ポートダグラス・グランフォンド100km大会レポート
絶景の楽園ライドは、それだけでは終わらない(後編)

ポートダグラス(オーストラリア/クイーンズランド州)にて2022年に初めて開催された「ポートダグラス・グランフォンド・フェスティバル」。
メインとなるロングライドイベント「ポートダグラス・グランフォンド」の100kmコースに参加してきました。世界遺産の熱帯雨林と珊瑚礁の海を駆け抜けた、絶景の楽園ライドの様子をレポートします。

前編はこちら。

目次



フレンドリーなローカルライダーたちとの交流

オーストラリアの自転車年齢層は日本に比べ幅広く、大会でも女性の参加比率は高めです。40-50代くらいの女性ペアやグループが、お揃いのジャージやコスチュームで走っている姿もよく見かけました。

親日家が多いというのも日本からの参加者にとっては嬉しいポイントです。英語が片言でも「自転車が好き!」という想いは共通。心配は不要です。
コース上のエイドステーションなどで会話を交わすたび、「次は僕が日本へ走りに行きたい!」と笑顔で答えてくれました。

ゲストライダーとして、UCIワールドツアー「ツアー・ダウンアンダー」の大会ディレクターとしても活躍するアネット・エドモンドソン元プロ選手が参加。エイドステーションごとに参加者へ笑顔で気さくに話しかけている姿が印象的でした。
現役時代に日本人選手がチームメイトにいたこともあってか、日本語も堪能。
「この景色、最高でしょう!?」と自然な日本語で満面の笑みをくれました。

リゾート感溢れるマリーナでゴール

日本の9月は秋ですが、南半球のオーストラリアは春。とはいえ熱帯モンスーン気候に属するケアンズは年間を通して暑く、9月も日が昇るとあっという間に30度以上に上昇します。
復路のエイドステーションで、ボランティアの方が思いきり浴びせてくれた水鉄砲は遊びというより本当に助けとなりました。
エイドステーションで小休憩を取りつつ、スタートから約5時間で無事にゴール!

「クイーンズランドブルー」の爽やかなテントで火照った体をしばし休めました。

完走後のお楽しみと言ったらやっぱり美味しいグルメです。
会場に併設する「ヘミングウェイ・ブリューワリー」のビアレストランでバーガーとビールで乾杯!
白いヨットが青空に映えるマリーナで、信号のない世界遺産100kmを完走した達成感に酔いしれました。

現地グルメや観光も楽しもう

せっかくケアンズに来たのなら、自転車イベント以外にも観光や現地グルメも楽しみたいものです。大会の前後にぜひローカルなスポットにも足を運んでみてくださいね。

ケアンズエスプラネード・ラグーン

ケアンズマリーナから約3kmに渡る遊歩道、エスプラネード通りでは連日、誰でも気軽に参加できる無料アクティビティや、週末にはマーケットが開催されています。歩くだけでもローカルな気分を味わえるでしょう。

中でも、海を見ながら泳げるエスプラネード・ラグーンはケアンズのシンボル的な施設。無料で利用できるので市民の憩いの場にもなっています。大会で火照った体をクールダウンするのにもおすすめです。

ラグーンから徒歩7分ほどのダンディーズ・ウォーターフロントでは、開放感溢れるテラス席で新鮮なシーフード料理を堪能できますよ。

▼ダンディーズ・ウォーターフロント
https://dundees.com.au/waterfront/

パームコーブでビーチ散策

ポートダグラス・グランフォンド100kmコースの折り返し地点となっているパームコーブには、椰子の木が並ぶ美しいビーチがあります。青空に高く伸びる椰子の木の間をくぐりながら、きめ細やかなサンドビーチの上を裸足で歩くのはシンプルながらも贅沢な散策になるでしょう。

散策してお腹が空いたら、ビーチ沿いのオープンテラスでランチを。ウィリアムズ・エスプラネードには、ヌヌ・レストランを始めオーシャンビューのお店が数多く並んでいます。

▼ヌヌ・レストラン
https://www.nunu.com.au/

ポートダグラスマリーナのサンセット

大会のスタート・ゴール地点であるポートダグラスのマリーナからは、リゾート感たっぷりの夕暮れを楽しむことができます。オーストラリアの dusk(黄昏時)は地元の人たちも大好きな時間帯です。

ゆったりと黄昏時を満喫したら、ディナーは地元のレストランで。マリーナから徒歩5分のワーフストリートにあるサルサ・バー&グリルでは豊富なカクテルやシーフードを中心とした創作料理を味わえます。キッズメニューもあるので家族連れでも安心して楽しめますよ。

▼サルサ・バー&グリル
https://salsaportdouglas.com.au/

ポートダグラス・グランフォンド コース概要(100kmコース)

