#02 波、来たれり
噂のThe Japanese Odysseyとは?#03
僕の「The Japanese Odyssey」元年へ
目次
1 変わらず見えない全容
年が明け、前年のリベンジに手ぐすねを引いて待つ僕に、第2回The Japanese Odyssey (以下、TJO)は随分優しかった。
公式サイトは情報の厚みが増し、細かなルート情報まで載っていた。
出発は日本橋。/The event starts at Nihonbashi.
イベントの理念や概要といったテキストの端々に、開催地である日本に対する主催者の熱意と敬意が、前年にまして込められていると感じる。
英語版サイトのみなのは、やはり広くグローバルに参加者を募っているのだろう、これは他のウルトラディスタンスレースと同様だ。
しかし前年に続き日本語サイトは見当たらない。
そもそも主催に関して日本人は介在するのか、その余地はあるのか?という疑問符も、前年に続き点滅している。
ともかくなんとか全容を掴みたい。
この年は取材敢行を心に決めた。
2 「ドット」ウォッチャー
取材の事前準備として、まずルールを確認し、次に規定されたチェックポイントの精査と、ルートの予想に取り掛かった。
TJOの特色のひとつに、チェックポイント方式がある。
公式設定されたチェックポイント地点を全て通過(クリア)しないと、最終的な完走は認められない。
この通過を確認するため、参加者全員は出走前に貸与される公式GPSデバイスを自転車に取り付けて出走しなければならない。
GPSにより出走者全員のリアルタイムな位置情報が、インターネット上の公式トラッキングサービスが提供する地図情報の上に、個人アイコンとともに反映されるのだ。
これにより運営者はもちろん出走者全員、そしてその家族友人も、レース期間中は24時間いつでも正確な位置情報を確認することができる。
欧米の複数の会社がこのサービスを提供しており、これは安全管理上も非常に有用で、多くのレースがこのシステムを運用している。
このシステムなくして今日のウルトラディスタンスレースの発展はなかっただろう。
ちなみに、トラッキングサービス上に映し出される出走者アイコンを、通称「ドット」(点)と呼ぶのだが、熱狂的なウルトラディスタンスレースファンは、ビール片手に地図上の「ドット」にエールを送っている。
なかなか好事家な行為だが、やってみるとこれが楽しい。
こういったファンは、「ドットウォッチャー」と呼ばれ、孤独に煩悶する参加者にエールメッセージを送ったりと、陰ながら支えもしているのだ。
<続く>
次回
クレイジーな設定
🚴♂️The Japanese Odyssey 公式webサイト
https://www.japanese-odyssey.com/
🚴♂️噂のThe Japanese Odysseyとは?
#01 ウルトラディスタンスという世界へ
#02 2015年、7月18日を目指す
#03 僕の「The Japanese Odyssey」元年へ
#04 クレイジーな設定
#05 “謎”の仕掛け人
#06 日本贔屓の引き倒し
Text&Photo_ Eigo Shimojo
Profile
下城 英悟
1974年長野県生まれ
IPU日本写真家ユニオン所属
2000年フリーランスとして独立、幅広く写真・映像制作を扱うグリーンハウススタジオ設立
ライフワークとしてアンダーグラウンドHIPHOP、世界の自転車文化を追いかける
投稿日:2024.09.09