すべての道はローカルバイクショップへ続く
松本市・長野県

世界のファンライドを繋げるGlobal Ride編集部が、地元のライダーが集うショップを訪ねる連載。
すべての道はローカルバイクショップへ続く…そんな気分で、今回は東京・日本橋から約230km北西の長野県松本市へ。南アルプスの山々と瑞々しい水田が風光明媚なルートとして人気の「安曇野センチュリーライド」*の開催地、安曇野市に隣接する城下町だ。
*「安曇野センチュリーライド」の参加レポートはこちら


Text_Mayumi Kamura

目次

1. 平地の城下町
2. 温故知新のカルチャーを届ける「CLAMP松本蔵店」
3. 松本の名店「BIKE RANCH」


1. 平地の城下町

1590年台に築城された松本城は、現存する五重六階天守としては日本最古級。城を東西南北に取り囲む街並みには蔵屋敷も点在し、江戸の街文化を知る観光スポットとして国内外から観光客が訪れる。

そして、城建築にしては珍しく、山や高台ではない平地にあるのも特徴の一つ。つまり、坂がない=自転車乗りにとっては走りやすい道ということ!観光スポットを巡りながらでも気軽にペダルを回せる。

「国宝」もセットで名称となっている(!)松本城

松本駅周辺には蔵屋敷をリノベーションした喫茶店やギャラリーが点在し、歩いても自転車でも心地よい空気が流れている。目的地を決めずに街を流すだけでも、この土地の魅力を感じられるはずだ。

美しい調和を生み出す蔵の外観と後世に取り付けたであろう階段。ギャラリー「高美屋文庫」の入り口
松本城そばの女鳥羽川に面し、蔵を改装したクラシックな喫茶店「まるも」。1887年の建築

2. 温故知新のカルチャーを届ける「CLAMP松本蔵店」

そんな松本の街並みに溶け込むように営業しているのが、「CLAMP松本蔵店」だ。

長野県松本市と伊那(いな)市に店舗を構える「CLAMP松本蔵

松本城からほど近い蔵を改装した商業施設、「和泉町伍蔵(いずみまちごくら)」に店を構える「CLAMP松本蔵店」は、自転車を軸にしたライフスタイルを提案するショップ。2012年に伊那市で創業し、ここは2021年に開設したそう。

蔵の厚い扉(写真左側)もそのまま活かしたリノベーション

ロード、グラベル、MTB、キッズバイクまで幅広く扱い、修理、カスタムも受け付けてくれるこのお店は、地域のサイクリストを支える街の自転車屋としての役割もしっかり担っている。

印象的だったのは若い世代との距離の近さだ。市内の専門学校にあるスポーツバイシクル学科の学生がスタッフとして働くなど、店内には学生や20代ライダーの姿も多い。

バイクがぎっしり並ぶ蔵の2階。エレベーターもない蔵で…と感心
カスタム用の部品。カラーバリエーションもあり楽しい品揃え

土地柄、グラベルやMTBを乗るお客様が多いようで、信州のフィールドを走りたくなるアイテムが自然と目に入ってくる。
古い蔵の趣と現代のサイクルカルチャーを自転車への愛情でつないでいるのが、この店の魅力だろう。


3. 松本の名店「BIKE RANCH」

続いて訪れたのは「BIKE RANCH」。松本市アルプス公園のほど近く、奈良井川沿いに建つヨーロッパ風の外観が際立っている。

扱う車体はSPECIALIZED、TREK、GIANTなど安定のハイスペック車ばかり

店内では、遠方からたどり着いたのか、海外サイクリストとおぼしき男性が自転車の修理を待っていた。モンドリアン柄のジャージは往年のロードレースチーム「La Vie Claire」(仏)のもの。ひと目で走り込んできたことが伝わる風格に、長野が国内外のサイクリストを惹きつける土地であることを改めて感じた。

この店のオーナーは、安曇野センチュリーライドの発起人である鈴木雷太さん。日本のMTBシーンを牽引してきた存在であり、その経験を反映するように店内には国内外のレースやイベントにまつわる品々が並ぶ。

写真左)安曇野センチュリーライド当日に車両を積み込む鈴木さん Photo by Eigo Shimojo

地域に根差しながらも、視線は常に世界へ向いている。そんな空気感が店全体から伝わってくる。

タイプの異なる松本市の名店。どちらにも共通しているのは、この土地ならではの城下町文化と名峰が育んできたライド環境、それを楽しむ人たちへの深い理解だろう。
松本を走るなら、まずはローカルバイクショップへ。街の空気も、走るべき道も、きっとそこから見えてくる。

松本市番外編

全ての道は珈琲と蕎麦にもつながっているのでははないか…ということで、ライドの前後に街を散策してみた。

松本市内の新旧スタイルが織り混ざったカフェの多さに驚く!そしてモーニングを提供している店も多い。喫茶と蕎麦ライド(ポタリング)を満喫できそうなGRおすすめ店はこちら。お店の前にはだいたい自転車が停まっているので安心して入れそうです。

珈琲茶房かめのや」店内から見えるミニ植物園?が消えゆく昭和の喫茶店の魅力を感じさせてくれる。サクサクトーストのパンは市内のパン屋から直接仕入れ、コーヒーは地元のコーヒーメーカー「ALPs」から。地元スタッフの感じの良い接客で、朝から長居してしまった名店(勝手に名店認定)

夫婦堤 十割 そば盛」つげ義春の漫画に出てきそうな風情の蕎麦屋。店内にはところ狭しと落語家のサインが並び、蕎麦といえば落語か…と妙に納得。十割そばがメイン、山菜の天ぷらはサックサクで馬刺しはとろける美味しさ

Alps Coffee Lab」朝の名店(珈琲茶房かめのや)の姉妹店と知り入店。ついつい聞き入る説明上手なバリスタから導かれてオーダーしたのは写真左手前の味噌ラテ。ちゃんと味噌の味がしながら主軸はれっきとしたコーヒーで、味わったことのない和洋折衷のコク。うまい!ウォーターカップのグラフィックも素敵。

どのお店のスタッフも親切、心遣いがあり、自然体。それだけで気持ちが良い滞在となりました。民藝やクラシック音楽などの文化街としても名高い城下町・松本で育まれた風土と人情味に名残惜しさを感じつつあずさに乗って帰路へ。

Profile

Mayumi Kamura
Global Ride編集者。得意分野はデザイン、アート、ファッションなどの視覚表現系。コロナ禍をきっかけに心身の健康に意識が向き、テニスをスタートしコンテンポラリーダンスのレッスンを再開した。Honolulu Century Ride 2023に参加後、ライド時のマインドフルネス感にすっかりハマり、自転車ファンとなる。

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