観光都市ニセコと2つのライドイベント①
ライト層も楽しめるニセコ羊蹄ファンライドを体験

7月最初の週末、北海道のニセコエリアで二つのサイクリングイベントが開催されました。一つはUCI公認の市民レースであるニセコクラシック、もう一つは羊蹄山をぐるりと一周するニセコ羊蹄ファンライドです。海外からのエントラントも多く、ニセコらしい国際色豊かな二日間となりました。

※この記事は2019年7月の記事の再掲載です。

文:大屋雄一、写真/構成:グローバルライドイベント事務局


日本の国土のおよそ22%を占めている北海道。ニセコとは、羊蹄山やニセコアンヌプリを中心に連なる岩内町、共和町、倶知安町、ニセコ町、蘭越町からなる山岳丘陵地域の総称です。極上のパウダースノーが降ることから世界中のスキーヤーに注目されるエリアとなっているほか、近年はラフティングやホーストレッキングなど夏のアクティビティも続々と増え、外国人観光客の数が年々増加しています。中でもその半数以上を占めていると言われるのがオーストラリアの方で、長期滞在者向けのコンドミニアムがニセコアンヌプリの麓に次々と建設されているなど、特にインバウンドが拡大しているエリアなのです。



札幌市内から西へ約100km、新千歳空港からクルマでおよそ2時間の距離にあるニセコエリア。ここで7月6日(土)と7日(日)の二日間、大きなサイクリングイベントが開催されました。一つは、今年で第6回を数える市民レースのニセコクラシックで、4年連続でUCIグランフォンド世界選手権の予選戦に組み込まれるなど、格式の高いイベントとして認知されるようになりました。140kmと70kmのロードレースのほか、土曜には12.5kmのタイムトライアルも開催されます。


そしてもう一つは、土曜に開催されるニセコ羊蹄ファンライドです。イベント名からも分かるように、中学生以上であれば誰もが楽しめるロングライドイベントで、距離は175km、100km、56kmの3種類から選べます。いずれも羊蹄山をぐるりと一周するのがポイントで、コース監修には1990年にジロ・デ・イタリアを総合50位で完走した市川雅俊さんが関わっています。

今年、この両イベントに我々のスタッフが参加したので、そのレポートを紹介しましょう。まずは土曜のニセコ羊蹄ファンライドから。エントリーしたのは100km(獲得標高約1,100m)のロングライドコースで、倶知安町の公民館をスタートし、ニセコエリアに点在する6カ所のエイドステーションを反時計回りにつなぐというもの。

画像出典:羊蹄ファンライド公式サイトより

 

一般的なロングライドイベントと同様に交通規制はされていませんので、一般車両の往来はありますし、信号が赤であれば停車します。ですが、ここは北海道、関東では考えられないほど交通量が少なく、たまにすれ違う程度。信号もほとんどありません。延々と続く畑ではちょうどジャガイモが白や薄紫色の花を付ける時期で、参加者の目を楽しませてくれます。その中を緩やかなアップダウンの続く真っすぐな道が延び、たまに現れる巨大な牧草ロールが北海道を走っていることを実感させてくれます。加えて道幅が広く、参加したスタッフは「とにかく走りやすかった!」と絶賛していました。



FEATURE EVENT
橋を越えてつながる世界
〜サイクリングしまなみ2024から〜

「国内で最大規模、そして日本で唯一、高速道路を走るイベントです」愛媛県・中村時広知事の挨拶のあと、スタートのクラクションが鳴った。 尾道市(広島県)に向かう今治市(愛媛県)の高速I C入口から約1750名のライダーたちがWAVEスタートを切った。同時に、尾道市の向島I Cでも同数のライダーが今治市を目指し、走り出していた。10月27日、日曜日。曇天が広がる朝8時08分。「サイクリングしまなみ 2024」の始まりの光景。 二県共催の自転車大会は、両県の自然や観光資源、ボランティア精神に支えられた日本最大のサイクリングイベントとして世界的にも有名だ。 サイクリングしまなみは二年に一度、7,000人規模の大規模大会とその半分ほどの参加者が集う中規模大会が交互に開催となる。2024年大会は後者。とはいえ、愛媛県内外はもとより海外からのライダーも走りに来る国際大会の様相は変わらない。今年は27カ国・地域から550名のライダーがエントリーし、みなさんにはお馴染みの海外ファンライドからも主要メンバーが参加した。ホノルルセンチュリーライドのエグゼクティブ・ディレクターのトラヴィス氏とFIVE BORO BIKE TOUR(BIKE NEW YORK)の主催者、ケン氏のお二人。それぞれ2回目、3回目の参加となる。 参加者は約40km~100kmの8種類のコースを選べ、それぞれが瀬戸内海に浮かぶ島々を堪能できる景色を走るルートとなっている。 そして大会翌日には「サイクリングパラダイス」を掲げる愛媛県がBIKE NEW YORK及び自転車文化の普及促進を図る(株)HM-A と覚書締結式を開催した。内 […]

#Ehime #HM-A
EVENT
噂のThe Japanese Odysseyとは?#01
ウルトラディスタンスという世界へ

遠くへ。 10年ほど前からロングディスタンスの域を超え、ウルトラロングディスタンスと言われるイベントやレースが世界各地で立ち上がり始めた。その距離、数千キロ。1週間〜半月くらいかけて国々や県境を渡り、峠や河川を越えていく。エイドステーションも警護車もなく、ゴールに辿り着くまでは自分自身でだけが頼り。その界隈のサイクリストにじわじわと注目を集めている、過酷なライドだ。日本では「ブルベ」が名を知られているが、近年、マニアックなサイクリストに熱い視線を注がれているのが「The Japanese Odyssey」。親日家のフランス人2人組が立ち上げた、アブノーマルな道も含む行程で日本国内数千キロを漕ぎ進むというイベント兼レースだ。 本連載では、このイベントに魅せられ、追い続けてきた写真家・下城英悟氏による、The Japanese Odysseyのドキュメンタリー風エッセイをお届けする。 目次 1 プロローグ・オン・ザ・ロード2 道路元標0地点3 “黒船来襲” 1 プロローグ・オン・ザ・ロード 東京日本橋、午前3時。 橋上に立つのは、世界各地から集う名もなきアマチュアサイクリストたち。 やがて夜明けの闇が白む頃、オーガナイザーのエマニュエルが、その刻を告げるべく腕を振り上げた。無言に振り下ろされるその腕をチェッカーフラッグにして、集団は走り始める。2週間後の約束の地を目指して。 折から紅葉に染まりゆく日本列島約3000kmの山河を人知れず深く分け入って、散りぢり駆けていく車輪の群れ。出走の瞬間からゴール到達までは、昼夜もないレースタイムだ。いや、レースと形容するには語弊を伴う、伴走者も […]

EVENT
自転車で走ればアートが生まれる。
『TOUR DE TSUMARI/ツールド妻有』主催者、建築家・伊藤嘉朗さんインタビュー(後編)

毎年、新潟県で開催されている『TOUR DE TSUMARI/ツールド妻有』(以下、『ツールド妻有』) は最大で走行距離120kmを走るコース。タイムトライアルではないため、風景や地元の人たちのもてなしを楽しむことができる。特筆すべき点は、このイベントが移動すること自体をテーマとしたアート作品という点だ。発起人は建築家・サイクリストの伊藤嘉朗(いとうよしあき)さん。前回に引き続き、伊藤さんに話を聞いた。

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