北海道のまんなか、富良野・美瑛を行く
十勝連峰とご当地グルメサイクリング

これから春を迎える北海道。
旭川を起点に、美瑛の丘陵地帯を走り抜けて富良野へライドしてみませんか?
雄大な十勝連峰を背景に広がる畑や花畑、観光名所に立ち寄りながら進むサイクリングは、移り変わる景色と地域の食文化を一度に楽しめる贅沢な時間です。
セブンスターの木や色彩の丘といった名所をめぐり、途中では当地スイーツも味わい、ゴールの富良野を目指します。
風景と味覚を満喫できるこのコースは、北海道の魅力を自転車で体感するのにふさわしいサイクリングとなるでしょう。

目次
1 旭川駅より出発
2 セブンスターの木
3 ケンとメリーの木
4 北西の丘展望公園
5 マイルドセブンの丘
6 四季彩の丘
7 中富良野のご当地スイーツ「サンタのヒゲ」
8 ファーム富田
9 ゴールの富良野駅へ
10 締めくくりは富良野カレー「唯我独尊」


Text_Hokokara

1 旭川駅より出発

出発地は旭川駅。札幌に次ぐ北海道第二の都市・旭川の玄関口ということで非常に賑わいがあります。

まずは旭川駅を出て神楽岡通線へ。左右には大きなプラタナスの並木が続きます。まだら模様の幹が印象的なこの木は、夏には大きな葉を広げ、サイクリストに心地よい木陰を提供してくれます。市街地を抜ける前から自然の涼しさに包まれ、ペダルを踏む足取りも軽やかになる区間です。

旭川の市街地を抜けると、景色はしだいに広がりを増していきます。やがて現れるのは見渡すかぎりの田園風景。

道は一直線に延び、北海道らしい雄大さを感じさせる

美瑛に近づくにつれ、視界を遮るものはなくなり、道もまっすぐな直線が多くなります。果てしなく続く田園と空の広がりに目を奪われて、つい走りながら周囲を見渡してしまいがちですが、安全第一。前方への注意は怠れません。

美瑛に入ると、田畑の間をまっすぐに貫く農道が現れます。本来は農作業や運搬のための道ですが、ここ北海道ではその規模が桁違い。幅も直線の長さも余裕があり、農道というよりは小さな国道のように見えます。車通りは少なく、自転車で走っているとまるで自分だけの専用道を与えられたかのような開放感。広大な田園風景とあわせて、農業大国ならではのスケールを肌で感じられるひとときです。


2 セブンスターの木

美瑛を代表する観光スポットのひとつ「セブンスターの木」。1976年にたばこ「セブンスター」のパッケージに採用されたことで広く知られるようになりました。以来、多くの旅行者が訪れる名所となっています。

目の前に立ってみると、この木自体は特別大きいわけでも、珍しい樹種でもありません。北海道ではよく見られるカシワの木であり、単体であればどこにでもあるごく普通の一本です。しかしながら美瑛特有の広大な丘陵地帯のただ中に、ぽつんとたたずむことで風景にリズムを与え、雄大な畑と空の広がりをより際立たせています。

「パッチワーク」と表現される美瑛の景観

一本の木が風景を引き締め、訪れる人に「美瑛らしい」と感じさせる――セブンスターの木は、そんな存在感を持つシンボル的なスポットといえるでしょう。


3 ケンとメリーの木

美瑛の丘にそびえる一本のポプラ「ケンとメリーの木」。その名は1972年、日産スカイラインのテレビCM「ケンとメリーのスカイライン」の舞台に選ばれたことに由来します。当時の映像に登場したのがこの木であり、CMの大ヒットとともに全国的に知られる存在となりました。
木はスラリと空へ伸びるポプラで、美瑛のゆるやかな丘陵に対して垂直に立つ姿が印象的です。木そのものは単純に高木としての風格を備えていますが、周囲の畑の広がりや遠くの山並みと相まって、風景を引き締める存在になっています。美瑛の開放的な景色の中で、今なお訪れる人々に当時のCMの余韻と土地の雄大さを感じさせてくれます。


4 北西の丘展望公園

特徴的なピラミッド型の展望台が目を引く「北西の丘展望公園」は、美瑛の丘の景観を一望できる代表的なビュースポットです。公園のシンボルである展望台に上がれば、美瑛の街並みと広大な畑が織りなすパッチワーク模様、さらにその奥には十勝連峰までを見渡すことができます。

この公園でおやつタイムがてら軽く休憩することに。公園の入口に並んでいる売店で、珍しい白いトウモロコシを味わいました。生でも食べられるほど甘みが強い品種でとても美味しかったです。


