Music Cycles Around The World
③ Hawaii
Macky Feary Band “Macky Feary Band”

自転車と共に音楽で世界を走ろうというイメージで、“都市と音楽”をテーマに「Music Cycles Around The World」と題してお届けしています新連載の第3回。今回は毎年9月の第4日曜に開催される「ホノルル・センチュリー・ライド」(日本からも多くのライダーが参加する、「ホノルル・マラソン」に次ぐハワイ第2のスポーツ・イヴェントです)にちなんで、僕が愛聴してきたハワイの音楽について綴っていこうと思います(といっても、いわゆるハワイアンではありません)。

すぐに思い浮かんだのは、30年前の夏に友人が確か500円という安価で中古の日本盤レコードを快く譲ってくれて、今も心から感謝しているMacky Feary Bandの1978年のファースト・アルバム『Macky Feary Band』。なぜならこの名作を聴いた感動によって、僕のハワイ産のメロウなアイランド・ミュージックへの好奇心は決定的に火がついたからです。当時を思いだしながら、その広がりを思いつくままに挙げていくなら、まずはMacky Fearyが在籍したKalapanaの最初の2枚。Kirk Thompsonが立ち上げたLemuriaと、やはり彼が制作しBilly Kauiに捧げられた「Words To A Song」やLemuriaとの競作「All I’ve Got To Give」が素晴らしいBabadu。特に思い入れ深いLuiやTender Leafの胸が疼くようなアコースティックなロコAOR。ハワイでコーヒーハウスをやっていたMFQのCyrus FaryarがプロデュースしたCountry Comfortやホーム・グロウナーたちの編集盤。Cecilio & KaponoやSeawindといったメインランドでも活躍したグループに、Ray GooliakやRichard Nattoなどのシンガー・ソングライター。スウィートなSociety Of Sevenに、若さあふれるSummerやNorth Shore Appeal。そしてMacky Feary Bandの極めつけの名曲「You’re Young」を彼とそのバンドをバックにカヴァーした桑名晴子……。僕はそれらの曲をDJの際にもたびたびプレイして、2003年に『Free Soul ~ Flight To Hawaii』というコンピレイションCDを編んだときには、そのメイン・レパートリーとしてセレクトしました。

そんな中でもやはり最高峰の一枚はMacky Feary Bandですので、Audy Kimuraのレンズがロマンティックにとらえたホノルルの夜景、その夕闇に映える遠い街の灯の、夜空に小さな星が瞬くような美しさに心惹かれたなら、ぜひ「A Million Stars」という曲の心地よいサウンドに身を委ねてみてください。ハワイには何か特別な、甘やかな空気が流れていることが伝わると思います。暮れゆく夕陽や雨上がりの空にかかる虹のように甘酸っぱく切ない歌声、頬を撫でる海風のように柔らかく刻まれるギターの美しさ、Macky Fearyの音楽には清々しい潮の香りとゆるやかに寄せては返す甘美な波のざわめきが宿っているのです。

Macky Feary Band「You’re Young」
https://youtu.be/R5AXtXkYfHA?si=6tJwh7ddTVp6nWVH

Macky Feary Band「A Million Stars」
https://youtu.be/SZ9y3niiO3Q?si=vsmcKg5j5u9FofAy

♬Music Cycles Around The World STORAGE♬
#01 3rd Bass “Brooklyn-Queens”
#02 Catia “Saudade de Paris”
#03 Macky Feary Band “Macky Feary Band”

♬CYCLE MUSIC STORAGE♬
#01 The Style Council “My Ever Changing Moods”
#02 Cordelia “Play Pretend”
#03 Corinne Bailey Rae “Put Your Records On”
#04 Georgie Fame ”Happiness”
#05 Alulu Paranhos “Bicicletinha”
#06 Motoharu Sano “Angelina”
#07 B.J. Thomas “Raindrops Keep Fallin’ On My Head”
#08 The Smiths “This Charming Man”
#09 Dominic Miller “Bicycle”
#10 NewJeans “Bubble Gum”
#11 Tank and the Bangas “Smoke.Netflix.Chill.”
#12 Kraftwerk “Tour de France”
#13 Livingston Taylor “Don’t Let Me Lose This Dream”
#14 RM “Bicycle”
#15 Norah Jones “Christmas Calling (Jolly Jones)”


