ウチナーンチュライダー 長濱良起が案内する
島の中を船で輪行?
沖縄・国道58号サイクリング

「船×自転車」。この組み合わせにグッとくる方、きっといらっしゃいますよね?
改めましてこんにちは。沖縄で生まれ育った芯からのウチナーンチュライター・長濱良起です。このコラムは今回で2回目。沖縄のおすすめコースを紹介しております。

冒頭でも書きました「船」。飛行機や電車だと輪行バッグに入れてどうのこうのと大変ですが、船だったら自転車ごと乗れるのでシームレスな旅体験を楽しめます。

さて、「沖縄から船に乗ってどこ行くの?」っていう話ですよね。本島から県内離島に行くのか。それとも鹿児島航路で悠々と南西諸島をホッピングするのか…

目次

1. 本島から本島へ!
2.やんばる路を走る!
3.人気の道の駅で「ちんびん」!?
4.沖縄名物・紅芋と隠れ名物・牛
5.陽も落ちてラストスパート

1、本島から本島へ!

答えは「沖縄本島から沖縄本島」。本島南部の那覇港から本島北部の本部港まで約2時間、ときおり波に揺られながら北上し、それから約80kmの道のりを戻るように走破しようという1日です。

第一マリン交通が運航する「ジンベエ・マリン」*です。朝の便は8時半から。自転車を持ち込んでいる人も僕のほかに数名いました。人気のライドコースです。

那覇港泊ふ頭に停泊するジンベエ・マリン

最終行き先の本部渡久地港は、沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館がある町です。ジンベエザメがモチーフとなった船の客室はこんな感じです。

那覇港を出て間もなく、船内アナウンスで「進行方向右側にクジラが見えます。お楽しみください」という旨の案内がありました。海が広大すぎて探しても自力で発見できなかったのですが、沖縄近海では冬の時期にクジラを見かけることができ、あるホエールウォッチング業者は「遭遇率98%」を謳うほどです。

そして着きました。本部港。

本部町・本部港

今回も張り切ってドローン持参です。右下に、ちょうどさっきまで乗っていたジンベエ・マリンが見えますね。

2、やんばる路を走る!

当面の目標は本部港から約15kmの名護市中心部。沖縄本島北部の地形は特に山がちなので、自転車を漕ぐにはちょっとハードかなぁと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。両市町を結ぶ国道449号はずっと海沿いを通っていて、むしろ平坦、景色も最高です。

いいですねぇー
いいですねぇー!!!

1月の沖縄は、平均最低気温が14度で、しかも基本的にはどんより曇っているのですが、こんな晴れ晴れとした当たりの日があります(寒いかなと思ってパーカーを着ていましたが、郵便局に寄りパーカーを自宅に送り返しました)。

名護市・21世紀の森ビーチ

名護湾です。湾だからか波も穏やかで心落ち着きます。

すぐそばにある「名護漁港水産物直販所」で本日一発目のランチです。

結局は「漁港で魚を食べる」って体験だけで美味しいんですよね。

ごちそうさまでした。さてさて、今度はデザート探しの旅に出ます。国道58号を南下していきます。ちなみに、今回の旅はこの国道58号をひたすら真っすぐ行くルートです。最終目的地の那覇港も、国道58号から約100mだけ入った場所にあるので、とにかく今回は「国道58号の旅」と覚えておいて下さい。

3、人気の道の駅で「ちんびん」!?

漁港から自転車で10分ほど進めば、「道の駅 許田(きょだ)」があります。この道の駅は全国の人気ランキング上位の常連で、多くの沖縄県民にとっても北部への小旅行時によく立ち寄るおなじみの道の駅です。

2021年にリニューアルして駐車スペースが大幅に広がった許田道の駅。観光客も多く、沖縄らしいアイテムが手に入ります。

シークヮーサージュースやマンゴーグミを補給して長旅に備えます。そして、ちんびん…!?  これは、なんといいますか、簡単に言えば、黒糖もちもちクレープみたいな、沖縄の伝統お菓子です。シンプルに美味しいので、お越しの際はぜひ食べてください。スーパーにもありますしたまにコンビニにもあります。

そして、ミネラルウォーターには「レキオ」の文字。これは1500年代にポルトガル人が琉球をレキオとして紹介したことに由来します。500年の年月ごと飲み干してください。

4、沖縄名物・紅芋と隠れ名物・牛

旅は続きます。

恩納村(おんなそん)。海の奥に見える本部半島の先端あたりから、名護湾を囲むようにグルリとやってきました。

どんどん南下していくと…

焼失してしまった首里城!ではなくて、紅芋タルトでおなじみの「御菓子御殿」の恩納店です。この日は日曜日でかないませんでしたが、平日だと紅芋タルトの製造ラインも見学することができます。

