Breezing Through Setouchi in Ehime
#02 アメリカ人のジェレミーがライド!しまなみ海道の愛媛側三島を巡る
愛媛に行くなら、まずは「しまなみ海道」から

日本をサイクリングで巡るなら、愛媛県は誰もが行きたい場所リストに入るべきです。整備されて走りやすい自転車ルートが県内を縦横無尽に駆け巡り、山から瀬戸内海まで走れ、道中には見どころや楽しみがたくさんあります。

まず今回走ったのは、世界中のサイクリストから評判を集める人気のサイクリングロード、しまなみ海道。本格派の人なら全長約70キロ(43.5マイル)の道のりをどうぞ。この記事では、瀬戸内海の本州側である広島県との県境までの愛媛県側・三島を巡るルートをのんびりと2日に分けて走りました。

目次

 1. 最初のハイライトは、大島と海鮮バーベキュー
 2. 大島から伯方島へ、険しい坂を登ったあとの絶景、サンセット、お好み焼き
 3. 2日目!E-bikeで大三島を横断して、クラフトビールの醸造所へ

1. 最初のハイライトは、大島と海鮮バーベキュー

日本の皆さん、そして海外在住者の皆さん、こんにちは。この記事を読んでいる多くの旅行者は自分の自転車を観光地まで輪行しないと思うので、僕も自分のロードバイクを家に置き、しまなみ海道の最初の地点にある便利な場所、今治の「サンライズ糸山」でロードバイクをレンタルしました。

ルートの確認とレンタサイクルの予約ができる「しまなみジャパン」のWEBサイトはこちら。
https://shimanami-cycle.or.jp/rental

このレンタルサービスの最大の利点は、ルート沿いに10か所もの拠点があることです。そして、ほとんどの自転車は乗り捨て可能なので、最初に出発した場所に戻らなくても自分の好きな距離だけ走ることができます。

自転車をレンタルしてから、今治と大島をつなぐ最初の橋への自転車道入り口まであっという間のライドでした
大島に入る来島海峡大橋の反対側に到着した時、日本の春にこの旅ができて良かったと思いました

もし早春にしまなみ海道を訪れる機会があれば、サイクリングの途中に立ち寄り、桜を楽しむことをおすすめします。でも僕はこの日の行程が少し押しており、昼食の時間に遅れそうなためにゆっくりはできませんでした。2歳の息子がいると、そういうことがよくあります。

大島を横断する際、島の中央部に緩やかながらも長い坂があるので、事前に警告しておきます。極端な勾配ではないですが、慣れていない人にはちょっと大変かもしれません。まだ3分の1も登りきっていない坂の途中で、自転車を押して歩いている人たちのグループを追い越しました。

島の海沿いを走るなら、新鮮なシーフードのために足を止めることをおすすめします。「能島水軍レストラン」という海鮮ランチができるお店で、自分だけのグリルで海鮮バーベキューを楽しむユニークで美味しい体験ができます。

時間があれば、レストランのすぐ向かいに面白そうな海賊ミュージアムもあるので立ち寄ってみてください。
https://www.shimanamiartmuseum.com/murakamikaizokumuseum

この後のライドに向けたエネルギー補給に、海鮮丼もおすすめです。特に、次のルートが僕みたいな感じだったら(笑)

2. 大島から伯方島へ、険しい坂を登ったあとの絶景、サンセット、お好み焼き

明日レンタルする予定の電動自転車があれば、こんなにきつくはなかったかもしれません。カレイ山展望公園への坂は本当にきつかったです。ちなみに、ここへ行ったのは妻のアイデアで、彼女は車で先に着いていました。なんとか心臓発作になることなく登り切れたけど、登る価値があったと言わざるを得ない絶景の場所でした。

頂上の展望台からの景色が素晴らしいだけでなく、山頂の屋外カフェで流れるジャジーなヒップホップ音楽や、断崖の端でオーナーの小さな犬と一緒に屋外のテントサウナを楽しむこともできますよ!

Hotdog Café HOAM
https://maps.app.goo.gl/YWgstmF3BoTyrLQD9

着いた時には閉店間際でフードは食べられませんでしたが、ホットドックはとても美味しそうだったので、早めに行くことをおすすめします。

ここは断崖にあるテントサウナ「サ」の入り口。自転車でサインを隠すつもりじゃなかったけど、隠れたカタカナ見えますか(笑)。そもそもきつい丘を登った後にサウナに入ろうとは思っていませんでしたが…  着いたのが午後4時過ぎだったので、オーナーはすでにテントサウナを片付けているところでした。

自転車を返却する場所に遅れそうだったので、山を下る時は最短ルートを選択。でも、伯方島に続く橋までの山道は、手入れされていなくて、上りよりも急な直線の小道なので、ロードバイクではあまりおすすめしません。舗装はされていますが、枝や葉で覆われていて、小川が道路を流れていたり、谷の斜面から急に下る場所があったりしたので、しばらく自転車を押して歩く必要がありました。