Profile

橋本徹/Toru Hashimoto(SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。『Free Soul』『Mellow Beats』『Cafe Apres-midi』『Jazz Supreme』『音楽のある風景』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは350枚を越え世界一。USENでは音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作、1990年代から日本の都市型音楽シーンに多大なる影響力を持つ。近年はメロウ・チルアウトをテーマにした『Good Mellows』シリーズが国内・海外で大好評を博している。

Art Work_ユア

CULTURE
Music Cycles Around The World
④ Melbourne
Lance Ferguson feat. Rita Satch “My Future”

自転車と共に音楽で世界を走ろうというイメージで、“都市と音楽”をテーマに「Music Cycles Around The World」と題してお届けしています連載コラム。今回は、国際的サイクリング・ツーリズムを推進する愛媛県が、海外メディア向けのサイクリング・モニター・ツアーでオーストラリアのサイクリストたちを招聘したばかりで、南半球で最も大きく最も過酷なMTB大会「Whaka 100」も、ニュージーランドで開催されたばかりということに因んで、ニュージーランド出身でオーストラリア・メルボルンを拠点に活躍するプロデューサーであり、オージー・ファンクの名バンドThe Bamboosのリーダーとしても名高いLance Fergusonの作品を紹介しましょう。 ちょうどイギリスの名門レーベルTru Thoughtsから、彼が2019年より展開している人気シリーズの第3弾となるニュー・アルバム『Rare Groove Spectrum, Vol.3』がリリースされたところで、その中に僕がとびきり大好きな曲の好カヴァーが収録されているからです。“Rare Groove Spectrum”シリーズはいつも、長年DJとしても活動してきたLance Fergusonのクラブ・カルチャー〜レコード・ディガー的な観点での審美眼と、オーガニックなライヴ・バンドによるグルーヴィー&メロウな演奏の魅力が融合された、ファンクやソウル、ジャズやラテンといった様々なジャンルの至宝・秘宝の“再解釈”が鮮やかで、シャープなセンスがとても冴えているのですが、今作で僕が先行公開されたときから強く惹かれているのは、現代を […]

#My Future
CULTURE
CYCLE MUSIC⑫
Kraftwerk
「Tour de France」

この連載がスタートした当初から、自転車と音楽についてのコラムなら、いつかここぞというタイミングで取り上げようと思っていたKraftwerkの「Tour de France」。FUJI ROCK FESTIVAL 2024でのライヴ・パフォーマンスが話題を呼んでいる今こそ、という感じでご紹介します。 1970年に結成されたドイツの電子音楽グループKraftwerkは、ジャケット・デザインやヴィジュアル・イメージも自ら手がける、その存在自体がコンセプチュアルな、いわゆるクラウトロック(ジャーマン・ロック)の代表格であり、テクノ・ポップの先駆者で、YMOはもちろん、イギリスのニュー・ウェイヴ勢(特に80年代にニュー・ロマンティックと呼ばれたエレ・ポップ〜シンセ・ポップ)に大きな影響を与えました。ロボットのように感情を感じさせない、無機的で禁欲的な謎めいた印象ですが、ファンキーなリズムとミュージック・コンクレートとポップ・ミュージックの融合で、「エレクトロニック・ダンス・ミュージックのビートルズ」なんて言われたりもしますね。特に注目すべきは、Afrika Bambaataaを始めとするヒップホップ〜エレクトロ・ファンクや、Juan AtkinsやDerrick Mayに象徴されるデトロイト・テクノといった、ブラック・ミュージックにも多大な影響を及ぼしていることです。 Kraftwerkはメンバーがサイクリングに高い関心を持っていたことでも知られ、1983年に発表された「Tour de France」は、その経験や名高い同名の自転車競技大会から着想された名作で、ヴィデオ・クリップにはサイ […]

#Kraftwerk
CULTURE
CYCLE MUSIC②
Cordelia 「Play Pretend」

先月から始まりましたこの連載コラム、初回は自己紹介も兼ねて、「自転車で世界はもっと楽しくなった」僕の青春の一曲、The Style Councilの「My Ever Changing Moods」について綴りましたが、第2回はこの夏デビュー曲がリリースされたばかりのブライテスト・ホープ、胸を疼かせる美しい歌声に惹かれるイギリスの若き女性シンガー・ソングライターCordeliaを紹介しましょう。

#Column #Music