海外サイクリング事情2021
ハワイ・カカアコ編

海外になかなか行くことができない現在、日本人が身近に感じる海外「ハワイ」から、ロコ(地元)ライダーのRodさんに、ワイキキライドに続き、サイクリングで人気のエリア、カカアコの様子を自転車を通して紹介してもらいました。

※この記事は2021年8月の記事の再掲載です。

目次



コース紹介

アラモアナビーチパークをスタートして、カカアコを散策したら、サウスキングストリートの自転車レーンを走ってスタート地点へ戻る13マイル(21キロ)のライド。




アラモアナビーチパークから出発

「アラモアナショッピングセンター」からすぐの「アラモアナビーチパーク」は広々としたビーチが魅力。27℃の明るい天気に貿易風が心地よく、ピクニックや夏休みを楽しむたくさんの人が過ごしていました。



ケワロ・ベイスンは海のアクティビティを楽しむひとでいっぱい

アラモアナの隣の船着き場「ケワロ・ベイスン」は、釣りや、カタマラン、船底がガラス張りで海の様子が見えるグラスボトムボートなど、海のアクティビティを楽しむ船がたくさん並んでいます。

ロックダウンの時はたくさんの船がここに停留したままになっていましたが現在はたくさんの観光客でにぎわっています。

ケワロ・ベイスンの横にお弁当(ハワイでもBento Boxと言います)屋さんの小さなテントを見つけました。

なんと5ドルで売っているのだそうで、中身が気になりますね…(ハワイで5ドルの弁当は激安です)。



ロコお気に入りのカカアコウォーターフロントパーク

ケワロ・ベイスンをこえて走るとまもなくもう一つの公園に辿り着きます。

ここは「カカアコウォーターフロントパーク」。
砂浜のビーチはありませんが、芝生の広場と透き通った海が気持ちの良く、釣りやサーフィンをしたいロコ達に人気の公園です。
公園の小高い場所にはオアフ島沖で衝突事故があった「えひめ丸」の記念碑があります。

今年2021年はその悲劇的な事故からちょうど20年目の年。
10周年に植樹されたみかんの木には、小さな実がなっています。



カカアコ中心地に到着、ウォールペイントとレストランがアップデート

海を背にカカアコの中心地へ走りましょう。
カカアコはハワイの最新フード、ビジネス、カルチャーの中心地。街を彩るウォールペイントが、サイクリストに人気のスポットです。
最近の新作ウォールペイントはこの2作。

カカアコの代表的な商業施設「SALT at Our Kaka’ako」の名前は、その昔カカアコが塩田だったことに由来します。当時の塩は、金と同じ価値の貴重品としてハワイ先住民族の間で取引されていました。

SALTには人気のレストランが集まっています。私のお気に入りは「hank’s haulte dog」というシカゴスタイルのホットドック屋。

様々なトッピングとスタイルのホットドックが楽しめます。少し長い形が特徴ですが、何がシカゴスタイルなのかは実はよくわかりません。ともあれ美味しいのでSALTに来たらぜひ一度食べてみてください。付け合わせのポテトもおすすめです。



ワイキキ市の新しい取り組み”パークレット”

SALTの前の駐車場に設置された公共利用のスペースは、コロナ禍の2020年6月ごろから始まった面白い取り組みの一つ。パークレットと呼ばれるこの設備はベンチ、テーブル、プランター、駐輪スペースなどを備えています。

設備は店舗が店舗前の駐車スペースや歩道に自費で設置・保全し、その際ホノルル市から助成金を受けることができます。

パークレットは誰でも使うことができますが、人々がくつろぎ、リラックスできるスペースを店舗前に作ってビジネスを盛り上げる目的もあります。

サイクリング中の立ち寄りは、高価なロードバイクを放置することは、盗難や破損につながるため、店内に自転車が持ち込めるか、目の届くところに駐輪できるかなど注意が必要ですが、パークレットであれば安心。

