日本三景・松島を満喫する湾岸Sakuraライド

日本の春といえば「桜」。海、山、街。いろとりどりの表情を見せる桜を堪能するサイクリングコースを紹介。第一回となる今回は、日本三景の一つ、宮城県の「松島」をめぐります。仙台空港を出発し、ゴールは国宝瑞巌寺。海岸を進む約50キロの道のりです。桜は松島にどんな色をつけてくれるのか楽しみです。もちろん、「食」もあるのでお楽しみに。

目次

1. 空から海へ
2. 震災遺構 仙台市立荒浜小学校を訪ねる
3. さざなみの浜でドリンク休憩
4. 塩竈神社で桜を愛でる
5. 寿司といえば塩釜?
6. 桜と松島湾の絶景がここに
7. 太古の温泉場で休息
8. 遊覧船で松島湾一周
9. 松島の歴史を辿る

1、空から海へ

スタートは仙台空港。サイクリングポートや大型ロッカーが整備されているので安心。シャワーブースも使用可能となっており、ライダーに優しい空港です。広大な太平洋とそこに浮かぶ小さな島々を目指して。松島を桜はどんなふうに色付けしてくれるか。さあ、準備万端整えていざ出発。

2、震災遺構 仙台市立荒浜小学校を訪ねる

国道10号を通って七ヶ浜方面へ。すると、ほどなくして見えてくるのが1つの学校。ここは、2011年3月11日に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた、仙台市立荒浜小学校。震災当日は2階まで津波が襲ってきたそう。2017年に閉校となったのちに、校舎を震災遺構として公開しています。また、2018年からは、東日本大震災の復興支援を目的とし、「ツール・ド・東北」のルートにも含まれていました。震災から13年が経つ今日にも、当時の被害の大きさを伝えています。忘れてはならない記憶としてとどめておきたい景色です。

3、さざなみの浜でドリンク休憩

国道23号にぶつかったら、海へ向かって右折。そのまま進むと七ヶ浜へと出ます。ここは文字通り「七つの浜」に囲まれていることからその名前がついた場所。ここで海を眺めながらドリンク休憩を。すると何やら初めて見るドリンクの名前「カマカリーノ」。こちらは、SHICHI NO CAFEのオリジナルドリンク。オリジナルフレーバーにアイスと氷を混ぜて食感を出した、パフェのようなドリンクです。ちなみに「カマカリーノ」という名前は、このドリンクの創作者「鎌苅さん」の名前をイタリア風に呼んだものだとか。そう思うとなんとなく、イタリアの海にも見えなくも……。ともあれ、喉を潤して自転車にライド!

小さなヨットハーバーもあり、これからの時期はマリンスポーツで賑わう七ヶ浜

4、塩竈神社で桜を愛でる

海とはしばしお別れ。来た道を戻るようにして、次は塩竃市へ。その中心に建つのが塩竃神社。その歴史は1200年以上といわれ、もともと製塩法を人々に教えたとされる塩土老翁神(シオツチノオジ)を主祭神している神社です。中世になると奥州藤原氏、後に伊達政宗をはじめとする伊達家にも厚く支持され、現在に至ります。人類の歴史は塩の歴史などともいいますが、海の恵みに感謝して大切に祀られてきた神社です。
そしてここで発見。境内に広がる薄桃色の桜です。「塩竃神社の塩竈桜」の名称で知られ、国の天然記念物に指定されている八重桜です。神社の澄んだ空気と華々しくかつ繊細に咲く桜に癒されます。

国の天然記念物に指定されている八重の塩竈桜
塩釜神社敷地内から太平洋を臨む

5、寿司といえば塩釜?

癒されたとなれば、お腹も空くもの。塩竃神社からほど近いところには美味しいお寿司屋さんがいくつもある。宮城県の中でも、寿司といえば塩釜なのだとか。その理由の一つに、塩釜は国内で有数のマグロ水揚げ量を誇る港町ということがある。県の政令指定都である仙台には塩釜の寿司店が数点出店しており、ランチから行列ができるほど。ご当地のブランド魚である「三陸塩竈ひがしもの」も、実はマグロの一種です。ぜひ、時間と余裕のあるときに、ゆっくりと堪能したいものです。

6、桜と松島湾の絶景がここに

ここからはいよいよ松島へ向けたルートになります。山側のルートが交通量も少なくおすすめです。するすると登っていくと、そこに現れるのが景勝地の1つ「西行戻しの松」。松島展望台と呼ばれる場所からは、松島湾が一望できます。海、島、そしてそこに立つ松。これぞ松島という風景が広がります。もちろん、桜もばっちり。桃色の桜ごしに眺める松島。いまの時期しか見られない特別な風景です。また、朝焼けの松島湾も絶景。松島で宿泊するプランもありかも。

