ツール・ド・ブリスベン初開催レポート①
オーストラリアに
一般公道完全封鎖のレクリエーションライドが誕生

オーストラリア最大の観光保養地と言えばゴールドコースト。同じくクイーンズランド州にあるブリスベンで新しいサイクルフェスティバルが誕生しました。メインイベントの一つ、誰もが楽しめそうなファンライド“ツール・ド・ブリスベン” の参加レポートをお届けしましょう。

※この記事は2019年7月の記事の再掲載です。

文:大屋雄一、写真/構成:グローバルライドイベント事務局


オーストラリアの北東部に位置するクイーンズランド州。その州都であるブリスベンは、シドニー、メルボルンに次ぐオーストラリア第三の都市として知られています。成田から約10時間のフライトで着くこのオセアニア有数の都市は、近代的なビルやショッピングモールと歴史的建造物が程よく調和し、大きなブリスベン川と相まって独特な景観を作り出しています。

国土が日本の約20倍と広大なオーストラリア。ゆえにクルマは必需品であり、交通網も発達しています。ブリスベンもその例に漏れず、中でも特徴的なのはサイクリングロードの整備が非常に進んでいることです。ブリスベン川に沿って自転車歩行者道が整備されており、対岸に渡るための専用の橋まで架けられています。また、レンタサイクルも充実しており、市民や観光客の足として大活躍。以上のことから、ブリスベンではサイクリストが市民権を得ていることがお分かりいただけるでしょう。


サイクリストに優しく、またThe Brisbane to Gold Coast Cycle Challenge(通称B2GC)というクイーンズランド州最大のサイクリングイベントが開催されているこの地で、2019年、新たにBrisbane Cycling Festivalという大々的な催し物が誕生しました。

これは3月28日(木)~4月14日(日)の18日間、毎日のようにブリスベン近郊で自転車に関するさまざまなイベントを開催するというもの。その中でもメインとなるのは、オーストラリア国内のトラック・チャンピオンシップとロードレースのシリーズ選手権、UCIグランフォンド・ワールドシリーズ、そして日本では6日間レースと呼ばれるショーアップされたトラック競技のシックスデイ、以上の4つです。

UCIグランフォンド・ワールドシリーズは、その名のとおりUCI(国際自転車競技連合)公認によるアマチュアのロードレース国際大会です。2019年シーズンは世界21か所で予選大会が開催され、その一つとしてツール・ド・ブリスベンが行われました。市の中心部と周辺の山間部をつなぐルートを舞台とするこの大会、ブリスベン市が一般公道を完全に閉鎖して行った初のサイクルイベントとのこと。そして、この交通規制を利用する形で行われたのが、レクリエーションライドの“エイミーズライド”です。

このエイミーズライド、距離別に110km、45km、8kmの3カテゴリーに分かれており、最も長い110kmクラスに現地在住日本人ライダーが参加しました。コースプロフィールについては、距離がおよそ112km、獲得標高は約1400mなので、日本の一般的なグランフォンドイベント(距離160km前後、獲得標高2000mオーバー)と比べると、それほどハードルが高いようには思えません。しかし、交通規制の時間的な制約があるのでしょうか、完走できる最低アベレージスピードは時速20kmに設定されており、およそ5時間半でゴールしなければなりません。そう考えるとかなりハードと言えるでしょう。

EVENT
ツール・ド・ブリスベン初開催レポート<番外編>
音と光のエンターテイメントトラック競技
「シックスデイ」

DJによるBGMや光を駆使した演出など、エンターテイメント性を重視したシックスデイ。その起源は1878年にまで遡ると言われています。かつてはマーク・カベンディッシュやブラッドリー・ウィギンスといったツール・ド・フランスを沸かせた選手たちも参加しており、世界チャンピオンやオリンピアン、そして次世代のスターたちの走りビール片手に間近で見られるとあって、特にヨーロッパでは大人気です。

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FEATURE EVENT
ツール・ド・ブリスベン2025ハイライト
〜家族連れからセミプロまで楽しめるサイクリングフェス【後編】〜

ブリスベン在住のサイクリストAyakaによる、「ツール・ド・ブリスベン2025」の参加レポート後編をお届けします。昨年は80km、今年は50kmのファンライドをパートナーのYoshiと共に駆け抜けたAyaka。市民が日常的に使用する生活道路やバスレーンを封鎖した、オーストラリアの中でも大規模なライドイベントを、地元サイクリストの目線から切り取ります。 前編はこちらから 目次6 雨上がりのブリスベンを駆け抜ける7 50kmコースのハイライト8 80kmコースの醍醐味9 多様な参加者とそれぞれの楽しみ方10 フィニッシュ後は和やかな祝祭ムード11 日本からの参加について12 2024年、2025年大会を通して感じた魅力 6  雨上がりのブリスベンを駆け抜ける 亜熱帯気候で晴天率が高く「サンシャイン・ステート」の名でも知られるクイーンズランド州ですが、季節の変わり目は雨が続くことも。その影響もあってか、大会前日の午後は強い雨風に見舞われました。 当日の天候が心配でしたが、幸いにも夜中に雨はあがり、スタート時には空に晴れ間が広がっていました。とはいえ日の出前の路面はまだ濡れており、スタート直後は前を走るライダーの水飛沫が顔にあたるほど。斜度15%の下り坂では転倒防止のためバイクから降りてそろそろと進む場面もありました。 それでも、日が昇るにつれて路面も徐々に乾き、スリップの心配も減り、快適な走りを楽しむことができました。木々を激しく揺らした前日の雨風が嘘のような好天候は、まさにこの大会のために用意されていたと思うくらいの完璧なライド日和でした。 7  50kmコース […]

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ツール・ド・ブリスベン初開催レポート②
110km、5時間半の時間制限と戦う
ハードなレース

ツール・ド・ブリスベンの開催日は4月14日(日)。総エントリー数は3,209名と初開催にしては非常に多く、スタート/ゴール地点のあるサウスバンクは、早朝から大勢のサイクリストでごった返していました。まずはロードレースであるUCIグランフォンドがエイジクラス毎にウェイブスタートし、続いてエイミーズライドが距離別に分かれてサウスバンクを出発しました。

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