Music Cycles Around The World
④ Melbourne
Lance Ferguson feat. Rita Satch “My Future”

自転車と共に音楽で世界を走ろうというイメージで、“都市と音楽”をテーマに「Music Cycles Around The World」と題してお届けしています連載コラム。今回は、国際的サイクリング・ツーリズムを推進する愛媛県が、海外メディア向けのサイクリング・モニター・ツアーでオーストラリアのサイクリストたちを招聘したばかりで、南半球で最も大きく最も過酷なMTB大会「Whaka 100」も、ニュージーランドで開催されたばかりということに因んで、ニュージーランド出身でオーストラリア・メルボルンを拠点に活躍するプロデューサーであり、オージー・ファンクの名バンドThe Bamboosのリーダーとしても名高いLance Fergusonの作品を紹介しましょう。

ちょうどイギリスの名門レーベルTru Thoughtsから、彼が2019年より展開している人気シリーズの第3弾となるニュー・アルバム『Rare Groove Spectrum, Vol.3』がリリースされたところで、その中に僕がとびきり大好きな曲の好カヴァーが収録されているからです。“Rare Groove Spectrum”シリーズはいつも、長年DJとしても活動してきたLance Fergusonのクラブ・カルチャー〜レコード・ディガー的な観点での審美眼と、オーガニックなライヴ・バンドによるグルーヴィー&メロウな演奏の魅力が融合された、ファンクやソウル、ジャズやラテンといった様々なジャンルの至宝・秘宝の“再解釈”が鮮やかで、シャープなセンスがとても冴えているのですが、今作で僕が先行公開されたときから強く惹かれているのは、現代を象徴するポップ・アイコンとも言える人気女性シンガー・ソングライターBillie Eilishが2020年にヒットさせた名曲「My Future」の、単なる温故知新に終わらないナイス・リメイク(再構築)です。僕は胸を疼かされ心洗われるオリジナル・ヴァージョンも、ピクチャー・アニメイション・レコードの7インチ・シングルを大切にヘヴィー・プレイしてきましたが、オーストラリアの女性シンガーRita SatchをフィーチャーしたこのLance Ferguson版も、DJの現場でかなり重宝しそうですね。まさしく会心の“Free Soul”チューンで、ひたすら気持ちよいブリージンなフィーリングと、快適極まりないグルーヴ感の心地よさは、きっとオープン・エアのサイクリングにもよく合うはずだと思います。

Lance Ferguson feat. Rita Satch「My Future」
https://youtu.be/F7qXDf84nfQ?si=SO8T6-vHNrJMJI3C



♬Music Cycles Around The World STORAGE♬
#01 3rd Bass “Brooklyn-Queens”
#02 Catia “Saudade de Paris”
#03 Macky Feary Band “Macky Feary Band”
#04 Lance Ferguson feat. Rita Satch “My Future”

♬CYCLE MUSIC STORAGE♬
#01 The Style Council “My Ever Changing Moods”
#02 Cordelia “Play Pretend”
#03 Corinne Bailey Rae “Put Your Records On”
#04 Georgie Fame ”Happiness”
#05 Alulu Paranhos “Bicicletinha”
#06 Motoharu Sano “Angelina”
#07 B.J. Thomas “Raindrops Keep Fallin’ On My Head”
#08 The Smiths “This Charming Man”
#09 Dominic Miller “Bicycle”
#10 NewJeans “Bubble Gum”
#11 Tank and the Bangas “Smoke.Netflix.Chill.”
#12 Kraftwerk “Tour de France”
#13 Livingston Taylor “Don’t Let Me Lose This Dream”
#14 RM “Bicycle”
#15 Norah Jones “Christmas Calling (Jolly Jones)”


Profile

橋本徹/Toru Hashimoto(SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。『Free Soul』『Mellow Beats』『Cafe Apres-midi』『Jazz Supreme』『音楽のある風景』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは350枚を越え世界一。USENでは音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作、1990年代から日本の都市型音楽シーンに多大なる影響力を持つ。近年はメロウ・チルアウトをテーマにした『Good Mellows』シリーズが国内・海外で大好評を博している。