5 マイルドセブンの丘

次に訪れたのはかつて「マイルドセブンの丘」と呼ばれた場所。1978年に放送されたたばこ「マイルドセブン」のテレビCMで、カラマツの木立が映し出されたことからその名が広まり、美瑛を代表する観光スポットのひとつとなりました。

しかし木立はすでに伐採され、当時の風景をここで目にすることはできません。かつてカラマツ林が広がっていた場所には、現在わずかに5本の木が残るのみです。伐採は樹木の老朽化など地域の事情によるものであり、観光名所としての役割はすでに終えています。それでも「マイルドセブンの丘」は、現存しない風景でありながら、美瑛観光の歴史を語る上で欠かせない存在となっています。

マイルドセブンの丘を後にしてしばらくはどこにも立ち寄らずただただ美瑛の景観を眺めながらのサイクリング
遠くに山並みを望みつつ、足元には畑仕事の重機が点在し、観光地である前に農業の現場であることを実感させられる

6  四季彩の丘

マイルドセブンの丘から一時間ほどのサイクリングを楽しみながら続いてやってきたのは「四季彩の丘」です。

園内には売店やレストランがあり、ラベンダーソフトクリームや地元野菜を使った料理を味わえるほか、農産物やオリジナルグッズを土産として購入できます。さらにノロッコ号と呼ばれるトラクターバスやカートで花畑を巡ることもでき、サイクリングで訪れた人にとっては休憩を兼ねた立ち寄りスポットとして最適です。

背後にそびえる十勝連峰

見頃となるグリーンシーズン(春から秋)には、チューリップやラベンダー、サルビア、マリーゴールドなどが時期を追って植えられ、訪れる季節ごとに違った色彩の風景を楽しむことができます。一方、冬には花畑が一面の雪に覆われ、ウィンターシーズンとしてスノーモービルやスノーラフティングなどのアクティビティが行われています。

四季彩の丘
https://www.shikisainooka.jp/


7 中富良野のご当地スイーツ「サンタのヒゲ」

十勝連峰の雲が晴れ十勝岳が姿を現す
富良野側には芦別岳の見事な山容

四季彩の丘を発ったらしばらくは雄大な山々を望みながらのサイクリング。美瑛を出て中富良野を目指します。

中富良野に入ると十勝連峰のお膝元。盟主の十勝岳も存在感抜群です。

中富良野では名物スイーツ「サンタのひげ」を味わいました。富良野メロンを器代わりに、その上に大きなソフトクリームをのせた贅沢な一品です。値段を見て思わず驚きましたが、ひと口食べれば納得。完熟したメロンは果汁が果肉の形をしているのではないかと感じるほどにジューシー。その甘みと、濃厚で冷たいソフトクリームが絶妙に絡み合います。富良野ならではのデザートとして記憶に残る味わいでした。
価格は観光スイーツとしては高めですが、高級メロンを使っていることを考えれば納得できる一品です。

ポプラファーム サンタのヒゲ
https://popurafarm.com/lineup.html


8 ファーム富田

今回のサイクリング最後の観光スポットはラベンダー畑として全国的に有名な「ファーム富田」です。敷地内にはラベンダーをはじめ、季節ごとの花々が整然と植えられ、夏の最盛期には紫の絨毯が一面に広がります。

四季彩の丘に負けず劣らずの規模感と花々のバリエーションの豊富さがあるファーム富田ですがなんとここは入場無料。誰でも気軽に訪れることができるのも魅力のひとつです。

ラベンダー&メロンソフトクリーム

ファーム富田ならではのラベンダーフレーバーという珍しいソフトクリームを頂きながら花畑を眺めてリラックス。ソフトクリームに合うのかと懐疑的でしたが想像以上のマッチ具合。ラベンダーのさわやかな香りが後味の良さに一役買っています。

十勝連峰の盟主「十勝岳」
富良野の名を冠する「富良野岳」

私が訪れたタイミングでちょうど雲が切れ、十勝連峰の稜線がくっきりと姿を現しました。花畑の鮮やかな色彩と背後に広がる雄大な山並みの組み合わせはこの地ならではの眺望です。

ファーム富田
https://www.farm-tomita.co.jp


9 ゴールの富良野駅へ

ファーム富田を出るころにはちょうど夕暮れ時。芦別岳をはじめとする夕映えの山々と金色の稲穂がなんとも趣深い光景が広がっていました。

日没前に富良野駅に到着し、無事にサイクリングは終了です。ここで輪行して帰るもよし、富良野で宿泊するもよし。私は輪行で旭川に戻るつもりですがせっかくなので夕食は富良野で食べていこうと思います。