スタート地点 ポートダグラス クリスタルブルック・スーパーヨットマリーナ
31km       第1エイドステーション/レックス・ルックアウト
50.7km 第2エイドステーション/パームコーブ(折り返し地点)
70.2km    第3エイドステーション/ハートレイズ・クロコダイル・アドベンチャーズ
*71km-72km KOM/QOM計測ポイントあり
80.9km  第4エイドステーション/タラ・ビーチ・ネイチャー・リザーブ
100km ゴール/ポートダグラス クリスタルブルック・スーパーヨットマリーナ

*獲得標高689m

感想:サイクリストなら一度は味わいたい極上ライド

クイーンズランド州は「サンシャイン・ステート(太陽の光の州)」の異名を持つほど、晴天率の高いことで知られています。輝く太陽の下、日本の海や森の風景とはまた一味違う、オーストラリアの真っ青な空と海、熱帯雨林を駆け抜けるコースはまさに「楽園ライド」と言っても過言ではありません。

普段からフィットネスの一環としてロードバイクに馴染みがあるオーストラリアでは、サイクリストの年齢層が幅広いのも特徴的です。
多くの人が日頃から集団で走ることに慣れているので、大会で見ず知らずの人と一緒になっても、決して競ったり焦ることもなく、安全走行を心がけマナーも良く非常に走りやすい環境です。

英語に自信がなくても大丈夫。サドルの上では皆同様に自転車が好きなサイクリスト同士、自然と会話が生まれます。
フレンドリーなローカルライダーたちとの交流を楽しみながら走る、絶景の世界遺産ライド。「今年こそ海外ライドデビュー!」と考えている人にも、「久々の海外ライドに行こうかな」という人にも自信を持っておすすめできるイベントです。国籍も世代も越えた様々なサイクリストたちとオーストラリアの大自然の中を思いきり駆け抜ける、一生物のライド体験。ぜひ味わってみませんか。

・ポートダグラス グランフォンド・フェスティバル 大会公式Webサイト
https://portdouglasgranfondo.com.au/

・クイーンズランド政府観光局
「ヴァージン・オーストラリア航空、羽田・ケアンズ間、初就航へ」
https://www.queensland.com/jp/ja/plan-your-holiday/news-and-articles/japan-direct-vaflight-from-haneda-to-cairns-arriving

・ヴァージン・オーストラリア航空
「こんにちは日本」
https://www.virginaustralia.com/jp/en/book/haneda/

Ayaka(編集者・ライター)

オーストラリア/クイーンズランド州ブリスベン 在住。
2011年、社会人になると同時に始めた自転車で「自転車×旅」の魅力にハマる。
世界各地での自転車旅のレポートを雑誌『Cycle Sports』に寄稿。2017年には自転車ツーリズム探究のためオーストラリアへ留学。『Cycle Sports.jp』にて連載「G’day, Australia! 〜ブリスベンからの自転車だより」を1年間執筆。帰国後は英教材編集者の傍ら自転車NPOでイベント通訳やMCも担当。2022年4月ブリスベンへ移住。自転車旅Webサイト『TABIRIN』、ライブ配信番組『Ayakaの見えるラジオfromオーストラリア』(おむすびチャンネル)でオーストラリアの自転車情報や文化を発信中。
座右の銘は「好きにまみれろ、夢中で生きろ」

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ブログ http://gdaybabyccino-ayaka.com/
おむすびチャンネル  Ayakaの見えるラジオfromオーストラリア
https://note.com/omusubi_fjc/n/nd7e6d27c81f1

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ブリスベン在住のサイクリストAyakaによる、「ツール・ド・ブリスベン2025」の参加レポート後編をお届けします。昨年は80km、今年は50kmのファンライドをパートナーのYoshiと共に駆け抜けたAyaka。市民が日常的に使用する生活道路やバスレーンを封鎖した、オーストラリアの中でも大規模なライドイベントを、地元サイクリストの目線から切り取ります。 前編はこちらから 目次6 雨上がりのブリスベンを駆け抜ける7 50kmコースのハイライト8 80kmコースの醍醐味9 多様な参加者とそれぞれの楽しみ方10 フィニッシュ後は和やかな祝祭ムード11 日本からの参加について12 2024年、2025年大会を通して感じた魅力 6  雨上がりのブリスベンを駆け抜ける 亜熱帯気候で晴天率が高く「サンシャイン・ステート」の名でも知られるクイーンズランド州ですが、季節の変わり目は雨が続くことも。その影響もあってか、大会前日の午後は強い雨風に見舞われました。 当日の天候が心配でしたが、幸いにも夜中に雨はあがり、スタート時には空に晴れ間が広がっていました。とはいえ日の出前の路面はまだ濡れており、スタート直後は前を走るライダーの水飛沫が顔にあたるほど。斜度15%の下り坂では転倒防止のためバイクから降りてそろそろと進む場面もありました。 それでも、日が昇るにつれて路面も徐々に乾き、スリップの心配も減り、快適な走りを楽しむことができました。木々を激しく揺らした前日の雨風が嘘のような好天候は、まさにこの大会のために用意されていたと思うくらいの完璧なライド日和でした。 7  50kmコース […]

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