Art Work_ユア

CULTURE
CYCLE MUSIC②
Cordelia 「Play Pretend」

先月から始まりましたこの連載コラム、初回は自己紹介も兼ねて、「自転車で世界はもっと楽しくなった」僕の青春の一曲、The Style Councilの「My Ever Changing Moods」について綴りましたが、第2回はこの夏デビュー曲がリリースされたばかりのブライテスト・ホープ、胸を疼かせる美しい歌声に惹かれるイギリスの若き女性シンガー・ソングライターCordeliaを紹介しましょう。

#Column #Music
CULTURE
CYCLE MUSIC⑨
Dominic Miller
「Bicycle」

毎回ちょっとした自転車と音楽にまつわるエッセイを綴っているマンスリー・コラム「CYCLE MUSIC」。今回は名ギタリストDominic Millerによる、その名も「Bicycle」という曲を紹介しましょう。 アメリカ人の父とアイルランド人の母のもとアルゼンチンで生まれ、長らくロンドンを拠点に活躍して、今は南フランスに住んでいるというDominic Millerは、「偉大で穏やかなストーリーテラー」などと多くのメディアで絶賛されてきましたが、何と言っても輝かしいStingの右腕としてのキャリアで名高いですね。Stingは彼のことを「色彩豊かな音の建築家」と称賛し、やはり共演歴のあるPaul Simonはその詩情がこぼれ落ちるようなギター・プレイを「ジャズとイングリッシュ・フォークの香りがする美しい音色」と讃えている、テクニカルかつメロディアスなセンスの持ち主です。 現在は“静寂の次に美しい音”を標榜するドイツの名門ジャズ・レーベルECMから自身名義のリーダー・アルバムをリリースしていて、この「Bicycle」はECMでの2作目として2019年に発表された『Absinthe』に収録されています。そう、“アブサン”という薬草系の強いリキュールのように甘く危険で美しい、彼が魅了された20世紀フランスの印象派アーティストたちへのオマージュとなっている作品集で、僕はこのアルバムのリリースに合わせて丸の内COTTON CLUBで行われた来日公演も観に行きました。 瑞々しいギターのリフレインに、ノスタルジックな哀愁を帯びたバンドネオンや、タイトで空間性に富んだドラミングも印象的な「Bicy […]

#Column #Music
CULTURE
Music Cycles Around The World
② France
Catia “Saudade de Paris”

自転車と共に音楽で世界を走ろうというイメージで、“都市と音楽”をテーマに「Music Cycles Around The World」と題してお届けしていきます新連載の第2回。7/5にパリのシャンゼリゼからスタートする「Tour de France 2025」にちなんで、今回はフランスの思い出の音楽について綴っていこうと思います。 もう20年近くご無沙汰してしまっていますが、僕は1990年代から2000年代は何度となくフランスを訪れていました。初めてパリに行って、朝から晩までひたすらレコード(フランス映画のサントラなど)を買いまくったのは33年前。自分の店カフェ・アプレミディを開くきっかけになったのも、1999年初夏に「パリジェンヌのカフェ・ライフ」を取材するために旅したフランスでした。その後は生粋のパリジェンヌ歌手Clementineやパリ在住のブラジル人女性シンガー・ソングライターCatiaのプロデュースを手がけることになり、毎年のようにパリを訪れていましたが、その仕事の延長でヴァカンス気分で足を伸ばしたプロヴァンス、とりわけサントロペの美しい風景や街並みは、今も忘れがたいほど甘美でノスタルジックな夢のように心のフィルムに焼きついています。 そんな僕のこの頃の思い出の一枚を挙げるとしたら、リオ出身でパリに渡りヨーロッパのジャズ〜ボサノヴァ・サーキットを中心に活躍していたCatiaと2003年に制作した彼女のファースト・アルバム、その名も『Saudade de Paris』。Carlos LyraやMarcos Valleのようなブラジル音楽の偉人たちも讃辞を贈る、優美な旋律 […]

#Column #Music