北米最大のファンライドイベント
TD FIVE BORO BIKE TOUR(BNY)徹底解説!

毎年5月、ニューヨークで開催される ファンライドイベント「TD Five Boro Bike Tour」(「TD」はメインスポンサーであるTD Bankより) は、世界中のサイクリストが憧れる都市型ファンライドイベントです。普段は車とクラクション音で埋め尽くされるマンハッタンの大通りや高速道路、さらには巨大橋梁が、この日だけは自転車のために開放されます。
レースにあらず、ニューヨークという都市そのものを味わう──。
それが、このイベント最大の魅力です。


Text_Mayumi Kamura

目次

1. イベントの基本情報
 FIVE BORO−5つの行政区(Boroughs)を走る
 マンハッタン区(Manhattan)
 ブロンクス区(The Bronx)
 クイーンズ区(Queens)
 ブルックリン区(Brooklyn)
 スタテンアイランド区(Staten Island)

2. このイベントならではの特色とは?
 ①「ゼロ・カー」のニューヨークを走る
 ② 競争ではなく祝祭
 ③ 世界都市・NYCを「建築鑑賞ライド」として楽しめる

3. TD Five Boro Bike Tourは「レジャー」のファンライドイベント
 ① ブルックリンの魅力的なパブ、コーヒー文化
 ② 橋の数々
 ③ 船でマンハッタンへ


1. イベントの基本情報

開催日時2026年5月3日(日) *毎年、5月の第一日曜予定
開催エリアニューヨーク市/アメリカ合衆国
参加人数約32,000名(日本からの申し込みは約15名)
距離約64km(40mile)
制限時間7:30スタート→17:00 クローズ
スタート/ゴールマンハッタン南部・トライベッカ周辺/スタテンアイランド島
ライドポイント・ライド専用レーンとなるマンハッタンの大通りや高速道路、橋梁からの都市景観
・ニューヨーク市の5つの区全てを走る観光コース 
・自由の国、アメリカを感じるライダーの様々なライドスタイル、ファッション
エントリー料スタンダード 38,000円 
VIP 85,000円 
*グローバルライド割引あり
主催BIKE NEW YORK https://www.bike.nyc/

*情報は2026年5月15日現在

コース上では通常は自転車走行不可の高速道路「BQE(Brooklyn-Queens Expressway)」や、巨大吊橋 Verrazzano-Narrows Bridge も走行できます。
また、ニューヨークの5つの区(Five Boroughs)をすべて走るのも醍醐味。それぞれの特徴があるエリアを観光気分で参加できます。


FIVE BORO−5つの行政区(Boroughs)を走る

マンハッタン区

ニューヨーク市の中心地であり、世界経済・文化の象徴ともいえるエリア。

ウォール街やタイムズスクエア、ブロードウェイ、美術館が集積し、摩天楼が連なる景観は“ニューヨークらしさ”そのもの。一方で、ソーホーやグリニッジヴィレッジには古い石畳や低層建築も残り、移民文化やアートカルチャーの発信地として発展してきました。

セントラルパークの大きな緑地が都市景観にアクセントを与えているのも特徴です。

ブロンクス区

ニューヨーク市北部に位置し、ヒップホップ文化の地として世界的に知られるエリア。

1970年代のストリートカルチャーから音楽・ダンス・グラフィティが生まれ、現在も多文化的エネルギーに満ちています。

ヤンキースタジアムの本拠地としても有名で、熱狂的なスポーツ文化が根付いています。マンハッタンより緑地が多く、ブロンクス動物園やニューヨーク植物園など大規模施設も点在。

クイーンズ区

ニューヨークで最も多民族・多文化が混在する区。

アジア系、南米系、中東系など多様なコミュニティが共存し、“世界の縮図”とも呼ばれる地域で、街ごとに空気が大きく変わります。

高層ビル群より住宅街や公園が多く、マンハッタンとは異なる穏やかな都市景観が特徴。USオープン会場やシティフィールドもあります。

ブルックリン区

近年のニューヨークカルチャーを象徴する人気エリア。

工場や倉庫街をリノベーションしたカフェ、ギャラリー、クラフトブルワリーが増え、アートや音楽、ファッションの発信地、「Brooklyn Made」がひとつのブランドになるものづくりの地としても注目を集めています。ウィリアムズバーグやダンボはクリエイター街として有名で、レンガ造りの街並みとマンハッタンのスカイラインが印象的。

スタテンアイランド区

ニューヨーク市の中でも自然が多く、最も郊外的な空気を持つ区。

低層住宅と緑地が広がり、マンハッタンの喧騒とは大きく異なる穏やかな景観が特徴です。無料のスタテンアイランドフェリーから望む自由の女神とマンハッタンのスカイラインは観光名物。港湾都市としての歴史を持ち、沿岸部には古い造船・物流文化の名残も。Five Boro Bike Tourでは、長距離ライドのゴール地点として特別な達成感を味わえるエリアです。


2. このイベントならではの特色とは?