SALT以外の場所にもパークレットがありますが、いずれも駐輪場の横にベンチがあり、サイクリストに人気のスポットになっています。




定番観光スポットじゃない面白いお店も

カカアコはSALTとウォールペイント以外にも面白いスポットがたくさんあります。

少し来た道を戻ると、「Re-use Hawai’i」という施設があります。

建築物を解体してでた再利用可能な建材・備品・家具を膨大な敷地に集めて販売していて、貴重な高級建材やビンテージアイテムもかなり安い価格で購入できるため、人気の場所になっています。

SALTのすぐ横には最近できたばかりの地ビール店。

世界的に有名な高級ウクレレの老舗メーカー「Kamaka Ukelele」もひっそり素朴な店を構えています。



ハワイのバイクレーンを走りながら街をめぐる

Kamaka Ukuleleの前のサウスストリートを北東に向かいましょう。ここは昨年設置された自転車専用レーン。

この道を走ると交差するサウスキングストリートのサイクルトラックは、ハワイで初めてつくれられた自転車専用レーンです。

車が侵入できないようポールとバンプで保護されているので、とても安全で通勤や観光によく使われています。

サウスキングストリートを走っていると道沿いに面白いスポットがあり、街巡りにぴったりです。
ホノルルでもっと古い公園、「Thomas Square」

自転車専門店「the bike Shop」はハワイ最大規模のファンライドイベント、ホノルルセンチュリーライドを運営するHawaii Bicycling Leagueのサポート店舗として、ハワイのサイクリストに信頼されています。

鉄腕アトム!日本にも出店しているアパレルショップのようです。

元アメリカ大統領バラク・オバマが若いころに働いていたアイスクリーム屋「Baskin-Robbins」(サーティーワンアイスクリームの名称で日本でもおなじみですね。ハワイではバスキン・ロビンスと呼びます)。

アイスクリーム屋の横にはおむすび屋「Mana musubi」。ヘルシーでおいしいおすすめのお店。

うっかり気が付かずに通り過ぎてしまいそうな道沿いの小さな神社は、ハワイ石鎚神社。1918年建立。

自転車道ぞいの小さな居酒屋「Tori ton」に到着。

物価の高いハワイですが、ここは手ごろで美味しい焼き鳥が食べられるので日本の人からしたら、ほっと一息つけるお店かもしれませんね。
さらにスタート地点のアラモアナビーチパークに戻り、本日のライドは終了。



カカアコを走って感じたこと

カカアコエリアは新しい店舗のオープンや、魅力的な街並みへ、取り組みを続けています。
今日のルートはワイキキの中心街と比べ車通りが少なく、とても安全。

ワイキキからでも行きやすいので、ハワイへお越しの際はぜひサイクリングを楽しんでくださいね。


ライダー紹介:Rod

生まれも育ちもハワイ。
15年前に、ハワイ最大のロングライドイベント「ホノルルセンチュリーライド」に携わってから、ロードバイクの魅力にはまる。現在も3人の仲間と一緒に「Makule(ハワイ語で「おやじ」の意)Rider’s」として毎週末地元のサイクリングを楽しんでいる。好きなものはミラー ドラフトビール。

CULTURE
Music Cycles Around The World
① New York
3rd Bass “Brooklyn-Queens”

15回にわたって自転車と僕の好きな音楽にまつわるコラムを綴ってきました「CYCLE MUSIC」に代わる新連載第1回。これからは自転車と共に音楽で世界を走ろうというイメージで、“都市と音楽”をテーマに「Music Cycles Around The World」と題してお届けしていきます。 まずは5/4にブルックリンやクイーンズなど5つの区をすべてめぐるライド・イヴェント「Five Boro Bike Tour」が予定されているニューヨーク。タイトルずばりという感じで、3rd Bassの「Brooklyn-Queens」をご紹介しましょう。 3rd Bassは1987年にクイーンズで結成された、MC Serch/Prime Minister Pete Nice/DJ Richie Richからなる、白人黒人混成の3人組ヒップホップ・グループで、1992年に解散するまでに、2枚のフル・アルバムと思い出深い何枚かのシングルを残していて、若き日のMF DoomやNasと交流があったことでも伝説的な存在です。ヒップホップ屈指の名門レーベルDef Jamから1989年に発表されたファースト・アルバム『The Cactus Album』は、いわゆる“ミドル・スクール”の名盤と言われていて、当時“ニュー・スクール”の旗手として僕もそのフレッシュでカラフルな輝きに魅せられていたDe La Soulのファースト・アルバム『3 Feet High And Rising』のプロデューサーとして名を馳せていた、Prince Paulによる色彩豊かなサンプリング・ワークも冴えまくっています。 「Broo […]

