も有名なしまなみ海道の起点である今治市から県庁所在地の松山市まで南下し、日本最古の温泉地・道後温泉を目指すルートを紹介します。このルートは「今治-道後はまかぜ海道」と呼ばれています。この道は日常的に使われているため車の交通量が多く、沿岸の景色を楽しめるのはコースの半分ほどなのですが、たくさんの素晴らしい歴史的名所や、魅力的で個性的なランチスポット、そして楽しい夜も過ごせる街へ続く重要な道となっています。 目次  1. ルートの下見と今治城 2. ユニークな外観のドライブインでランチ 3. 素敵なサービスのホテルにて 4. 街を散策、そして美味しいクラフトビールを探し求めて 5. 温泉と足湯 6. パンク修理のヒーロー 7. 日本最高の城のひとつ、松山城 8. 海風を感じるハワイアンスタイルのカフェで 9. そして、ひたすら海沿いを走る 1. ルートの下見と今治城 時間の制約とこのルート上の多くの名所を見たいという理由で、初日は今治から自転車を後部座席に乗せて車で下見をしました。松山空港に飛行機で来る場合でも、電車やバス、または、しまなみ街道から自転車で今治に来る場合でも、その先で自転車をレンタルするなら、いずれにしても借りたお店に自転車を返す必要があります。今後の記事で、いくつかのサイクリングロードをつなげていき、楽しく挑戦的な周遊コースで愛媛県を自転車で走破する方法をお伝えできればと思います。 今回の「今治・道後はまかぜ街道」は […]

#Ehime
FEATURE TRIP&TRAVEL
四国一周1000kmをライドする
〜グラベルオタクが行くウルトラディスタンス〜

皆さんが今まで自転車で行った一番遠い場所はどこですか。駅を2つ越えた先にあるコーヒー屋、電車で1時間の会社、はたまた県境を越えたあたりまで。おそらくこの記事を読んでいる読者の方々はきっとこう考えていることでしょう。「いやいや、そんなの近すぎる。もっと走れるぜ。」ロードバイクなどのスポーツバイクを手に入れると、ついつい遠くまで走りたくなります。気がつくと、50km、100km、200kmと壁を越えて走れるようになり、これまでの世界が拡張されることに満たされていくのではないでしょうか。 では、1000kmはどうでしょう。途方もない距離でしょうか。東京から1000kmあれば北海道や九州までも射程距離に入ります。「そんなの遠すぎるよ」って? 大丈夫です。これから私が数日間で4桁の距離を走る世界をお見せします。 目次 1.「BRM1012近畿1000km徳島 四国一周」とは?2. 温玉ねぎとろの走行スケジュール3. いよいよ、1000kmへの旅立ち4 . 最も辛かった場所5. 飛び抜けて最高だった瞬間6. この世のものとは思えないほど美味しかったもの7. 自転車で1000km走るということ 1.「BRM1012近畿1000km徳島 四国一周」とは? 「シコイチ」の愛称で知られる四国一周。コースどりの微妙な差はありますが、香川、徳島、高知、愛媛を周ってほぼ1000kmになる、距離的にも達成感を得やすいコースです。 今回は世界一ブルベの開催数が多いオダックス近畿が主催する「BRM1012近畿1000km徳島 四国一周」にエントリー。同コースは七年に一度の周期で開催されており、今回は3回目とな […]

#Kagawa #Sushi