次は、大島からその夜泊まる予定だった伯方島へ続く橋を渡ります。
伯方島全体のサイクリングを楽しみたい方は、このサイトを参考にしてみてください。
https://cycling-ehime.com/en/routes/shimanami-kaido-oshima-hakata-island/

ゲストハウスの近くにある伯方島のレンタサイクル返却場所に到着したのは時間ギリギリでしたが、綺麗なサンセットが見られました。

伯方島から見たサンセット

島を散策したかったら色々見られる場所はありますが、ディナーができるお店は少ないです。でも「風」という名前のいい感じお好み焼き屋さんがあったのでそこに行きました。
https://maps.app.goo.gl/sqR5Zz7675XF42RK8

3. 2日目!E-bikeで大三島を横断して、クラフトビールの醸造所へ

レンタルバイクを取りに行く途中で、しまなみコーヒーに立ち寄って朝のコーヒータイムを。
https://maps.app.goo.gl/hbK8xs5SMNp6KasS7

2日目は、まず伯方島から大三島へ車で向かい、新たにレンタルする自転車を借りる場所へ。昨日のレンタルショップは、とても便利で実用的なタイプのサービスでしたが、今日のショップ「WAKKA」は、ライダー向けの完全なハブです。世界最高峰のスポーツバイクメーカー「スペシャライズド」の電動アシスト自転車、海辺のバンガロー、シャワー設備、そして美味しいカフェも備わっています。出発前にカフェで食事をしてからこの日の旅路のスタートです。
https://wakka.site

島を半周した後に、妻と別のカフェで待ち合わせすることに。ベーコンとチーズのバゲットサンドを2人でシェアしました

この日選んだルートは、島の沿岸道路の約3分の2を走るコースです。たくさんの大きな丘があるのでエクササイズになります。道は眺めが素晴らしく風も気持ち良くて、途中で立ち止まって見られる場所もたくさんあります。景色やライドを楽しむだけでなく、こじんまりとした店やカフェ、そしてサイクリスト向けの美術館などがたくさんあって、あちこちに休憩できるスポットもあります。

ルートの南側を進んでいる途中、時折遠くに橋が見えました。地図を見たら、前日通った出発地点でした

遅めのランチには「大心」という小さなお店で、デミグラスソースで煮込んだイノシシのオムライスとイノシシのハンバーグステーキ、そして添えられていたのは、おそらくお察しの通り、串に刺したイノシシ肉のソーセージです。
https://maps.app.goo.gl/nWMPGY2QnfeMZ5mV9

近くにクラフトビールがあったら、僕はその匂いを嗅ぎつけて、必ず立ち寄ります。特に地元で作られたものなら。というわけで、大三島ブリュワリーを紹介します。とても素敵な小さな醸造所で、大三島に滞在しているなら、ガラス越しに醸造設備が見られる和室で新鮮なビールを楽しむことができます。ちなみに、僕はクラフトビールが大好きなので、今後のルートでも醸造所やビールバーを紹介していきます。もちろん、ライドが終わってから飲んでいただけるように!

ほとんどの人がちょっと立ち寄るだけなので、彼らはテイクアウトビールを利用しています。このアルミ製のビール容器には、タップから直接詰められて鮮度が保たれたビールが入っています
https://maps.app.goo.gl/EC1RjKBdKwEG4Tbf9

愛媛県から広島県への境界まで、多々羅大橋の半分を走りました。これで、愛媛県横断の自転車ツアーの最初の部分が完了です

しまなみ海道は、すごく大変なルートではなく、気軽に楽しめるルートです。いつか完走しようと思っていますが、この連載では、愛媛の広大なサイクリングパラダイスについてもっと掘り下げていきたいと思っています。次の記事をお楽しみにしていてください。

🚲Breezing Through Setouchi in Ehime Series
#01 愛媛・潮風と山を堪能できる11のサイクリングロード
#02 アメリカ人のジェレミーがライド!愛媛に行くなら、まずは「しまなみ海道」から


Text_ Jeremy Kircher
アメリカ合衆国ペンシルベニア州出身。約10年間、ハワイ州ホノルルに住んでいた時期もあります。2017年から日本に移住し、現在は香川県高松市でクラフトビールの醸造士として働いています。サイクリングはお気に入りのエクササイズなので、数多くの四国の魅力的なサイクリングルートを紹介したいです。

FEATURE TRIP&TRAVEL
Breezing Through Setouchi in Ehime
#01 愛媛・潮風と山を堪能できる11のサイクリングロード

