線跡は続くよ、ワシントンまで
ピッツバーグから始まる600kmの鉄道跡ライド旅
「グレート・アレゲーニー・パッセージ」

「レイルトレイル(Rail Trail)」をご存知でしょうか?
「レイルトレイル」とは鉄道の廃線跡を利用してサイクリングやウォーキング、ジョギング、乗馬などを楽しめように整備された道のこと。欧米を中心に世界で数千あると言われており、日本でも徳島県〜高知県にかかる「伊尾木森林鉄道」の遺構跡をはじめ、いくつか存在します。ただ、その数と長さは鉄道の力で国を開拓してきたといっても過言ではない欧米の比ではありません。

レイルトレイルの始まりは1960〜70年代のアメリカ。戦後、急速に広まった飛行機による鉄道輸送の衰退を受け多くの路線が廃止となり、これを地域資源として活用する運動が世界へ広がるきっかけを作りました。鉄道跡地のため、小さな坂や山岳地帯は別としてほとんど平坦であることが特徴です。大人のサイクリストのみならずお子様でも楽しめ、家族連れでの利用も多く見られます。

今回は、編集部が毎年5月にニューヨークで行われるサイクリングイベント「FIVE BORO BIKE NEW YORK」で出会った、アメリカ東部を代表する長距離レイルトレイル「グレート・アレゲーニー・パッセージ」のディレクター・Brelsford氏から届いた魅力的なトレイル情報をご紹介します。


Text_Global Ride Editoreal Team

目次

1. 「グレート・アレゲーニー・パッセージ(Great Allegheny Passage)」とは
2. コース概要
3. 歴史と成り立ち
4. ロード風景
5. 日本から挑戦するには

1. 「グレート・アレゲーニー・パッセージ(Great Allegheny Passage)」とは

アメリカ東部、ペンシルベニア州ピッツバーグからメリーランド州カンバーランドまで、約150マイル(約240km)にわたって伸びる自転車道。それが「グレート・アレゲーニー・パッセージ(通称GAP)」。廃線となった鉄道跡を活用して整備されたこの道は、アメリカでも屈指のロングトレイルとして知られ、世界中のツーリストを惹きつけています。

ピッツバーグのダウンタウン

2. コース概要

GAPは、ピッツバーグ中心部からスタートし、かつての石炭輸送鉄道の軌道跡を辿りながら、アパラチア山脈の自然を貫きます。舗装部分もあるとはいえ、多くはよく整備された未舗装のグラベル状路面で、ロードバイクなら太めのタイヤ、もしくはグラベルバイクやツーリングバイクでの走行をおすすめします。

カンバーランドで終点を迎えますが、そこからは「シー・アンド・オー運河道(C&O Canal Towpath)」と接続しており、さらにワシントンD.C.まで約330マイル(約530km)の長旅が可能です。両ルートを合わせると、ピッツバーグから首都まで、約600km以上のサイクリング大冒険に。もちろん、要所には宿泊施設や飲食店もあり、バックパッキングもしくはホテルに泊まりながらの旅も可能です。

Great Allegheny Passage webサイトより。宿泊所や観光スポット、病院などがコース近隣でマッピングされており、事前に安心な旅作りが計画できる
飲料補給、休憩など探したいポイントのアイコンを選びリサーチするとレイルトレイル上に表示される

3. 歴史と成り立ち

GAPのルートは、19世紀から20世紀にかけて石炭や鉄鋼を運んだ鉄道路線がもとになっています。産業の衰退とともに鉄道は廃線となり、地元の人々や愛好家たちの尽力によってレールが撤去され、サイクリングとハイキング用の道へと再生されました。整備には数十年を要し、2000年代にようやく全線開通を迎えている壮大な事業です。
途中には歴史的な鉄橋やトンネルが数多く残されており、とくに全長1,600メートル近い「ビッグ・サヴェージ・トンネル」は圧巻。真っ暗なトンネルをライトを灯して走り抜ける体験は、鉄道跡ならではのハイライトといえるでしょう。


4. ロード風景

GAPを走ると、鉄道時代の名残と自然美が交互に現れます。ルート沿いにはかつて炭鉱で栄えた小さな町が点在し、今ではライダーを歓迎するカフェや宿泊施設が整備されていて、地域経済に新しい命を吹き込んでいます。
アメリカのサイクリストの間では「人生で一度は走りたい道」として知られており、長距離ライドを通じて仲間と語らい、自然と歴史を体感する旅路は、ロードバイク文化とはまた違う魅力を味わわせてくれることでしょう。

コース上には様々な観光ポイントがあり、フランク・ロイド・ライトの著名建築「Fallingwater」も。建築ツアーや散策、カフェでの食事も楽しめる

5. 日本から挑戦するには

日本からアクセスする場合はピッツバーグ国際空港が玄関口となります。レンタルバイクやツアーも存在するので、自転車を持ち込まずに挑戦することも可能。走行シーズンは春から秋がベストで、紅葉に包まれる秋のライドは格別です。

ペンシルバニア州を流れるヨーギオゲニー川(Youghiogheny River)

「スピードを競う道」ではなく「歴史と自然を味わう道」。GAPは、走破することそのものが物語となるサイクリングロード。鉄道時代の遺産とアメリカ東部の風景を全身で受け止めながら、長い旅に身を委ねる贅沢な時間。次のサイクリング旅の候補に、ぜひ加えてみてはいかがでしょうか。


🚴グレート・アレゲーニー・パッセージ(Great Allegheny Passage)公式ウェブサイト
https://gaptrail.org/

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