①「ゼロ・カー」のニューヨークを走る

Five Boro Bike Tour最大の特徴は、「車のいないニューヨーク」を体験できることです。イベント当日は主要道路が大規模封鎖され、数万人のサイクリストだけが街を埋め尽くします。普段はタクシーや物流車両がひっきりなしに走る6番街やFDR Driveを、自転車で悠々と走れる体験は圧倒的。特にマンハッタンの摩天楼の間を、信号や車を気にせず進む感覚は、他の都市ライドにはないスケール感です。

② 競争ではなく祝祭

このイベントはファンライドであり、タイムを競うレースではありません。そのため、ロードバイクだけでなく、
クロスバイク
ミニベロ
タンデム(二人乗り)
リカンベント
仮装バイク
など、さまざまなスタイルのバイクが集まります。スピーカーを持参しBeatlesやQueenなど好きな曲を鳴らしながら走るライダーも多々。

家族参加も多く、レジャー気分でニューヨークを楽しむことが目的。沿道では地元住民がライブを開催しながら声援を送るなど、街全体がお祭りのような空気となります。参加者の中には病気からの回復記念として走る人や、家族との思い出づくりで参加する人も多いようで、“人生を祝うライド”という雰囲気が非常に強いイベントです。

③ 世界都市・NYCを「建築鑑賞ライド」として楽しめる

Five Boro Bike Tourは、建築好きにもたまらないイベントです。
例えばマンハッタンでは、

Empire State Building 、Chrysler Building といったニューヨークを代表する高層建築群を見上げながら走行し、

アールデコ建築の傑作とも知られる巨大劇場Radio Cityの前を通過。
公園エリアでは Central Park の緑を抜け、

他民族が暮らすクイーンズでは日系アメリカ人の芸術家として名高いイサム・ノグチの旧アトリエを改装した美術館前を通り、

カルチャー地区・ブルックリンでは低層レンガビル群や工場跡をリノベーションした通りや、旧海軍造船所がショップやフードホールとして賑わうBrooklyn Yardなども。他にも1700年代設立の「セントポールチャペル」や1800年代の「ニューヨーク市庁舎」、アールデコやポストモダン建築、9.11後のロウワーマンハッタンの建築群など、枚挙にいとまがありません。高速道路や橋などの高所から車両を気にせず眺められる、絶好の建築観光ルートでもあります。


3 Five Boro Bike Tourは「レジャー」のイベント

このイベントの本当の面白さは、“走ること”だけではありません。
多様な人々がそれぞれの目的をもって集まり、自由に走る空間となっています。ライド好きなロードバイクユーザーはもちろんのこと、ポタリング愛好家、ファミリーライド、観光客、クラブチーム、福祉団体、休日のレジャーなど様々な目的を持ったライダーがごちゃまぜに走っているのは、なんとも豊かな光景。

① ブルックリンの魅力的なパブ、コーヒー文化

特にブルックリン側では倉庫街を改装したブルワリーやパブが多く、ライド帰りに一杯、という光景も。

この日はライド後にフリービールが振る舞われるBar「The Kent Ale House」。地元ライダーの間ではポピュラーなお店だそう。2027年に参加予定の方は要チェック!

日本にも出店している「BROOKLYN ROASTING COMPANY」ではコーヒーブレイクと電源チャージをするライダーで混雑していました。バッテリー補給ができるのはありがたいですね!

② 橋の数々

5つの区を巡るのに渡る橋は4つ。
マディソンアヴェニューブリッジ(Madison Ave. Bridge / Manhattan→Bronx)
サードアヴェニューブリッジ(3rd Ave. Bridge/ Bronx→Manhattan)
クイーンズボロブリッジ(Queensboro Bridge/ Manhattan→Queens)
ヴェラザノナローブリッジ(Verrazzano-Narrows Bridge/ Brooklyn→Staten Island)

終盤で待ち構える Verrazzano-Narrows Bridge は、ライド後半のヤマ場。自転車通行は禁止されている巨大高速橋を、数万人のライダーと渡る体験は圧倒的です。

1964年の開通当時は世界一長い橋と言われており、長さは約4.2km。微妙な傾斜があり、ゴール前に意外と体力を奪われますが、ここは景色で乗り切れる!
海風を受けながらマンハッタンのスカイラインを遠望する瞬間、「ニューヨークを走った」という実感が一気に押し寄せます。

③ 船でマンハッタンへ

ゴール後は、普段から無料で運行するスタテンアイランド・フェリーでマンハッタンへ。輪行ももちろんOKで、すぐに地下鉄「South Ferry/ Whitehall Street駅」へ乗り換えられるので便利です。帰路は自由の女神を観ながら今日のライドを振り返って。

TD Five Boro Bike Tour は、単なるサイクリングイベントにとどまらない、ニューヨークを体感する「旅」。人種や文化が交差するコミュニティ や建築、音楽、カルチャーを味わう都市フェスに参加する感覚でメトロポリタンを体感するファンライドです。

次は2027年5月2日(日)の予定。マンハッタンでお会いしましょう。

番外編

エイドステーションの多彩なアメリカン・スナックや栄養補給食も楽しみのひとつ!