サイクリングパラダイスとして知られる愛媛県、行かれたことはありますか。瀬戸内海を望む温和な気候と自然豊かな風土に恵まれ、CNNの「世界7大サイクリングロード」の一つに選ばれた「しまなみ海道」をはじめ、県内には海と山を走り抜けるたくさんのサイクリングロードがあります。 四国の瀬戸内海側、北西部に位置し、四国4県で一番人口が多い愛媛県。瀬戸内海の海風を感じる穏やかな気候によってミネラルたっぷりの土壌で育つ「みかん」の生産地として有名で、海と山に囲まれた自然が広がります。また、宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』のモデルにもなった道後温泉や松山城など歴史を感じる場所も多く残されています。そんな愛媛の魅力的なサイクリングロードを連載でお届けするこの企画。1回目の今回は、県内の11のサイクリングロードを一挙にご紹介します。 目次  1. 別子・翠波はな輪道 2. 石鎚山岳輪道 3. 今治・西条ゆうゆう輪道 4. 今治・道後はまかぜ海道 5. 伊予灘・佐田岬せとかぜ海道 6. 内子・中伊予さとやま輪道 7. 奥伊予・肱川清流街道 8. 宇和海しおさいオレンジ輪道 9. 宇和島・四万十だんだん街道 10. 愛南さんさん輪道 11. しまなみ海道サイクリングロード 1. 別子・翠波はな輪道 スタート地点:マイントピア別子(愛媛県新居浜市立川町707-3)県の東側にある「別子・翠波はな輪道」は、全長87.7kmで、標高1,500~1,700mの山々を囲むように走るコースです。日本三大銅山のひとつである別子銅山跡を利用した道の駅「マイントピア別子」からスタートして、まずは大永山を登ります。 360 […]

#Shimanami #Map
FEATURE TRIP&TRAVEL
Breezing Through Setouchi in Ehime
#03 アメリカ人のジェレミーがライド!
お城に、温泉に、クラフトビール!
しまなみ海道から続く愛媛カルチャーを走る

本格的なサイクリストや自転車好きにとって、愛媛県と言えばしまなみ海道を思い浮かべると思いますが、それだけがライドコースではありません。今回は、県内で最も有名なしまなみ海道の起点である今治市から県庁所在地の松山市まで南下し、日本最古の温泉地・道後温泉を目指すルートを紹介します。このルートは「今治-道後はまかぜ海道」と呼ばれています。この道は日常的に使われているため車の交通量が多く、沿岸の景色を楽しめるのはコースの半分ほどなのですが、たくさんの素晴らしい歴史的名所や、魅力的で個性的なランチスポット、そして楽しい夜も過ごせる街へ続く重要な道となっています。 目次  1. ルートの下見と今治城 2. ユニークな外観のドライブインでランチ 3. 素敵なサービスのホテルにて 4. 街を散策、そして美味しいクラフトビールを探し求めて 5. 温泉と足湯 6. パンク修理のヒーロー 7. 日本最高の城のひとつ、松山城 8. 海風を感じるハワイアンスタイルのカフェで 9. そして、ひたすら海沿いを走る 1. ルートの下見と今治城 時間の制約とこのルート上の多くの名所を見たいという理由で、初日は今治から自転車を後部座席に乗せて車で下見をしました。松山空港に飛行機で来る場合でも、電車やバス、または、しまなみ街道から自転車で今治に来る場合でも、その先で自転車をレンタルするなら、いずれにしても借りたお店に自転車を返す必要があります。今後の記事で、いくつかのサイクリングロードをつなげていき、楽しく挑戦的な周遊コースで愛媛県を自転車で走破する方法をお伝えできればと思います。 今回の「今治・道後はまかぜ街道」は […]

#Ehime
FEATURE TRIP&TRAVEL
四国一周1000kmをライドする
〜グラベルオタクが行くウルトラディスタンス〜

皆さんが今まで自転車で行った一番遠い場所はどこですか。駅を2つ越えた先にあるコーヒー屋、電車で1時間の会社、はたまた県境を越えたあたりまで。おそらくこの記事を読んでいる読者の方々はきっとこう考えていることでしょう。「いやいや、そんなの近すぎる。もっと走れるぜ。」ロードバイクなどのスポーツバイクを手に入れると、ついつい遠くまで走りたくなります。気がつくと、50km、100km、200kmと壁を越えて走れるようになり、これまでの世界が拡張されることに満たされていくのではないでしょうか。 では、1000kmはどうでしょう。途方もない距離でしょうか。東京から1000kmあれば北海道や九州までも射程距離に入ります。「そんなの遠すぎるよ」って? 大丈夫です。これから私が数日間で4桁の距離を走る世界をお見せします。 目次 1.「BRM1012近畿1000km徳島 四国一周」とは?2. 温玉ねぎとろの走行スケジュール3. いよいよ、1000kmへの旅立ち4 . 最も辛かった場所5. 飛び抜けて最高だった瞬間6. この世のものとは思えないほど美味しかったもの7. 自転車で1000km走るということ 1.「BRM1012近畿1000km徳島 四国一周」とは? 「シコイチ」の愛称で知られる四国一周。コースどりの微妙な差はありますが、香川、徳島、高知、愛媛を周ってほぼ1000kmになる、距離的にも達成感を得やすいコースです。 今回は世界一ブルベの開催数が多いオダックス近畿が主催する「BRM1012近畿1000km徳島 四国一周」にエントリー。同コースは七年に一度の周期で開催されており、今回は3回目とな […]

#Shikoichi