10 締めくくりは富良野カレー「唯我独尊」

やってきたのは「唯我独尊」というカレー屋さん。富良野でカレーといえば真っ先に名前が挙がる有名店です。

注文するのは看板メニューのオムカレー。ふわりと仕上げられた玉子がライスを包み込み、その上から濃厚な自家製カレーがたっぷりとかけられています。カレーはスパイスの香りが立ちながらも辛すぎず、野菜と果実の甘みが感じられる優しい味わい。
ライスやオムレツに対してルーが少し足りない印象を受けますが、そんなことは気にせずたくさんルーを絡めて頂きましょう。なぜならばこの唯我独尊、ルーのおかわりは無料なのです。面白いのがそのおかわりの仕方。一回の厨房までお皿をもっていって「ルールルルー」という合言葉をいうことでルーのおかわりがもらえます。

合言葉を唱えて復活したルー。残りの具材にぜいたくに絡めて美味しく完食しました。

唯我独尊
http://doxon.jp/

こうして美瑛から富良野へと走り抜けた一日は、風景だけでなく食の魅力まで堪能するサイクリングとなりました。丘の景観に感動し、花畑で足を止め、最後は地元で愛されるオムカレーで締めくくる――どれもこの土地ならではの体験です。自転車で巡るからこそ出会える景色や味わいを、みなさんもぜひ体感してみてはいかがでしょうか。

Profile

Hokokara
宮崎県出身。山と神社をテーマに全国を巡る旅を続けるブロガー。過去には自転車で日本一周を達成し、現在は「ひのもと行脚」にて登山や歴史、風景にまつわる記事を発信している。今後は海外にも取材のフィールドを広げ、日本と世界の魅力を発信していく予定。
ブログ「ひのもと行脚」 https://fawtblog.com/

TRIP&TRAVEL
地元ライダー・ノリコが案内する
北海道オホーツクの初夏グルメライド

こんにちは。北海道北見市出身のライダー・ノリコです。今回は初夏の美味含めたオホーツクの魅力たっぷりなライドコースをご紹介します。 北見市は北海道の東部に位置する人口11万人の中核都市です。 農業、林業、漁業、温泉を併せ持つ「住めば都」間違いなしの地域。 道民以外の方には流氷、カーリングが有名かもしれません。

#Japan
TRIP&TRAVEL
地元ライダー 石塚裕也が案内する
北海道・札幌から巡る石狩エリア100kmライド

みなさん、こんにちは。 札幌を中心に北海道全域でサイクリングガイドを務める石塚裕也です。本日は、北海道最大の大都市である札幌市の周りに広がる、北海道らしさ全開の絶景サイクリングルートにご案内いたします。 札幌市といえば、テレビ塔や時計台、繁華街として有名な「すすきの」に代表されるような大都会のイメージがあるかと思いますが、実は札幌市から車で30分も走れば、北海道らしい大自然が広がっています。

#Japan
TRIP&TRAVEL
北海道・オロロンラインをライドする
利尻山を望む絶景ロードガイド

北海道北部、日本海沿いを走る絶景ルート「オロロンライン」。小樽から稚内までをつなぐ長大な道で、核心部は天塩稚内間の道道106号でしょう。左手には海に浮かぶ利尻山、右手にはどこまでも続くサロベツ原野。大きく蛇行することも少なく、地平線を目指すように進む爽快な道が続きます。今回は、その核心部を自転車で走り抜けます。 Text&Photo_Hokokara 目次 1. JR旭川駅から向かう宗谷本線・幌延駅2. サイクリングロードの始まり、天塩町3. 北緯45度のモニュメント4. 雪国を知るパーキングシェルター5. 北国の岬町、ノシャップ岬6. オロロンラインの終着、稚内へ 1. 旭川駅からJR幌延駅へ 今回の舞台は北海道・道北エリア。スタート地点は日本のほぼ北端に位置する幌延町(ほろのべちょう)にあるJR幌延駅です。宗谷本線が通っており、旭川駅から電車一本でアクセスできます。時間こそかかりますが乗り換えの手間は少なく、東京や札幌からの行程も意外とシンプル。飛行機なら稚内空港を利用し、稚内駅経由で幌延へ向かうルートも選べます。 まずは幌延駅最寄りのセイコーマートほろのべ店にて朝食を。ここからオロロンラインに合流するために天塩まで20㎞ほど走りますが、道中にお店がないので食事はここで済ませておくが吉です。 天塩町までの20㎞はオロロンライン本番に備えたウォーミングアップ、くらいの気持ちでいたのですが既に北海道の雄大さを感じられる景色で気持ちも昂ってきます。 2. サイクリングロードの始まり、天塩町 幌延駅から5kmほど走り、天塩大橋を渡ると天塩町(てしおちょう)に入ります。町名は […]

#Risiri San