VIPエントリー者にはスタートとゴール会場で豪華な朝食&ランチが振る舞われ、その年限定デザインの参加記念グッズが配布される。右から2026年限定デザインジャージ(PRIMAL WEAR製)、VIP会場への入場カード、Manhattan Portageのハンドル用ポーチ。ヘルメットカバーは参加者全員共通。

Profile

Mayumi Kamura
Global Ride編集者。得意分野はデザイン、アート、ファッションなどの視覚表現系。コロナ禍をきっかけに心身の健康に意識が向き、テニスをスタートしコンテンポラリーダンスのレッスンを再開した。Honolulu Century Ride 2023に参加後、ライド時のマインドフルネス感にすっかりハマり、自転車ファンとなる。

EVENT
TVプロデューサー河瀬大作 Bike New York参戦記!
恋するニューヨーク vol.6
それは人生最高のライドだった。

誰しも憧れの場所があるだろう。 僕にとってそれはずっとニューヨークだった。アンディ・ウォーホルやルー・リードが暮らし、ジョン・レノンが凶弾に倒れ、ブレイクダンスが生まれ、数えきれない映画の舞台になった街だ。 その街で開かれるロングライドのイベントがある。FIVE BORO BIKE TOUR。通称、バイクニューヨークと呼ばれる。 マンハッタンからブロンクス、クイーンズ、ブルックリン、そしてスタテンアイランドまでの64kmのコース。交通規制により車を締め出して行われる。チケットは発売と同時に瞬殺。参加者は3万人をこえるという北半球最大のライドイベントだ。憧れの街を自分の自転車で走りぬけるなんて、考えただけでもワクワクする。 2024年5月5日の本番当日。朝5時過ぎにホテルを出発。心配された雨は、降らなかったが、かなり寒い。長袖ジャージにジレ、ウインドブレイカーを羽織っていても、冷たい空気が刺すように入り込んでくる。会場に着くと、映画でよく見る蒸気がもうもうと立ち上っている。そうそう、これこれ。こうでなくっちゃ。ここはニューヨーク。その寒さすら僕の心を踊らせるのだ。 会場には、すでに多くのライダーが集まっていた。 スタートラインの近くには、VIPエリアが設置されていた。ソーセージなどのホットミールからフルーツ、そしてグラノーラまで、食べ物が豊富に用意されている。かなりの豪華さだ。ゲストライダーである僕もVIPに混じって、ベーグルとフルーツをいただいく。 朝食を終えて、スタート地点に向かうと、夥しい数のライダーが集まっている。通りのずーっと奥までヘルメットで埋め尽くされていて、胸が熱 […]

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EVENT
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ブロンプトンにひとめぼれ。

それはひとめぼれだった。出会ってすぐに恋におちた。「次はあの子とどこに行こう」って、ふと考えてしまう自分がいる。こんな昂ぶりは、いつぶりだろう。お相手は人ではない。 ブロンプトンだ。そして今、ブロンプトンとの生活を、そして旅を心から楽しんでいる。折りたたみ自転車は、ずっと気になっていた。でもロードバイクに比べたら、小径車なんて物足りないんじゃないかって思っていた。ロードバイクのようなスピードもでないだろうし、長い距離を走るのにも向かないだろう、と。ロードバイクこそ”King of Bicycle”。そんな固定観念を持っていたのだ。 でも、ロードバイクにだって苦手はある。それは、街中を走ることだ。都心の幹線道路を走っていると、信号に頻繁にひっかかり、時にうんざりする。車輪の大きなロードバイクはストップアンドゴーを得意としていない。止まるたびにビンディングシューズを着脱するのも面倒くさい。 だからある時、街乗り用の自転車を探してはじめた。探していたのは、小径車のE-bikeだ。いくつかのショップを巡っていたのだが、なかなかこれ、というバイクには出会えない。そんなある日、棚にずらりと並んでいる自転車が飛び込んできた。 色とりどりの車体が、棚に所狭しと陳列されている。その佇まいの美しさに心が躍った。それがブロンプトンだった。 出会いの場所は、西荻窪の「和田サイクル」。ブロンプトンをはじめ小径自転車を扱うお店としては、東京屈指、いや日本屈指自転車屋だ。 店員の西久保さんが折りたたみを実演してくれた。その動きの無駄のない美しさ、素早さは芸術的ですらあった。 もちろん、試乗もした。軽く踏んだ […]

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