7、太古の温泉場で休息

松島には温泉もあります。その温泉地には「太古天泉」という冠がついています。「太古天泉松島温泉」。その名前が示すように、松島温泉は太古の昔に、地下深くに湧きだした温泉とされています。そのため、源泉でも「あたたかい」のが特徴。なめらかで、お肌をすべすべにしてくれる美人の湯としても有名です。古くから旅人の疲れをいやしてくれたのでしょう。でも今回は足湯で休憩。次へ進みましょう。

8、遊覧船で松島湾一周

松島の「島」は、260あまりもあると言われています。地殻変動による丘陵の沈下と温暖化による海⽔⾯の上昇が起により、その姿は形作られたといいます。やはり、自然はおそるべし。人では作り出せない、優雅な風景を作り出してしまうのですから。
松島湾を一周する観光船もおすすめ。そのコースの1つに、伊達政宗お気に⼊りの島として知られる「千貫島」があります。伊達政宗は江戸幕府を開いた徳川家康に仕えた戦国武将。魅力的に飾った人のことを日本語で「伊達者」といいますが、これは伊達政宗が奇抜な衣装に身を包んでいたおしゃれな人だったことからきているという説もあります。
その伊達政宗が湾内を遊覧した際に「あの島を余の館に運ぶ物あらば銭千貫を遣わす」と⾔ったところから千貫島と名付けられたそうです。いまの松島の姿は約5000年前にできあがったと言われているので、もしかしたら伊達政宗と同じ場所、同じ光景を見ているのかもしれないと思うとなんとも感慨深いものがあります。

9、一見の価値あり!の歴史建造物と庭

松島を代表する景観の一つが、松島五大堂です。本州海岸に近い小島に建つお堂です。その小島にいくにはすかし橋という足元が透けて見える橋を通ることになります。足元を見て気を引き締めるために造られたともいわれています。たしかにちょっと怖いかも。
※2024年1月9日~4月10日及び2025年1月14日~3月31日(予定)は透かし橋等の橋の工事の為、五大堂の拝観ができなくなります。松島海岸中央広場から五大堂を眺めることは可能。

瑞巌寺(国宝)
いよいよゴール。国宝瑞巌寺に到着。828年創建と言われているので、その歴史はなんと1400年。伊達家の菩提寺としても知られており、伊達政宗が豊臣秀吉の命により朝鮮出兵した際、かぶとに入れて持ち帰ったと言われる梅の木がいまでも見られます。さすが伊達者。戦いに行ったにもかかわらず、持ち帰ったのが梅の花。おしゃれですね。その梅は、臥龍梅といわれ、紅と白の二色が並び、桜の季節に花が残っていれば、梅と桜両方が楽しめる、なんとも優雅な庭があります。

3月下旬〜4月にかけては梅と桜が同時に見られる photo(一社)松島観光協会
参道の右側にある洞窟は供養場となっており、江戸時代後期からと見られる

円通院
ゴールといったけれども、最後にちょっと寄り道。桜をずっと見てきたけれども、お寺に「バラ」があるというと興味がわきませんか。コケの寺として知られる円通院。そこにある三慧殿の厨子には、慶長遣欧使節を率いた支倉常長が西洋から持ち帰ったバラと、フィレンツェを象徴する水仙が描かれています。この厨子のバラをヒントに天野明道住職が、「白華峰西洋の庭」にバラを植えて一般の観覧に供したため、円通院は「薔薇寺」の異名でも呼ばれるようになったのです。

新緑と玉砂利のコントラストが見事な円通院  photo(一社)松島観光協会
松島は日本有数の牡蠣の産地。静かな入江で育まれたミルキーな味わいは絶品

帰りはもう一度ゆっくりと桜、松島を眺めながらゆっくりと仙台空港に戻りましょう。空港ではシャワーブースも利用可能なので、あたたかくなってきたこの時期でも安心。思いっきりライドを楽しみましょう。ただ、松島には温泉もあり、日本風の旅館もたくさんあるので、ゆっくりお湯につかるのもありかも。夜桜、朝焼けの桜など、時間によってもいろいろな表情が見られるので、とっぷりと桜を楽しんでください。

「西行戻しの松」公園から望む朝焼けの松島湾と桜

写真協力
宮城県観光プロモーション推進室
一般社団法人松島観光協会
塩竈市広報課
塩竈市観光物産協会

🚲本日のライド行程

Text_Kuniaki Ebinuma

Profile

海老沼邦明/Kuniaki Ebinuma
編集者・ライター。埼玉県生まれ。都会暮らしが嫌になり新潟県に移住。そこかしこにある温泉に行きまくる、週末温泉生活を堪能。最近になってUターン。久々の都会暮らしにふらふらしながらも、移住前には目の行かなかったおもしろスポットを巡っている。

 

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