紅芋生タルトと紅芋ロールの超絶最強コンビです。

カロリーをしっかり摂取して、南下を続けます。

ドンキーコングの一面みたいな木が生えていて南国ムード満点ですね。ヤシの木は沖縄本島に自生しているわけではありませんが、観光立県としての景観整備の意味合いもあり、時折こんな場面を楽しめますよ。

南北約30kmの恩納村をやっと抜け、読谷村へ。村といえども人口は4万人以上で、「日本一人口の多い村」としても知られています。

沖縄は本島中部を中心に闘牛も盛んです。牛VS牛のタイプです。牛には企業名を付けるパターンもあります。この看板にある古堅モータース号は、闘牛に疎い僕でも名前ぐらい聞いたことがあるような、かつての横綱牛です。

そして嘉手納町(かでなちょう)。町域の8割が米軍嘉手納飛行場の一部となっています。嘉手納飛行場や普天間飛行場はよく耳にするかと思いますが、実際は大小合わせて30以上の米軍専用施設があります。

フェンスに両サイドを囲まれ国道58号線を走っていきます。緩やかなアップダウンを楽しみましょう。

5、陽も落ちてラストスパート

もうこんな時間になってしまいました。

北谷町(ちゃたんちょう)のブルーシール北谷店で、本日最後のモグモグタイムです。

ブルーシールは、アイスクリームのイメージが強いと思いますが、店舗によってはバーガーとかも食べられちゃいます。

その名もブルーシールバーガーです。

バーガーとかポテトを食べたあとは自動的にアイスが欲しくなるところですが、今回はちょっと我慢しておきますね。

そして漕ぎ始めてから8時間、いや、9時間ぐらい経ったでしょうか。無事に那覇港に到着です。まずは無事故を祝いましょう。

今回通った国道58号は、沖縄本島西海岸の大動脈であり、まさに「県民の道」とも言える存在です。市街地や観光地が集中する西海岸を走るので、これから沖縄を知りたいという方にもおすすめのルートです。エリアごとの特色変化も少しずつ感じられるので、沖縄が持つたくさんの顔を見ていってください。それでは、またやーさい(またね)!

🚲本日のライド行程 *ライター同行者のデータより

https://www.strava.com/activities/10555810058?share_sig=490C0EDF1706605043&utm_medium=social&utm_source=ios_share


🚢「ジンベエ・マリン」についてはこちらよりご確認ください
https://daiichi-marine.com/
料金_片道1000円/大人(泊ふ頭⇔本部渡久地港)
那覇発始発_08:30
本部発最終_16:00
*2024年2月5日現在

Text & Photo_Yoshiki Nagahama

Profile

長濱良起/Yoshiki Nagahama
フリーランス記者、テレビディレクター、放送作家。琉球大学マスコミ学コース卒業後、沖縄県内各企業のスポンサードで鹿児島―東京間の自転車旅を経て、30カ国世界一周を行う。2018年、北朝鮮での撮影をまとめた写真展を開催。2023年には「10kg痩せるまで帰らない台湾自転車旅」を敢行(まさかの妻も同行)。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(東洋企画工房、2010年)。合同会社XY STUDIO代表。1986年、沖縄県浦添市出身。

 

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冬でも楽しめる! 沖縄・シーサイドサイクリング

はじめましてみなさん。自転車は好きですか?そりゃ、きっと自転車好きな方がGlobal Rideさんの本コラムにたどり着いているのでしょう。それでは「年末なのに気温25度のとっても海がきれいな沖縄」はお好きですか? 今回は沖縄で生まれ育った芯からのウチナーンチュライターである私・長濱が、1年中楽しめる気軽なシーサイドサイクリングをご案内します!地元民も目からウロコな新鮮な旅を、追体験してみませんか。

#Sea road
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那覇の街をサイクリングするのは、想像以上に楽しいって話。

旅に出ようと思い立った。 どこかの街でのんびりと過ごしたいと最初はシンプルに考えていた。しかし次第に欲望がむくむくと大きくなる。美味しいものをいっぱい食べたいし、東京での生活とのギャップがあったほうがいいし、なにより過ごしやすい場所がいい。 で、選んだのが沖縄の那覇だった。 そしてもうひとつ、大きな欲望があった。 サイクリングだ。

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じーっと猫が…サクサク天ぷらが100円…沖縄の小島をロードバイクでめざす旅。

急に日常から離脱したくなるときってありますよね。仕事をするのが嫌なわけじゃないんだけど、環境を変えたいっていうか。そんな時は自転車を担いで、どこかにいくのがよい。見知らぬ土地を風をきって走れば、もやもやなんてすっ飛ぶし、あなたの人生をより豊かにしてくれるだろう。 ということで、ある日、ロードバイクとともに那覇へと向かった。 2023年の12月、東京はもうコートが必要な寒さだった。しかし2時間弱のフライトで降り立った那覇の街は、Tシャツに短パンで十分だった。

#Okinawa