#3rd Bass #yua
CULTURE
CYCLE MUSIC⑮
Norah Jones
「Christmas Calling (Jolly Jones)」

自転車と僕の好きな音楽にまつわるちょっとしたコラムをお届けしてきました「CYCLE MUSIC」も、連載15回目を迎える今回でひと区切り。次回からは自転車と共に音楽で世界を走ろうというイメージで、“都市の音楽”をテーマに「Music Cycles Around The World」と題して生まれ変わりますので、本来であれば12月に推薦したかったところですが、書きそびれてしまっていた“自転車と音楽の蜜月”を象徴するような名作を、最後にご紹介しましょう。 それはNorah Jonesの「Christmas Calling (Jolly Jones)」。これまでもグラミー賞の常連だったNorah Jonesは、つい先日、昨年リリースした最新アルバム『Visions』が、第67回グラミー賞“Best Traditional Pop Vocal Album”を受賞したという、吉報がとびこんできたばかりですね。「Christmas Calling」は2021年に発表されたその前作で初のクリスマス・アルバム『I Dream Of Christmas』のリード・シングルで、寂しそうに街をひとり自転車でさまよう可憐な彼女のもとに、たくさんのサンタクロースが自転車に乗ってだんだんと集まってきて、やがて夢のような楽しいクリスマス・パーティーが始まるMVもハートウォームな名曲です。 コロナ禍で人が集まることが困難だった当時の、「大切な人と少しでもつながっていたい」という切実な思いが反映されていて、クリスマスに離れてすごす大切な人に電話越しで歌う心温まるストーリーが綴られていますが、その優しい歌とメロデ […]

#Norah Jones
CULTURE
CYCLE MUSIC⑭
RM
「Bicycle」

毎回ちょっとした自転車にまつわる音楽紹介をお届けしている連載コラム「CYCLE MUSIC」。今回は僕より詳しい方もたくさんいらっしゃると思いますが、韓国の大人気グループBTSのリーダーであり、ヒップホップMC/シンガー・ソングライター/プロデューサーRMのソロ曲、その名も「Bicycle」について綴ってみようと思います。 というか正直なところ、僕はBTSのことをほとんど知らなくて、申し訳ないことこの上ないのですが、「2021 BTS FESTA」の一環として発表された作品だというこの曲には、とても感銘を受けました。Free Soulファンにも薦めたいような、ゆったりとしたグルーヴを紡ぐギター・カッティングに導かれる、少し寂しげな感傷的なメロディー。「悲しいときは自転車に乗ろう」というサビのリフレインが胸に沁みる、大スターでありながら私小説的な魅力にあふれた、自転車ソング屈指の名曲ですね。 自転車に乗るといつもときめき、最も自由を感じられる時間だと語るRMは、ずっと自転車にまつわる曲を作りたいと思っていたそうですが、実際にこの「Bicycle」は、夢中で自転車に乗ってあちこちを動きまわりながら、メロディーと歌詞を完成させたといいます。とりわけ、週末に自転車に乗りながら鼻歌をくちずさみ作ったというリリックは、歌もラップも心打たれずにはいられません。シンプルな自転車のドローイングをあしらったジャケットも、味があって素敵だと思います。皆さんも、悲しいときは、自転車に乗りましょう。僕はもう、そうしています。 RM 「Bicycle」https://www.youtube.com/wat […]

#Music